パナソニック、肉や野菜の色をおいしそうに見せる“彩光色”LED

~スーパーなどの生鮮食料品売り場がターゲット【更新版】
肉や野菜の色をおいしそうに見せる「EVERLEDS 彩光色LED照明器具」。スポットライトタイプ

 パナソニックは、肉や野菜の色をおいしそうに見せる「EVERLEDS 彩光色LED照明器具」を12月1日より発売する。店舗や施設向けのLED照明器具で、スポットライトとユニバーサルダウンライトの2タイプ、全10品番が用意される。希望小売価格は32,340~48,300円。

 独自の光のスペクトル制御技術により、肉や野菜などの生鮮食料品などをおいしそうに見せるLED照明。生鮮食料品を自然な光色でおいしそうに見せるために、波長580nm前後の黄ばみを抑え、波長域を調節。赤色成分のピーク波長を長波長側にシフトすることで、肉やマグロなど赤みの強い色をより鮮やかに再現するという。

 1種類の光で、精肉、鮮魚、刺身、果物、総菜、パンなど様々な商材を美しく見せることができるため、売り場によって照明器具の種類を替える必要なく、様々な場所で活用できるとしている。色温度は3,000K。

物が見えるという現象には様々な種類の空中電磁波が関係しているという。パナソニックでは、目に見える可視放射のスペクトルを制御して物の見え方をコントロールするという彩光色LED照明では、野菜の色をおいしそうに見せるために、波長580nm前後の黄ばみを抑え、波長域を調節。赤色成分のピーク波長を長波長側にシフトすることで、肉やマグロなど赤みの強い色をより鮮やかに再現している

 また、従来生鮮食品売り場などでは、肉や魚の色をおいしそうに見せるために、照明器具にフィルターなどを使用していたため、設置場所によっては食材だけでなく、トレイや天井の色まで不自然な色が付いてしまっていることがあったが、彩光色LED照明では、自然な光色で周囲に不自然な色が付くこともない。

 さらに、フィルターを使用しないことで、従来のフィルター付き照明に比べて、約20%明るさが向上。少ない電力で明るい空間を作ることができるという。

彩光色LED照明で生鮮食品を照らしたところ従来のLED照明を点灯したところ。全体的に白っぽい印象だ
彩光色LED照明の下のパプリカ。赤い色に深みが出て、鮮やか従来のLED照明。色が白っぽく、平面的な印象
彩光色LED照明のレッドキャベツ。従来のLED照明のレッドキャベツ
彩光色LED照明のパン。ロールパンの表面の照りに違いが出た従来のLED照明のパン
200形、350形のスポットライトとユニバーサルダウンライトがラインアップされる

 光源寿命は40,000時間で、消費電力は従来光源より約40%低減。長寿命で省電力のため、ランニングコストを大幅削減できるとしている。

 ラインナップは、200形、350形のスポットライトとユニバーサルダウンライトを展開。スポットライトでは、一般タイプのほか、賑わい感を演出するためリブ付きの「フレネルレンズセード」を搭載した透過セードタイプも用意する。器具色としてはホワイトとブラックの2色を用意する。

 ユニバーサルダウンライトの器具色はホワイトのみ。

光の価値を創出する

 パナソニックでは、これまでにも、光スペクトル制御を使って肌の色を美しく見せる「美光色(びこうしょく)LED照明器具」や、人間の視覚心理効果を活かして、夜道が明るく見えるLED「明光色 アカルミナLED照明器具」などを展開しており、今回の彩光色LED照明と合わせて「スペクティング技術」と総称。来年春には、同技術を応用して、桜や街路樹、紅葉などを鮮やかに演出する「ドラマチック景観照明」を発売する予定だという。

光スペクトル制御を使って肌の色を美しく見せる「美光色 LED照明器具」美光色LED照明で肌を照らしたところ。日本人の肌の色に合わせて制御されたというだけあって、日本人モデルの肌色を美しく再現している従来LED照明で照らしたところ。白っぽく、平面的に見える
人間の視覚心理効果を活かして、夜道が明るく見えるLED「明光色 アカルミナLED照明器具」アカルミナLED照明は、防犯灯や街頭などに採用来春には桜や街路樹、紅葉などを鮮やかに演出する「ドラマチック景観照明」を発売する予定
エコソリューションズ社 副社長 松陰邦彰氏

 エコソリューションズ社 副社長 松陰邦彰氏は、「光の質によって物の見え方が変わってくるというのは、これまでの照明器具ではできなかった革新的な技術。これらの技術を使って、新たな光の価値を創出していきたい」と語った。また、LED照明市場については、誘導灯などほぼ100%LED化が進んでいる分野がある一方、施設用や住宅用のLED化はまだ5割に満たないという。

 「今後、一体型LEDベースライトやクリア電球など優れた技術を搭載した製品を積極的に展開してさらなるLED化を推進していきたい」と話し、2012年度のLED照明事業の売上見込みとして1,250億円を掲げた。これは、以前発表されていた中期計画よりも早い段階で1,000億円を突破することになり、売上や計画が順調に進んでいることを示すものとなる。

 松陰邦彰氏はさらに、年度内に6,300品番を展開することを宣言。「用途に応じて様々な器具を展開することで、エコでスマート、快適、良質な照明空間を演出していきたい」と語った。

照明器具の市場別LED化の推移。施設用や住宅用はまだ5割に満たないクリア電球など様々な種類の器具を展開することで、さらなるLED化を促進2012年度の売上金額見込みとして1,250億円を発表した

 一方、会場からは世界展開についての質問が相次いだ。2012年度達成見込みの1,250億円の比率も国内だけで、1,000億円を見込んでおり、海外比率はまだまだ少ないという。松陰副社長は「海外展開については、もちろん積極的に取り組んでいきたいところだが、日本ほどLEDが立ち上がっていないというところが正直なところ。世界的な感触としては、白熱電球から電球型蛍光灯に代わっていっているという段階。本格的なLED化にはまだ時間がかかるが、着々と準備はしている」とコメントした。

 具体的な展開については「欧米ではデバイス展開を積極的にしている。アジア圏でいうとやはり中国のLED化が進んでいるが、最近では尖閣諸島を巡る問題などもあり、今は停滞状態にある」と話した。






(阿部 夏子)

2012年11月13日 14:37