北海道電力、今冬の電力供給が3~4%不足と予想

~火力発電所の運用制約と故障リスクが影響

 北海道電力は、今冬の電力需給状況が逼迫する可能性が高いと発表した。

 北海道では、夏に需要のピークがある本州以南とは異なり、12月から2月にかけての暖房時期が年間のピークとなるという特徴がある。北海道電力によれば、泊原子力発電所が再稼働されない場合に供給電力(kW)および、供給電力量(kWh)の両面で、供給が逼迫するという。

 供給電力については、12月から2月にかけて供給予備率が2%以下に留まり、最低限必要とされる3%を確保できないおそれがある。

 また、供給電力量についても、1月から2月にかけて3~4%程度不足するおそれがある。供給電力量については、冬期の北海道では夜間でも暖房需要が高く、1日中高い需要が続くことが原因としている。

 供給面では、火力発電所の連続稼働が問題とされている。現在の火力発電所は、ベースとなる電力を供給する原発を補う形で需要に応じて稼働することが前提となっている場合が多い。

 北海道電力の例では、知内発電所や音別発電所は、燃料供給の問題で稼働率が50~70%に留まるという。また、苫小牧発電所のように、周辺との公害防止協定により、稼働率が85%に留まる例もある。

 また、設備の故障による「計画外停止」も多く、2010年度は40件、2011年度は36件、今年4月から6月の3カ月間だけで8回、延べ27日間に上っている。原子力発電所が停止している不足分を補うために、きびしい運用を強いられており、故障などが発生しやすい状況となっているとみられる。

 北海道電力の場合は、他社と送受電を行なう場合は、北本連係設備(60万kW)を利用する。しかし、この送電設備も、今年4月から6月にかけては、30万kW分が停止している時期が長かった。

 北海道電力では、緊急設置電源の追加設置や、燃料輸送能力の増強などを検討している。それらの受給対策や今後の需要動向を反映した受給見通しについては改めて発表するとしている。

 なお、北海道電力は今夏については2010年比で7%の節電目標を定めている。現時点では目標に及んでいないが、2010年比で36万kWh、2011年比で24万kW程度の節電実績が上がっているという。






(伊達 浩二)

2012年8月1日 15:40