TOTO、除菌水のミストでトイレを自動で除菌する温水洗浄便座

 TOTOは、使用後の便器を自動で除菌する温水洗浄便座「ウォシュレット アプリコット」シリーズを、2012年2月1日に発売する。希望小売価格は、109,000円から174,000円。

温水洗浄便座「ウォシュレット アプリコット」シリーズ

 同社の温水洗浄便座「ウォシュレット」シリーズの最新モデル。同社がWEB調査を行なったところ、便器内のヨゴレを気にする声が多かったことから、除菌効果のある「きれい除菌水(次亜塩素酸溶液)」を、自動で便器ボウル面に吹きかけて除菌する「便器きれい」機能を搭載した点が特徴となる。

 便器きれい機能では、トイレ使用前に水道水のミストをふきかけて、便などの汚れをつきにくくする。また使用後は、便器にきれい除菌水のミストをふきかける。これにより、便器が汚れるのを抑制し、菌を分解、除菌することで、トイレをキレイに長持ちできるという。

 同社によると、便器は洗浄後できれいに見えても、汚れの元となる菌が残っており、この菌が汚れの栄養分を餌にして増殖し、「輪じみ」や「黄ばみ」に変化するという。しかし本製品では、使用前に水、使用後にきれい除菌水を吹きかけることで、目に見えない汚れや菌が分解・除菌できるとしている。

便器にミストを吹きかける「便器きれい機能」を搭載した点が特徴 ミストは写真の矢印の部分から放出される ミストが噴き出ているところ

 使用前と使用後のミストは、いずれもセンサーによって自動で発生する。8時間トイレを使用しない際にも、自動で除菌する。

 便器きれい機能で使用される「きれい除菌水」は、水道水に含まれる塩化物イオンを、本体で電気分解して作られる。薬品は使用せず、使用後は普通の水に戻る。井戸水を使用する際は、塩化物イオンが少ないため、十分な効果が得られないことがあるという。

「便器きれい」機能と、通常のトイレの比較 除菌水は、水道水を本体で電気分解したものを使用する
便器きれい機能の有無による、便器の汚れの差。便器きれい機能を使っていない便器には、輪じみが目立っている 一般的な便器と、便器きれい機能を使った便器との汚れの差。肉眼では汚れはまったく見えないが、ブラックライトを点灯すると、通常の便器では汚れがあることがわかる
同社では、便器キレイ機能で便器の清潔性が保てるサイクルを「きれいサイクル」と称している

 同社では、この便器きれい機能を“業界初”としている。さらに、「きれい機能」により、入室から使用中、使用後から待機中まで便器をキレイに保つサイクルを「きれいサイクル」と称している。

 便器きれい機能における電気代は、毎月約1円程度。1回当たりの使用水量は、使用前のミストが約20cc、使用後の除菌水ミストが約40cc。


フルモデルチェンジの薄型デザイン。“ダブル保温便座”で省エネ達成率は221%

 また、本体デザインもフルモデルチェンジされた。本体の高さを、従来のアプリコットシリーズの140mmから、99.9mmというスリムデザインとした。薄型化できた理由としては、熱交換器の体積を約半分に小型化したこと、温水洗浄機能のノズルの角度を、収納時と駆動時で変更する新機構を採用したことがあるという。

 さらに、同社の組み合わせ便器「ピュアレストEX」を組み合わせると、給水ホースや電源コードがすっきりと収められるという。

本体デザインは従来からフルモデルチェンジ 厚さを99.9mmと、薄型化した こちらは、同社の約10年前の温水洗浄便座。左側に貯湯タンクが付いている
アプリコットシリーズは、お湯を貯めずに使用時に温める瞬間式となる 薄型化できた理由としては、熱交換器の体積を約半分に小型化したこと、温水洗浄機能のノズルの角度を、収納時と駆動時で変更する新機構を採用したことがあるという

 便座は、使用する時だけ素早く便座を温めて、不在時は節電モードとなる瞬間暖房便座を採用。さらに、便座には断熱性に優れたFRP樹脂(繊維強化プラスチック)、便座と便フタには断熱材を採用した“ダブル保温便座”とすることで、省エネ性能が向上。省エネ基準達成率は221%で、同社の約10年前の製品と比べると、年間の電気代が約4,200円削減できるという。なお、温水の方式は、お湯を貯めずに使用時に温める瞬間式。

 温水機能では、「おしりソフト洗浄」という新機能を搭載。ノズルの内部で水を旋回することで、ソフトな水流で広い範囲が一気に洗えるという。このほか、水玉を連射して洗う「ワンターウェーブ洗浄」も備える。

便座も使用するときだけ暖かくなる瞬間式。便座と便フタの断熱性能を高めた“ダブル保温便座”とすることで、省エネ性能が向上した ソフトな水流の「おしりソフト洗浄」を追加した

便器一体型にも除菌機能を搭載。使用水量は3.8L

温水洗浄便座と便器が一体となった「ネオレスト ハイブリッドシリーズ」

 このほか、温水洗浄便座と便器が一体となった「ネオレスト ハイブリッドシリーズ」も、同時に発売する。こちらもウォシュレットアプリコットと同様に「便器きれい」機能を備える。希望小売価格は、シャープなフォルムの「AHタイプ」が321,000円から361,000円、便フタが丸みを帯びた形状の「RHタイプ」が281,000円から361,000円。

 ネオレスト ハイブリッドシリーズでは、便器内部や悪臭防止用のトラップ、排水ソケットなどの形状を見直すことで、床排水タイプにおいて、大洗浄時の使用水量を3.8Lとした。同社では“業界最小”としている。従来の使用水量が13Lのトイレと比べた場合、1年で14,900円の水道代の節約に繋がるという(4人家族で試算)。なお、壁排水タイプの使用水量は4.8L。

 瞬間暖房便座、おしりソフト洗浄機能なども、ウォシュレットアプリコットと同様に採用する。

床排水タイプでは、大洗浄時の使用水量を3.8Lとした TOTOの洗浄使用水量の変遷。1975年以前は20Lも使っていたという

TOTOのトイレ製品は、1990年比でCO2を80%削減している

TOTO 張本邦雄社長

 発表会には、TOTOの張本邦雄社長が登壇。新製品について「環境配慮を高めた、大変自信を持っている製品」と評価した。

 なおTOTOでは現在、同社の水まわり商品の機器使用時におけるCO2排出量を、2017年度までに1990年度の半分に減する環境ビジョン「TOTO GREEN CHALLENGE」を掲げている。張本社長によると、トイレなどレストルームでは、今回の新製品を発売することで、1990年比で80%のCO2削減が達成できるという。2017年度には、これを90%に高める予定。また、海外展開についても、積極的に取り組む姿勢を見せた。

「ウォシュレットや便器のデザインは各国によってまったく嗜好性は異なるが、それぞれに合わせたデザインに、共通化されたプラットフォームを埋め込むことで、早期の海外展開が可能となった。日本で基幹的なテクノロジーを開発し、グローバルな環境展開も進めていきたい」(張本社長)

TOTOでは、同社の水まわり商品の機器使用時におけるCO2排出量を、2017年度までに1990年度の半分に減する環境ビジョン「TOTO GREEN CHALLENGE」を実践中。トイレ用品に限れば、1990年度から80%も削減しているという 海外展開も狙っており、デザインは現地に合わせたもの、基幹となるコアテクノロジーは日本で開発したものを利用するという





(正藤 慶一)

2011年12月6日 17:27