ダイキン、効率の良い“冬の暖房術”セミナーを開催

~省エネはエアコンが断トツ! 工夫することでさらに快適に

 ダイキン工業は、節電を意識した「冬の暖房術」についてのセミナーを開催した。セミナーでは石油やガスを燃料とした「燃焼系」の暖房器具、ホットカーペットや電気ストーブなどの「電気系」の暖房器具、さらに同社のエアコンのフラッグシップモデル「うるるとさらら」を使って比較実験を行ない、エアコンの優位性をアピールした。

エアコンの光熱費はダントツで安い

 実験では、和室、洋室それぞれの部屋にエアコン、あるいは暖房器具を設置、室内中央と、部屋の隅でそれぞれ、温度/湿度、さらに輻射熱(室温の変化だけでは計測できない、人の体が感じる暖かさ。太陽光などが挙げられる)を計測する機器を設置。室内の温度変化、湿度変化、快適性、コスト面などを比較した。

 なお、通常暖房機器の実験では政府が推奨する暖房設定温度20℃を目標とするが、今回は実験を行なった時期の都合により、設定温度を30℃としている。

6畳の和室と洋室で比較実験を行なった政府が推奨している暖房設定温度は20℃だが、実験時期の関係で、今回は目標温度を30℃として実験を行なった比較対象したのは、エアコン、石油ファンヒーター、ガスファンヒーター、電気ストーブ、ホットカーペットの5機種
温度・湿度、輻射熱、電気代をそれぞれ測定した測定機器は、部屋の中央、端、高さを変えた場所に設置された

 実験では、各製品の違いが浮き彫りとなった。燃焼系の機器は、スピードや室内全体の暖房に向いた機器でありながらも、コストがかさむという問題があった。電気系の機器は接触面や体感温度が上がるため、スポット的な暖房としては向くが、光熱費やスピード面が弱点となった。

 一方、エアコンは、省エネ性やスピード性が優れているのに対して、室内の乾燥や室内全体を暖めることが弱点となった。(※試験では、「うるるとさらら」の加湿機能と横吹き機能は使っていない)

運転開始30分後の室温変化を測定したもの。石油ファンヒーターが最も温度が高く、次いでエアコン、ガスファンヒーターとなった。なお、ガスファンヒーターは26℃までしか温度設定できないものを使用している湿度を測定したもの。燃焼系の機器は、燃焼時に水分が発生するため、湿度が高い。一方、エアコンは効率良く室温を上げているため、湿度は測定機器中最も低くなった体感温度を判定するために、温度/湿度/気流/輻射熱/活動量/着衣量などを組み合わせた「PMV値」を比較した実験。石油ファンヒーターが最も数値が高かった
コストを計算した表。燃焼系機器は電気代は安いものの、燃料代にコストがかかる。エアコンは、測定機器中最もコストが安かったそれぞれの結果をまとめたもの。グラフが円に近いほど、結果が優秀。エアコンは、乾燥や室内全体暖房が弱点となった(※試験では、「うるるとさらら」の加湿機能と横吹き機能は使っていない)
小型ルームエアコン商品グループ 香川早苗さん

 ダイキン工業 空調生産本部 小型ルームエアコン商品グループ 香川早苗氏は、「エアコンは、天井付近に取り付けて使用するため、床の上に置いて使う製品に比べると、室内全体を暖めるのには不利なところがある」としながらも、「ちょっとした工夫で改善することは可能」と話した。

 また、比較的バランスが良かった燃焼系の暖房機器については「速暖性や部屋全体を暖めることについていえば、やはり燃焼系の製品は強い。電気ではなく、燃料を使用するため、電気代を抑えるという意味でも利にかなっている。しかし、燃料を別に用意する必要があるので、コスト全体でみるとやはりエアコンが断トツ。さらに、CO2抑制の側面から見ても、エアコンが優れている」とした。

エアコン暖房は、室内の空気を攪拌することが大事

 セミナーでは、次に「エアコン暖房の上手な使い方」について説明が行われた。ダイキンでは、節電の必要性を理解していながらも「子供や高齢者がいる」「体調管理」などを理由として、「節電できない」と考えている人もいることを指摘。

小型ルームエアコン商品グループ 配川知之氏

 ダイキン工業 空調生産本部 小型ルームエアコン商品グループ 配川知之氏は、「ヒートポンプや、圧縮機の回転数を制御できるインバーターを搭載したことにより、エアコンの省エネ化は日々進んでいる。20年前のモデルに比べて60%以上、10年前の機種に比べて20%以上省エネ効果が高まっている。省エネ性が高い最新モデルを使って、上手な使い方をすれば、無理して節電しなくても、快適なエアコン暖房することは可能」と語った。

ヒートポンプ搭載エアコンは、少しの電力で、屋外から室内に熱をくみ上げているという最新のエアコンには、回転数をコントロールして、室内の温度を効率的に制御するインバーターを搭載している最新モデルのエアコンは、20年前のモデルに比べて60%以上、10年前の機種に比べて20%以上も省エネ効果が高まっているという

 具体的な方法としては、床面付近の冷気たまりを解消するため、室内の空気をサーキュレーター、空気清浄機などで室内の空気を解消することを挙げた。こうすることで、冷気が下に溜まらずに、室内全体を効率よく暖めることができるという。そのほか、フィルターのホコリ除去、室外機の周囲の空気の流れを保つこと、設定温度を低めにすることなどが挙げられた。

冬は夏に比べて外気温との差があるため、床面付近に冷気だまりが発生しやすいという。ダイキンではサーキュレーターや空気清浄機などを効率的に使うことで、冷気だまりを解消できるというサーキュレーターを使った場合と、使っていない場合の室温変化を比べたもの。サーキュレーターを使った部屋の方が約2℃程度、室温が高かった

シーンに応じて暖房機器を使い分けることが重要

 セミナーの最後では、「生活シーンに応じた暖房機器の使い分け」を提案。同社の調べによると、朝・昼・夜など、時間や生活シーンに応じて暖房機器を使い分けている人が多いという。ダイキンでは、「起床時はエアコンのタイマーを活用」「着替えの時は電気ストーブなどをプラス」、「カーテンやカーペットを上手に活用する」など、暖房に関するヒントを提案した。

起床時にエアコンのタイマーをセットしておくことで、起床後の身体が冷えてしまうことを防ぐサーキュレーターや空気清浄機を使うことで、エアコンの暖房効率を向上させる、カーペットを敷くことで、床から熱が逃げるのを防ぐなどの提案を行なった




(阿部 夏子)

2011年11月17日 15:39