電力不足で省エネ家電が人気。エアコン・扇風機で例年より早い盛り上がり
価格比較サイトの価格.comは、ユーザーのアクセスデータや価格情報を集計するレポートサイト「価格.comトレンドニュース」で、省エネや節電に役立つ家電の動向のレポートを発表。それによると、東日本大震災の影響による電力不足で、省エネ・節電家電の需要が高まり、エアコンや扇風機などの家電製品が、例年よりも早い盛り上がりを見せているという。
■“非常に珍しい傾向”――例年よりも早い盛り上がりを見せる「エアコン」「扇風機」
製品分野別に見ると、まず「エアコン」では、同カテゴリにおけるアクセスが、4月より「グングン伸びている」という。エアコンの需要期は通常、本格的に暑くなり出す6~7月が中心で、その前の4~5月に需要が伸びることは少ないといる。昨年も、3月末のエコポイント制度による駆け込み需要で一時的にアクセスが増えたものの、それが終わった4月には、アクセスは落ちていた。
同社では、4月に需要が伸びることについて「非常に珍しい傾向」としており、この原因として東日本大震災の影響による電力不足を見越し、今のうちから節電対策をしておこうという消費者が増えていると予想している。
エアコンで人気となっている製品は、本体価格が安くなった“1年落ち”“2年落ち”の製品が中心。しかし、省エネ・節電効果の高い最新製品や、ラインナップの上位モデルも注目度を上げているという。メーカー別ではパナソニックが特にアクセスを集めているとのことで、価格.comではその理由について「同社が打ち出す『エコナビ』のブランドイメージも強く影響している」としている。
「エアコン」カテゴリのアクセス数推移。2010/2011年の比較 | エアコンのメーカー別アクセス数推移。パナソニックが抜けた人気となっている |
「扇風機・サーキュレーター」カテゴリのアクセス数推移。2010/2011年の比較 |
扇風機も、3月中旬以降から、昨年の1.5~2倍程度のアクセスを集めているという。扇風機は昨年も、猛暑のためアクセスを伸ばしていたが、今年はそれを上回る伸びとなっている。
売れ筋商品は、6,000~7,000円台のスタンダードタイプの製品だが、東芝の「SIENT(サイエント) F-DLN100」など、高価格製品も注目を集めているという。メーカー別で人気なのは、東芝、三菱電機といった大手ナショナルメーカーという。
■冷蔵庫も人気。「まだ使えるから買い替えなくてもいい」層が買い替えを検討
冷蔵庫については、3月中旬から同カテゴリへのアクセスが急増。価格.comによれば「家電エコポイント制度の終了に伴う駆け込み需要が一定数あった」とのことだが、4月以降もその動きは落ちておらず、カテゴリ全体のアクセス数は昨年の2倍に足している。価格.comでは、冷蔵庫は一年を通じて需要がある製品のため、この時期にアクセスが上昇するのは非常に珍しく、“十数年使っている冷蔵庫だけど、まだ使えるから買い替えなくてもいい”と考えていた層が、節電意識の高まりにより、さらに節電効果の高い製品に買い替えを検討してることの現れとしている。
メーカー別では、3月までは“トップ争いを続けてきた”というパナソニックと三菱電機の2社が人気となり、4月以降は三菱電機がアクセスを伸ばしている。このほか、日立・東芝といった老舗メーカーもアクセスを伸ばしている。価格.comでは、各社ともここ数年で新製品に省エネ・節電機能を投入しているため、古い冷蔵庫と買い替えることで、年間電気代をかなり抑えられるとしている。
「冷蔵庫・冷凍庫」カテゴリのアクセス数推移。2010/2011年の比較 | 冷蔵庫のメーカー別アクセス数推移。4月以降は三菱電機が上昇しているという |
■“有益で手軽な節電法”――LED電球も人気
「LED電球」カテゴリのアクセス数推移 |
人気のカテゴリとして最後に取り上げられたのが「LED電球」。アクセスは、カテゴリが新設された2010年3月から、ほぼ右肩上がりの成長を続けているが、震災後は急激にアクセスが上昇。価格.comでは、「人気はさらに一段高いレベルに押しあがっており、今後もしばらくこの動きが続く」としている。
価格.comではまた、LED電球は1個当たりの価格が2,000~3,000円と、白熱電球と比較すると10倍ほど高いものの、電球の寿命も10倍になるため、「トータルコストではそれほど高くない」としている。さらに、白熱電球の1/7~1/10程度まで節電効果が期待できることで、電気代節約も見込めるため、「非常に有益で手軽な節電方法」と評価している。
■消費者の節電への意識は高い。地デジに変わる新しい動き
メーカー別では、幅広いラインナップのパナソニックが人気で、それに東芝、シャープが続く。一方で、中規模メーカーの低価格帯の製品も人気という。
価格.comは、こうした家電製品の人気ぶりについて、家電エコポイント制度は終了したものの、それ以降も節電効果の高い家電製品に注目する消費者は増え続けていることから、「消費者の節電への意識は高い」とした。そのうえで、「液晶テレビなどの地デジ対策景気はひと段落してしまった感があるが、今年の夏はむしろこうした節電対応の家電が大きく動きそうだ」としており、本格的な夏にかけて、この動きはますます高まっていくことが予想されるとしている。
(正藤 慶一)
2011年5月12日 16:39