NECAvio、鏡を見るだけで体温がチェックできる皮膚温度計

~企業や学校の水際対策に。約10万円から
サーモミラー SX-01シリーズ

 NEC Avio赤外線テクノロジーは、非接触で皮膚の温度が測定ができる皮膚温度計「サーモミラー SX-01B」を、1月11日に発売した。希望小売価格は120,000円。

 インフルエンザなどによる高熱者を発見するための、非接触型の皮膚温度計。測定者が本体の鏡部分をのぞき込むと、赤外線センサーが額の皮膚温度を測定。正常の場合は、ミラー内の皮膚温度を示す数値が緑色で示される。温度が異常な場合は、数値が赤色で表示され、電子音のアラームが鳴る仕組みとなっている。


パネル表面は完全な鏡。撮影している記者の姿も映っている本体から離れると、現在の室温と湿度を中央のモニターで切り換えて表示する。その下の青い文字は、日付と現在時刻パネル上部の穴。ここから額の皮膚温度を測定する

 これにより、感染者をスクリーニング(ふるい掛け)することで、健康な人との接触時間を短くし、感染者の増大を大きく軽減できるという。また、計測中に装置に触れない非接触式のため、二次感染も防止でき、さらに計測時間も約2秒と短いことから、効率的にチェックできるというメリットもあるという。

 なお、表示される皮膚温度は、35.9℃以下が正常、36℃以上が異常と判定される。額の皮膚温は環境の温度に晒されるため、一般的な体温計で計る数値よりも低く表示されるという。室温下での皮膚温度の平温は、約33℃前後とのこと。

測定方法。まず、メガネを掛けている人は外す赤いLEDランプが点灯するので、パネルを見ながら額に合わせる。パネルと顔の距離は約30cmくらい
すると、約2秒で額の温度が表示される。額は室温の影響を受けるため、体温よりもやや低めに表示される額の温度が36℃を超えると、数値が赤くなりアラーム音が鳴る。この場合、体温は38度を超えているという

 また、外部機器との連係も可能。アラーム検出時に信号を出力することで、赤色回転灯を点灯したり、外部からの接点信号を入力した際に、自動的に温度測定をスタートすることもできる。

 本体デザインは、ホテルフロントや会社の受付に設置しても違和感のないよう、シンプルでスタイリッシュなデザインを採用。待ち受け時には時計や温湿度、日付を表示する。パネルは最大40度の傾斜が可能。三脚やカメラスタンドを使って任意の高さに設置したり、別売りのブラケットで壁掛けにも対応する。

 本体サイズはいずれも125×66×200mm(幅×奥行き×高さ。スタンドは除く)。重量は約1.2kg。電源はAC100Vで、消費電力は最大3W。

 なお、下位モデルとして、外部機器との連動機能がないスタンドアローン型の「エコノミータイプ SX-01A」も発売する。希望小売価格は98,000円。

額の温度が計測できる仕組み接触式の体温計だと、二次感染のおそれがあったり、測定に時間がかかるというデメリットがあるという
スタンダードモデルでは、外部出力も可能。ランプなどと連動もできる本体はスッキリとしたスタイリッシュなデザイン。ホテルやフロントの受付に置いても違和感がないようにしているというパネルは約40度の傾斜が可能。壁掛けもできる

会社や学校の“水際対策”に。高級機種に比べれば「リーズナブル」

NEC Avio赤外線テクノロジー マーケティング部の木村彰一課長

 NEC Avio赤外線テクノロジーのマーケティング部の木村彰一課長は、本製品の利用シーンについて、会社や学校などを挙げた。

 「季節性のインフルエンザの流行で、学校では学級閉鎖が増えており、会社では発熱をおして無理に出勤することで、社内感染が広がるという話も聞いている。企業内で感染が広がると、営業・販売活動の停止、生産等への影響、風評被害などから、企業の存続に直結する。そのためには、なるべく早く感染者を見つける“水際対策”が重要。(サーモミラーは)手軽に対策が行なえる製品と考えている」

 また、エコノミータイプでも10万円弱という実売価格については、「空港で導入されているような、顔全体の温度を測る赤外線のサーモグラフィは、低価格機種でも50万円前後、中位機種では150~200万円、高級モデルでは300万円以上と、高価なものが多い。しかし本製品は、(温度をサーモグラフィのように)画像で表示することを捨てて、数値で表示している。そのため、10万円というリーズナブルな価格で提供できた」と、低価格化を実現した点を強調した。

 本製品は一般向けにも展開され、コクヨやライオン事務器といった事務用品のメーカーから販売されるという。また、家電量販店での販売も検討しているという。

一般企業でも、体の温度を計測する「スクリーニング」をすれば、感染拡大が防げるという会社や学校のほか、病院や幼児施設、食品工場やスポーツクラブにも導入するメリットがあるようだ
高価なサーモグラフィを使うよりも安価ですむという。なお、温度測定は“非常に秀逸な温度制度を実現”しているとのこと同社が発売するサーモグラフィタイプの体表温測定器。成田空港に導入されている



(正藤 慶一)

2011年1月11日 18:40