シャープ、“トンボの羽”で送風効率を高めたプラズマクラスターエアコン
シャープのプラズマクラスターエアコン「SXシリーズ」 |
シャープは、「トンボの羽」のファンで送風効率を高めたエアコン「プラズマクラスターエアコン SXシリーズ」を、12月10日より順次発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は22万円から30万円前後。
同社のエアコンには最上位モデルに当たる製品で、シャープ独自の除菌・脱臭技術「高濃度プラズマクラスターイオン」の発生機能を搭載。室内の空気中の菌やウイルスを除菌するほか、室内機内部に放出してカビの発生を抑える効果があるとされる。また、同イオンを取り囲む水分子が肌の表面に付着することで、肌を保湿してキメを整える「水分子コート」の形成にも効果があるという。シャープでは、冷暖房機能を使わなくても、プラズマクラスターだけの単独運転で空気をキレイにできるとしている。イオン濃度は1立方cm当たり25,000個。
高濃度プラズマクラスターイオンを放出。肌の保湿力を高める効果もあるという | シャープのプラズマクラスターエアコン使用者のうち、約4割の人が、冷暖房以外でプラズマクラスターを単独で使用しているという | イオン発生ユニットは、17,500時間を越えると寿命となる。ユニットは写真のように交換できる |
新機構としては、室内機内に新形状のクロスフローファンを採用。ファンの翼の形状は、前年モデルではフラットだったが、本製品では2カ所に出っ張りを設けた。同社では“トンボの羽の断面”を手本にしたとしている。この形状により、翼の凹んだ部分に渦が発生することで、翼の壁面と風との間に発生する摩擦が小さくなり、乱気流が低減。送風効率が、従来のファンよりも約30%アップするという。
また室外機については、前年モデルに続き、アホウドリとイヌワシの翼に近づけた形状の「鳥の翼形状ファン」を採用。従来モデルのファンと比べて、約20%の送風効率を向上している。シャープでは、自然の生き物に範を取ったデザインについて「ネイチャーウイングメカ」と称しており、全機種で2010年度の省エネ基準をクリアしたとしている。
新採用のクロスフローファン | 翼のひとつひとつに、トンボの羽の断面のように2カ所の出っ張りを設けている(写真上) | ファンの中を覗き込むと、翼のひとつひとつに出っ張りが確認できる |
この“トンボの羽”の出っ張りが、乱気流を低減する | 送風効率を、従来よりも約30%工場するという |
室外機のファンには、前年モデルに引き続き、アホウドリとイヌワシの翼に範を取った、高効率の「鳥の翼形状ファン」を採用する(写真右) | 同じ風を発生するのに、鳥の翼形状ファンは消費電力24W、従来型のファンは消費電力34Wとなっている | シャープでは、クロスフローファンや鳥の翼形状ファンなど、自然の生き物にに範を取ったファンの形状を「ネイチャーウイングメカ」と称している |
風速についても、前年機種からアップ。風をロングパネルでより絞り込むことで、最大風速は前年機種比で14%アップとなる秒速7~8mとなった。これにより、1立方cm当たりのイオン濃度が約10万個以上となる“高濃度イオン”エリアを、より拡大できるという。
さらに、光を検知して省エネ運転するセンサーを新たに搭載。日差しの強さを感知して、室内の暖めすぎと冷やしすぎを抑制。また、照明も検知することで、消灯時には自動でおやすみ運転に切り替える。
風をフラップで抑えることで、遠くへ届ける「つつみ込む気流」を引き続き形状 | 暖房時には足元に、冷房時には上方向に風邪を届けることができる |
新モデルでは、より風を抑えることで、風速を従来比で約14%アップしている | このため、1立方cm当たりのイオン濃度が約10万個を超える「高濃度イオン」エリアを拡大できるという |
室内機には、光で運転を省エネする「光センサー」を搭載 | 日差しを検知して運転を弱めたり、照明が真っ暗になったときには、自動的におやすみ運転に移行する |
このほか、リモコンでは1日/1カ月の電気代や、省エネ運転の状況を表示する。温度や湿度、プラズマクラスター発生ユニットの交換時期を知らせる機能もある。ユニット交換の目安は17,500時間。室内機については、従来モデルよりも横幅を約100mmほど狭めた798mmとしている。
なお、シャープのエアコンは、大阪健康サービス産業創造協議会により、、冷房/暖房運転で癒しや快適感を向上する効果があるとして「癒し快適エビデンス推奨マーク」の認定を受けているが、今回は新たに「夏場の快眠をサポート」する効果があることについても、認定を受けている。
リモコン。運転内容に応じて、画面の色が変わる(左から、冷房、除湿、暖房) | リモコンでは、電気代や省エネ状況、プラズマクラスターイオン発生ユニットの寿命も表示できる | 室内機の横幅は798mm。従来よりも約100mmほどコンパクトにし、設置性を高めている |
第三者機関の調査によると、シャープのエアコンの“つつみ込む気流”は、夏の冷房時の安眠にも効果があるという | 冷房運転における安眠効果について、大阪健康サービス産業創造協議会の「癒し快適エビデンス推奨マーク」の認定を受けている |
プラズマクラスターをONにすると、「プラズマクラスターはシャープだけ」という、テレビCMのメロディが鳴る |
型番 | AY-A50SX | AY-A40SX | AY-A36SX | AY-A28SX | AY-A25SX | AY-A22SX |
冷房能力 | 5.0kW | 4.0kW | 3.6kW | 2.8kW | 2.5kW | 2.2kW |
電源 | 単相200V | 単相100V | ||||
室内機サイズ (幅×奥行き×高さ) | 798×308×295 mm | |||||
室外機サイズ (同) | 800×300×630 mm | 780×289×540 mm | ||||
価格 | オープンプライス | |||||
店頭予想 価格 | 30万円 前後 | 27万円 前後 | 26万円 前後 | 24万円 前後 | 23万円 前後 | 22万円 前後 |
■高級タイプの構成比が拡大。“ユーザーはエアコンに新しい価値を求めている”
シャープ 健康・環境システム事業本部 空調システム事業部 沖津雅浩事業部長 |
シャープの健康・環境システム事業本部 空調システム事業部の沖津雅浩事業部長は、2010年度のエアコンの需要について、基礎需要である690万台に加え、猛暑とエコポイントの影響もあり、765万台になる見込みを発表。一方、2011年度の需要については、690万台に落ち着くとの予想になっている。
沖津氏はまた、エアコンのクラス別の需要について、普及機の割合が減少し、代わりに高級機が増えている傾向を指摘。これについて「ユーザーが基本機能のみならず、新しい価値をエアコンに求めているあらわれ」としたうえで、「シャープはエアコンの冷暖房機器からのステージアップを目指し、快適から一歩進んだ、清潔・健康空間の創出と維持、ユーザーの満足度を高めるなどの機能開発を推進していく」と、今後のエアコンづくりの方針を述べた。
2010年度のエアコン需要は、765万台の見込み。2011年度は690万台に落ち着くとの予想 | エアコンの構成比では、普及タイプが減り、高級タイプに伸びが見られている | シャープのエアコンは、基本機能に加え、空間清浄や健康・癒し効果など、付加価値を高めていく方針となる |
(正藤 慶一)
2010年11月17日 16:56