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シャープ、電気を使わず湿度を保つ新しい調湿材。冷蔵庫の食材鮮度保持に

TEKIjuN(適潤)

シャープは18日、密閉された空間を目標湿度に保つ調湿材「TEKIjuN(適潤)」を開発したと発表した。乾燥しがちな冷蔵庫内の湿度を調節し、食品の鮮度をより長く維持することなどに活用できる。製品化は2022年春以降を予定。家電だけでなく、住宅や、楽器/カメラ保管などの湿度管理にも利用できる。

TEKIjuNは、電気を使用することなく目標とした湿度に調節し維持できる調湿材。一般的なシリカゲル乾燥材では過度に乾燥してしまうことや、目標湿度に調節する液体調湿材では液漏れのリスクがあるなど課題があった。TEKIjuNは湿度制御性のある「ビーズ型」と高速で吸放湿する「シート型」の2種類を開発。ビーズ型は固形状の調湿材として世界初という。同社は今回の技術について「これまで多湿や乾燥によって劣化し、廃棄されていた資材や食料品の削減に向けて、有効な解決策になる」としている。

湿度制御性の高いビーズ型
高速で吸放湿するシート型

ビーズやシートが、常に吸湿と放湿を繰り返すことで、40~90%RH(RH:相対湿度)の範囲から設定した目標湿度を維持する。乾燥している場合は水分を放出して湿度を上げ、多湿の場合は水分を給水して湿度を下げる。0~70℃の環境での使用を想定しており、同範囲であれば機能を発揮するという。

食品や楽器、カメラなどにはそれぞれに適した湿度があり、例えば飲食物の場合、ワインや米は60~70%RH、野菜や果物などの青果は80~90%RHとされる。

食品などの保管にも活用できるビーズ型TEKIjuNは、単位質量あたりの液体調湿材の含有率が高いことから、湿度制御性に狙った湿度に保てるのが特徴。直径5mm程度の小さな球体から構成され、ワインセラーなど、余剰スペースが限られた空間でも利用できる。

シート型は空気との接触面積が大きくなるようにTEKIjuNを微細化し、不織布と配合したもの。速やかに吸湿し、住宅やコンテナの結露防止に活用できるという。

家電分野においては、冷蔵庫内での鮮度維持につながる。一般的に冷蔵室内の湿度は20~40%と乾燥しているが、80%などの高湿度を目標としたビーズ型TEKIjuNを使用することで鮮度を保つ。