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石油ストーブにガソリン給油して住宅全焼の事故も。正しい使い方と清掃を

灯油と間違えてガソリンを給油し、火災が起きた事故の再現実験(NITE)

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は、石油ストーブ使用における事故について注意喚起している。ホコリやすすが溜まったり、燃焼筒がずれたりしたまま使用してしまったことで、火災につながる事故が発生している。取扱説明書などを参考に、正しく使用することで事故を防ぎたい。

【事例1】使用中に異音がして火災。内部にすすが堆積

石油ストーブ使用中に異音がし、周辺を焼損した事例。ストーブの芯が正常な高さまで上がっておらず、芯の案内筒内部に大量のすすが付着していたとみられる。日常的に不完全燃焼が発生し、堆積したすすによって炎がストーブ内部に逆流する吹き返し現象が起こり、樹脂部分や置台のホコリが燃えたものと考えられるという。

すすやホコリが案内筒内部や置台に堆積すると給気不足となり、炎が逆流してストーブの下からあふれ出る危険がある。また、吹き返しによってホコリに着火してしまう。ストーブを定期的に清掃し、底にホコリが溜まらないように細い棒などでこまめに清掃するよう勧めている。

【事例2】使用中に火災発生。燃焼筒が正常に設置されておらず

石油ストーブ使用中にストーブと周辺を焼損する火災が発生し、1人が軽傷を負った事例。燃焼筒が正常に載っていなかったことが原因と考えられる。火力が絞られた状態で燃焼を続けたことで油受皿が熱せられ、気化したことで未燃ガスが滞留、出火したとみられる。

燃焼筒の取り付けを誤ると正常に燃焼せず、炎が大きくなったり、不完全燃焼によって一酸化炭素が多く排出されたりするおそれがある。使用前に取扱説明書を確認し、正常に設置する必要がある。

他の事例では、燃焼筒がずれていたために燃焼空気量が増え、大きな炎が立ち昇った。このとき、石油ストーブの上に干してあったタオルに着火した。燃焼筒の位置を確認するとともに、ストーブで衣類を乾かさないよう呼び掛けている。

ストーブ上部に干していた洗濯物に着火する危険も(NITEの再現実験)

【事例3】使用中に火災発生し住宅全焼。灯油と間違えてガソリン給油

石油ストーブ使用中に火災が発生し、住宅を全焼した事例では、ストーブからガソリンが検出された。使用者が除雪機用に準備していたガソリンを、灯油と誤ってストーブに給油したためとみられる。

ガソリンは揮発性が高いため、燃焼筒の熱でタンクが温められて内圧が上昇し、ガソリンがあふれ出てしまう。あふれ出たガソリンにストーブの火が引火すると、大きく燃え上がる。ガソリンは混入が少量であっても火災が生じる危険がある。

灯油とガソリンを同じ容器や同じ場所に保管していたために誤って給油する事故が発生している。ガソリンは消防法に適合した金属製のガソリン携行缶に、灯油は危険物保安技術協会の認証ラベル付きの容器に入れ、それぞれ別の場所に保管するよう注意喚起している。