ニュース

服がポッコリ膨らまない、アイリスオーヤマのファン付きウェアを着てみた。静かなのに涼しい

アイリスオーヤマのクールウェア(着用しているのはFNCT半袖セット)

アイリスオーヤマが4月から順次発売しているファン内蔵の「クールウェア」。服の裾部分に風を送る2つのファンが付いており、服の中へ風を送って涼しくなるものだ。

“着る扇風機”ともいえるこうした製品は、各社から様々なモデルが登場している中、アイリスオーヤマの製品には、同社ならではの細かいこだわりが込められているという。新モデルを着用して体験するとともに、工夫されている部分について聞いた。

サーキュレーターの技術で、弱モードでも静かに涼しい

換気の需要でサーキュレーターの販売台数が伸び続けており、累計1,000万台を突破したというアイリスオーヤマ。「クールウェア」として展開するファン付きのウェアも好調だという。

現在展開している製品には、「クールウェア CASUALセット」「クールウェア SPORTSセット」「クールウェア OUTDOORセット」「クールウェア WORK」がある。製品名通り、スポーツ向けやアウトドア、業務向けのデザインで、袖の長さやフード付きなどのバリエーションもあり、直販サイトの価格は6,000円台~14,000円前後でラインナップしている。

左がCASUALセット、右がSPORTSセット

さらに、同社アパレルブランドFNCT(ファンクト)デザインのモデルも6月17日に発売された。クールウェアFNCT半袖セットの直販価格は11,000円、長袖セットは12,800円となっている。

新モデルでは、ウェアとファンの両方に独自の工夫がされている。従来のファン付き作業着などを見かけると、使用中は「全体が丸く膨らむ」形がイメージされる。服の中全体にしっかり風を行き渡らせようとすると、周りから見ても分かるシルエットになってしまうためだ。

同社の2020年モデル。多くの他社製品でも同様だが、どうしても全体がポッコリする印象

そこで、同社の新しいクールウェアは、ファンだけでなくウェア部分についても、パートナー企業ではなく自社で細部までデザインして製造も行なっているのが大きな特徴。ファンの風で効率良く涼しくなれるように、首の後ろ側や脇へ風が通り抜ける形状のほか、素材の選定なども含め、全体を最適化した。

風が首の後ろや脇に通り抜ける。腰回りが大きく膨らまずに締まった形に

また、ファン部分は同社の強みであるサーキュレーターの技術を応用。こうした小さい径のファンで強い風を送ろうとすると、大きな羽根の扇風機などに比べて騒音が大きくなってしまうのが一般的。一方で、同社クールウェアのファン部分は、比較的小さな9枚羽根を使ってムラのない風を送り、風切り音などの騒音を抑えた。

また、奥行き4.4cmの薄型設計により、体にファンが当たりにくくなっている。風を強くしなくても、ウェアの形状による効率的な空気の流れによって、首や脇など涼しさを感じやすい部分へ風を届け、涼しさと低騒音を両立させたという。

ファンを回してもポッコリしない! うるさくない

実際に着てみると、ファンを動かしたときに背中だけでなく首の後ろや脇まで風が当たり、弱モードでもしっかり涼しさを感じられる。それでいて、硬めの素材のウェアはポッコリ膨らむことなく、一般的なビッグシルエットの服にも近い見た目になっており、周りの目が気になることもない。

腰の左右後ろ側にファンがそれぞれ1個あるが、回しても騒音がほとんど気にならなかった

何より驚いたのは騒音の少なさ。ファン付きウェアは周りの人にも音が聞こえるのが当たり前だと思っていたが、今回の同社クールウェアは、特に弱モードの状態だと周りからは気づかず、本当にファンを回しているのか、着ている本人に確認したほどだ。

また、ウェアとして重要なデザインの面でも、アパレルブランドまで展開する同社だけあって、作業服っぽいものではなくカジュアルに着られそうだ。生地を触ってみても、スポーツやアウトドアに使えるしっかりした質感の高さ。遠出だけでなく、ちょっとした外出時なども上に羽織るだけで、違和感なく普段着やスポーツウェアにも合いそうだ。

その他にも、細かな改良点として付属品以外のバッテリーでもUSB接続(Type-A)して使えるようになった。手持ちのモバイルバッテリーを予備に持っていけば、長時間の使用も安心だろう。

バッテリーと操作部はポケットに入るサイズ。バッテリーは手持ちのものに交換もできる

従来は、暑くても仕事などで半袖を着られない人向けというイメージも持たれていたファン付きウェアが、今までよりずっと身近に感じられるようになってきた。人気の高まりを受けて、さらにデザインバリエーションが増えていくことにも期待できそうだ。