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もはやe-bikeショー!! 台北サイクルショーで見たe-bikeの最新トレンド

 クルマの世界にフランクフルトショーやパリサロン、カメラの世界にフォトキナがあるように、自転車にも国際展示会というものが存在します。世界3大自転車ショーと呼ばれるものは、アメリカで開催される「インターバイク」、ドイツで開催される「ユーロバイク」、そして台湾で開催される「台北サイクルショー」の3つ。その中でも、世界の自転車製造の中心地である台北サイクルショーは、OEMメーカーが多数出展し、近い将来の自転車のトレンドを示すショーとして知られています。

台北の南港国際展示場で開催された台北サイクルショー
世界の主要ブランドやOEMメーカーが出展

台北サイクルショーはe-bikeショー!? 来年のトレンドはeロードか

 10月31日~11月3日に開催された今年の台北サイクルショーの様子はどうだったかというと、ほとんどe-bikeショー。ありとあらゆるブランド、OEMメーカーがe-bikeのサンプルを所狭しと展示し、商談を行なっていました。

今回の台北サイクルショーはとにかくe-bikeだらけ。ピニンファリーナも出展

 世界の自電車業界でe-bikeがトレンドの中心になってから、既に5年以上が経過しているので、「ウチならこんな製品作れますよ!!」というOEMメーカーが展示するサンプルももはや初期の頃の野暮ったいものではありません。カーボンを使ったサンプルから、ドライブユニットを完全に隠したeロードバイクや、普通のスポーツサイクルとはちょっと違う荷物を積んで走るカーゴバイクや小径車といった感じです。

OEMメーカーがフレームのサンプルを展示するビジネスショーの役割も
タイヤメーカーもe-bike対応を前面に押し出していく

 サスペンションやブレーキ、タイヤなどのメーカーも、2019モデルとしてe-bike対応を謳った商品を山ほど展示。例えば、ドイツのマグラはブレーキレバーを握ると駆動用バッテリーから電源を得てリアのブレーキライトを点灯させるセンサーを装備した油圧ディスクブレーキ、タイヤメーカーはそれこそフルラインナップでe-bike用タイヤを展示していました。

e-bikeに対応したブレーキ連動ライト仕様のマグラのブレーキ

 ヨーロッパでは、来年のトレンドはロードバイクをe-bike化したeロードと予想されていますが、ボッシュやシマノといった主要ドライブユニットメーカーはまだeロード用のシステムを発表していません。そこの隙間を突いて、eロード用のドライブユニットを続々と発表しているのが、中国系のドライブユニットメーカー。もう完全にロードバイクな見た目のeロードのサンプルも多数展示されていました。

 ピナレロやフォーカスといったヨーロッパ系のブランドもこのトレンドに乗っていて、既にeロードを市場に投入しています。期待も沸点に達しているのに、アメリカ系や台湾系のブランド、つまりトレックやジャイアントは静観している状態で、今後どうなっていくか非常に楽しみです。

eロードは次のトレンド
完成車メーカーやOEMメーカーが続々と参入しているが、ボッシュ、シマノは沈黙を続ける

 大手ブランドのブースはというと、地元だけあって会場の一番大きな交差点にはジャイアントとメリダが大きなブースを構えますが、特にジャイアントは台北サイクルショーでも展示車のほとんどがe-bike。本気のeMTBからカジュアルなモデルまで多数を展示していました。

メリダのブース
台湾発の2大グローバルブランド、ジャイアントとメリダ。ショーの中でも一番の目抜き通りの対面に出展。やはりe-bike中心

新興勢力が次々と台頭。さらに盛り上がるe-bike市場

 また、気になるのが、液晶ディスプレイで有名なBenQのグループ会社であるDarfonインダストリー。国内でも展開しているBESVブランドとして出展しているだけでなく、Darfonブランドでも出展し、同社ブランドのバッテリーを展示していました。インチューブ式で630Whという現在主流の500Whタイプよりも、さらに大容量モデルを展示しているだけでなく、サブバッテリーパックとして200Whタイプも展示するなど、将来のe-bikeのバッテリーのあり方を想像できる内容です。

 このDarfonのバッテリーはシマノ互換のサードパーティバッテリーとしても発売されており、国内にシマノユニットで導入してくるブランドでもDarfonバッテリーを搭載するブランドが出て来るかもしれません。

日本でもe-bikeを展開するBESVはBenQグループのDarfon社のブランド
キーボードメーカーのDarfonはバッテリーメーカーでもある
インチューブバッテリーと小型サブバッテリーの組み合わせは、将来のe-bikeのバッテリーを予感させる

 一方で、自転車ベンチャーの世界でも、韓国のe-bikeベンチャーはホイール内にモーターだけでなく、バッテリーまで組み込んだレトロフィットe-bikeホイールを発表。e-bikeがラクになりすぎたことへのアンチテーゼとして、ペダルを踏むとロデオバイクになるロデオe-bikeキットを発表していたり、果てはどう見てもエンジン付きのモペットなのに、実はe-bikeという自転車まで展示されているという具合です。

韓国のベンチャー企業が出展していた、ホイールにモーターとバッテリーを内蔵したレトロフィットe-bikeキット
ラクすぎるe-bikeを難しい乗り物にするロデオe-bikeのサンプル。一周回って目的がよくわからなくなっているが、意気込みはおもしろい
どうみてもモペットだが、これもe-bike

 OEM系出展社のサンプルを見ると、ボッシュとシマノに対応したフレームサンプルが非常に多いです。特にボッシュに対応したサンプルが多いという印象で、ヨーロッパでのボッシュユニットのシェアの大きさが伺えます。中国系のドライブユニットメーカー数も確実に増えており、数年後にボッシュ、シマノ、ヤマハの牙城へ、バーファン以外の新興ドライブユニットメーカーがどう食い込んでくるのか、e-bikeの価格はどうなっているのか、といった未来を想像せざるを得ない今年の台北サイクルショーでした。

日本資本で中国で製造されるe-bikeドライブユニットブランドや、中国独自のe-bikeドライブユニットブランドなど、多くのドライブユニットブランドが所狭しと展示
日本電産もe-bikeドライブユニットに参入していた