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パナソニック、8K対応LEDやプロジェクター付きライトなど新しい照明価値を提案
2017年11月15日 17:14
パナソニック エコソリューションズ社は、ライティング(照明)事業における、2017年の業績や今後の展望などを紹介する説明会を開催した。
登壇したパナソニック エコソリューションズ社 常務 ライティング事業部 事業部長 丸山 英治氏は、まず、これまでのライティング事業の歩みを振り返る。今年創業100年を迎える同社が、電球の生産を開始したのが、1936年のこと。今年で80年超となる伝統を持ち、パナソニック創業の歴史にとって、欠かせない事業なのがライティング事業だとする。
その後は、1952年にプル式家庭用蛍光灯器具を、1980年には住宅用インバータ蛍光灯器具をリリース。1998年にはLED搭載器具を、2009年にはLED電球を発売。2016年には、今年で累計販売が1,000万台を達成したiDシリーズを発売している。
同社のライティング事業は、国内トップのシェアを占める。流通しているライティング機器の半分近くが同社製と言える。そうした状況では、国内では売り上げに関して大きな成長は望めない、というのが同社の認識。一方のグローバル事業では、4位というポジション。
「グローバルに関しては、まだ拡大させる余地が多いです。特にACTION地域、中でも中国やインドネシア、インドなどを重点に、拡大をしていきたい。
特に中国事業は、ウェブ販売を中心に非常に好調です。直近の11月11日の“独身の日”には、ウェブ販売だけで昨年比135%と、需要を取り入れて売り上げを伸ばしています。今後も、日本よりも大きな照明マーケットがある中国で、どう伸ばせるかがポイントになります」(丸山氏)
とはいえ、同社がグローバルで4位のポジションにあるのは、同社は新興国におけるニーズを正確に汲み取れていなかったためだと、丸山氏はこれまでを省みる。今後は積極的に人材をグローバルに送り、各地域に適応させた製品を提供していきたいと語った。
“あかり”に何かをプラスしていき、新たな価値を生み出していく
今年は前年比で106%の増収、3,250億円を見込むライティング事業。丸山氏は早い時期に4,000億円にまで伸ばしたいという。そのためには、ライティング事業のさらなる進化が求められる。進化とは、「モノ」を売るから、体験「コト」を売るへと転換していくことだと語る。
「今後もLEDの機能を十分に使い切り、“照らす”ということを極めて参りたいと思います。それに加えて、例えば心地よい音楽や、爽快な空気、美しい映像、便利な情報、生体の反応などを加えて、新しい価値を提案することが、今後は重要になると考えています」
さらにエコソリューションと言うと、住まいに特化した事業をイメージしがちだが、実際には住宅だけでなく様々な施設や店舗、屋内、屋外など街や社会には“あかり”が溢れているとする。また、自動車や鉄道、航空機向けなどモビリティにおいても照明が使われていると続けた。
「そうした様々なシーンで使っていただけるよう、従来の“あかり”に何かをプラスしていく、クロスバリューでご提案をし、商品化していきたいと考えています」
それらクロスバリュー提案の例として、スピーカー内蔵の照明や、センシング技術を搭載したもの、部屋に天窓のような爽快感を実現する照明などの構想を語った。
「さらに直近では、ラグビーW杯やオリンピックを控えており、スポーツにおける照明の需要も高まって参ります。これまでは、低グレアや色再現性、フリッカー制御などの高い技術力を、市場で訴求してきました。それらに加えて今後は、エンターテインメントの質を高めるために、あかり+映像、さらに音響を加えるなど、エンターテインメントの総合演出をパナソニックグループとしては手がけていきたいと考えています」
これらエンターテインメント領域については、既に発売されている4K・8K放送対応のLED投光機や、プロジェクター機能を搭載した照明器具「Space Player」などについても触れた。
「街、社会、住まい、モビリティ、こういった社会インフラと繋がるライティングということで。“あかり”を核にしながら、様々な空間で商材をつなげて、新しい価値や空間の提案を引き続き強力に推進していきたいと考えております。
そして、さきほども申し上げましたが、現在3,250億円の売り上げ目標を、2020年以降の早い段階には4,000億円にもっていきたいと考えています。そのための成長エンジンは、新規事業と海外事業であります。当社は、さらにクロスバリューによる新商品の提案をしていくことで、事業の拡大につなげていきます」(丸山氏)