長期レビュー
富士通ゼネラル「nocria(ノクリア) Xシリーズ」
富士通ゼネラル「nocria(ノクリア) Xシリーズ」 その2
~エアコンの使いやすさはリモコン次第!
(2013/6/20 00:00)
従来とは全く違う機構を搭載した新しいエアコン
富士通ゼネラルの「nocria(ノクリア) Xシリーズ」のレポートをお伝えしている。Xシリーズは、「足もとが冷える」「頭の方ばかり暖かくなってしまう」など、従来のエアコンの問題点を独自のサイドファン機構で解決した画期的なモデルだ。一般的なエアコンの送風口とは別に、両サイドにファンを設けることで、室内の気流を効率的にコントロール、より快適な空間を作り出す。
これまでのエアコンとは全く違う違う機構で、見た目も斬新なため、ともすると“イロモノ”だと思われるかもしれないが、実際使ってみたところ、その実力は確か。室内の空気を素早くかき回してくれるので、電源を入れてから涼しさを感じるまでが従来のエアコンに比べてずっと短かかった。サイドファンの詳しい機構や、構造は1回目で紹介しているので、そちらをご参照いただきたい。
メーカー名 | 富士通ゼネラル |
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製品名 | nocria(ノクリア) Xシリーズ 18畳用「AS-X56C2」 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | ビックカメラ.com |
購入価格 | 228,000円 |
エアコンの使いやすさはリモコン次第!
2回目となる今回はXシリーズのリモコンと省エネ機能についてご紹介する。
まずは、リモコンについて。最近のエアコンはとにかく高機能化が進み、いくつものセンサー、モードが用意されてあり、自分の好みに応じて、風量から風向きまで細かく設定できる。これらの機能を操作するのは、全てリモコンだ。つまり、そのエアコンが使いやすいかは否かは、リモコン次第といっても過言ではない。
結果からいうと、nocria Xシリーズのリモコンは、これまで私が使ってきた中でベスト。つまり、使い勝手もバッチリだった。
とはいえ、リモコンの使いやすさって何? と言われても困るという人も多いだろう。わかりやすいところでいえば、ボタンが押しやすいとか、持ちやすいとか、液晶画面が見やすいなど、いくつかの要素があるが、nocria Xシリーズのリモコンはこれらの要素を遙かに上回る使い勝手を実現している。
それは、nocria Xシリーズのリモコンがこれまでのエアコンとは全く違う機構を搭載しているからだ。まずは「電波式」のリモコンであるということ、もう1つは、温度センサーを搭載しているということだ。
玄関でリモコンを操作しても電源が入る!
まずは電波式について説明しよう。エアコンに限らずテレビや、扇風機、AV機器など、家庭の中には様々なリモコンがあるが、その多くは通信方式に赤外線を利用している。一方、nocria Xシリーズのリモコンは、2.4GHz帯の電波式を採用。通信方式が違うと何がいいのかというと、一番わかりやすいところでいうと、リモコンを製品本体に向けなくても、確実に操作できるという点。
これまでリモコン操作というと、操作したい機器に向けてリモコン先端を向けるのが当たり前だった。例えばテレビのリモコンを操作するときに、前にテーブルなどの物や、人が居て、うまく操作できなかったという経験はないだろうか。操作したいのに反応がよくないと、ちょっとしたストレスにもなる。
しかし、nocria Xシリーズのリモコンは、この煩わしさが一切ない。前に人がいようと、ソファがあろうと、違う部屋からだって、リモコンの操作がごくスムーズにできる。実際、nocria Xシリーズを設置しているリビングから20m近く離れた玄関で、リモコンを操作してみたところ、リビングにあるnocria Xがすぐに反応して、運転を開始した。
この利点を活かして、1台のリモコンで複数のエアコンを管理することもできる。機種は富士通ゼネラルのnocriaシリーズに限られるものの、最大5台までのエアコンを1台のリモコンで操作できる。つまり、リビングにいながら、寝室のエアコンを操作することもできるのだ。
また、詳しくは次回紹介するが、パソコンによる電気代の管理にも対応する。エアコン本体に蓄積されている電気代や運転時間といったデータをリモコンに電波で送信、リモコンとパソコンをUSB経由でつなぐことでパソコン上でデータを管理できる。リモコンにはUSBポートも用意されているのだ。
リモコンの温度センサーで室内の温度差を賢く解消
次に、nocria Xシリーズのリモコンに搭載されている温度センサーについて紹介しよう。温度センサー搭載と聞いても、「それって普通じゃないの?」と思う人もいるかもしれない。確かに最近のエアコンは、温度センサーのみならず、人感センサー、湿度センサーなど複数のセンサーを搭載しているのが普通だ。しかし、それはあくまでエアコン本体にであって、リモコンにではない。
nocria Xシリーズでは、エアコン本体とリモコンの両方に温度センサーを搭載している。それは、それぞれの置く場所が違うからだ。室内の高い位置に設置するエアコンと、ユーザーのすぐ近くにあるリモコン、2つの温度を検知することで、室内の温度差を比較。室温が温度設定を越えていた場合、自動で運転を制御し、暖めすぎや冷やし過ぎを防ぐという。独自のサイドファン機構に加えて、センサー検知でも、室温の温度ムラを抑えているのだ。
聞き取りやすい音声案内で、操作も楽々
エアコンそのものの使い勝手にも満足している。液晶画面も大きくて見やすいし、ボタン配置部分が細くなったデザインも持ちやすい。特に満足しているのが、音声案内機能。30代の筆者にとって、これまで音声案内機能に頼るということはあまりなく、しばらく使って、機能を理解したら、音声をオフにするということがほとんどだった。しかし、nocria Xシリーズでは、運転開始だけでなく、設定温度も音声で案内してくれるので、とてもわかりやすい。
特に気に入ったのは「お知らせ」機能。独立した「お知らせ」ボタンを押すと、室内の温度・湿度に加えて室外の温度も音声で知らせてくれるというもので、運転モード設定の目安にもなるので、便利だ。
人感センサーで室内の人を感知、自動で省エネ運転に
次にnocria Xシリーズの省エネ機能についてご紹介しよう。他社のエアコン同様、Xシリーズも省エネ機能に力を入れており、高密度のマルチパス熱交換器、センサーによる自動温度制御や、待機時の消費電力ゼロ機構などを搭載している。今回リビングに設置した18畳用の「AS-X56C2」の場合、APF(通年エネルギー消費効率)は5.5、期間消費電力量は2,040wKh、省エネ基準達成率110%で、同クラストップクラスの省エネ性能を備えている。
Xシリーズでは様々な省エネ機能を搭載しているが、その中でも私が便利さを実感したのは、人感センサーで室内に人がいるか、いないかを判断して、自動で運転を制御する「不在eco」機能だ。室内に人がいない状態が10分以上続くと、設定温度を自動で控えめにするほか、30分以上不在が続くと自動で運転が停止する。いずれも人が戻ってくると、自動で運転が再開するというものだ。不在eco機能をオンにしておくだけで、あとは全て自動でやってくれるので、使う側は何も手間がかからない。外出時にエアコンをつけっぱなしにしてしまったという時も安心だ。
このほかにも本体では、就寝時に便利な「おやすみタイマー」機能、1日4回までセットできる「マルチタイマー」機能、使用電流の上限を抑えることができる「電流カット」機能など、様々な機能を搭載する。「不在eco」機能に加えて、これらの機能を使いこなすことで、より上手に省エネ運転できるだろう。
今回は、特にnocria Xシリーズのリモコンについて紹介してきたが、いかがだったろうか。サイドファンという新しい機構に加えて、リモコンにも独自の機構を備えているあたり、エアコンの進化を改めて実感した。他メーカーとは異なるアプローチで独自の路線を歩むところに、空調機メーカーとして長い歴史を持つ富士通ゼネラルの実力を感じる。
最終回となる次回は、パソコンによる電気代管理機能、内部のお手入れ機能についてご紹介する。引き続きよろしくお願いします。