長期レビュー

三洋電機「eneloop/eneloop lite」最終回

~エネループライトは充電器に注意! メモリー効果も実験
by 藤山 哲人

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



エネループとエネループライトの連載も今日で最終回。今回は充電器とメモリー効果の話をするよ!

 これまで3回に渡って紹介してきた、三洋電機のニッケル水素電池「eneloop(エネループ)」と「eneloop lite(エネループライト)」の連載も、今日が最終回。これまでの内容
は、次のようなものだった。

  [1回目はこちら] ニッケル水素電池の基礎、エネループとエネループライトの違い
  [2回目はこちら] エネループを間欠使用した場合の変化、乾電池との基本的な違い
  [3回目はこちら] 繰り返し充電による能力の劣化

 最終回のテーマは、エネループシリーズは「継ぎ足し充電をしても影響が少ない」ことに関する実験だ。そして「エネループライトの安さの秘密は、セットの充電器にあった!」という、購入時の注意点についても紹介しよう。安い分だけ機能が少ないが、場合によっては同梱の充電器では使いづらい! という人も多々出そうなので、どれを選んだらよいのか、という買い物ガイドも紹介させていただく。


エネループライトの安さの秘密は充電器にアリ!

 まずは、エネループとエネループライト、何に注意してどうを買えばよいのか、という本連載の結論な話をしてしまおう。冒頭にも述べたとおり、エネループライトが安いのは、セット品の充電器の性能が大きく影響している。もしかすると、この充電器だと人によってはかなり使いづらいくなってしまうかもしれない。

 エネループを持っていない人が、これから“エネループの輪”に入ろうというのであれば、まずは充電器とのセットを買うだろう。エネループの「単3形エネループ4個付 残量チェック機能付 急速充電器セット(N-TGR03AS)」であれば、4,980円になる(価格はヨドバシ.com 10月20日時点。以降の価格も同様)。

 一方、エネループライトには単3が4本付属というパッケージがないので、充電器+単三電池4本というセットを揃える場合には、1,280円の「単3形エネループライト2個付 充電器セット(N-TGL01QS)」と、別売の電池2本セットのエネループライト(HR-3UQ-2BP 580円)を合わせることになる。この場合、合計1,860円と、通常のエネループセットより3,120円も安いことになる。

 ただし、電池4本だけの価格で見ると、実はあまり差がなかったりする。単三のエネループは1,480円(HR-3UTGA-4BP-Y)、単三のエネループライト4本(HR-3UQ-2BP×2セット)で1,160円。何と、電池だけだとその差は320円しかない。でも、紹介記事では「エネループより3割程度安く、エントリー向け」なんて言葉を目にする。

エネループを初めて購入する場合には、最初は充電器と電池のセット品がちょうど良い。写真は、急速充電器と単3エネループ4本のセットの「N-TGR03AS」。価格は4,980円(ヨドバシカメラのネットショップ。以降も同じ)充電器と電池4本セットをエネループライトで揃える場合は、充電器と単三2本セット「N-TGL01QS」に、別売のエネループ単三2本セット「HR-3UQ-2BP」を購入する。合計で1,860円。安い!

 この数字のマジックは、実はセットになっている充電器の価格と機能差にある。それを示したのが、次の表だ。


-エネループライト同梱の充電器
(NC-TGL01:単体で販売なし)
エネループ同梱の急速充電器
(NC-TGR03)
充電時間:単3エネループ4本およそ7時間およそ3.7時間
充電時間:単3エネループライト4本およそ3.5時間およそ1.9時間
充電時間:単3エネループ2本およそ7時間(倍速充電なし)およそ1.7時間(倍速充電)
充電時間:単3エネループライト2本およそ3.5時間(倍速充電なし)およそ1時間(倍速充電)
充電可能最小単位2本ずつ1本ずつ
ニッカド電池対応×
リフレッシュ充電×
残量チェック機能×
※NC-TGR03のマニュアルでは、エネループライトの充電可否について触れられていないが、
三洋電機のWebページでは対応とされている

 エネループライトに同梱されている充電器「NC-TGL01」は、明らかに機能を削ぎ落とし、コストダウンしているのが分かるだろう。中でも一番困るのが、充電可能な最小単位だ。エネループライト同梱の充電器は、2本または4本単位でしか充電できない。説明書にも、「電池1個の場合、どの場所に入れても充電できません」と描かれている。

 つまり、電池1本や奇数本を使う機器では、あと1本、空の電池が出てくるまで充電ができないのだ。今回の実験は、すべて1本単位で行なったため、非常に不便だった。また空の電池がないといって、満充電された電池と、使い切った電池を混ぜて充電するのは、一般的によくないとされている。これを解決するには、

必ず空の電池を1本残しておくより他ない!

 ちなみにエネループに付属の充電器は、一部を除いて、1本単位で充電できるようになっている(イルミネーションが3色に変わるタイプ「N-TGC01」は1本充電不可)。

 というわけで、価格の差は充電器の性能で大きく出ている。これは使い勝手を大きく左右するので注意したい。

【初めてエネループライトの買う場合】

・必ず電池を偶数本で使う人、とにかく安さを求める人は、充電器セット「N-TGL01QS」の購入でOK

・奇数本で使うことがよくあるが、安く済ませたい人は、充電器のセット「N-TGL01QS」を購入したうえで、機器に必要な本数+1本以上の電池を持っておく(面倒臭そうだけど)

・奇数本で使う場合がよくある場合には、充電器とエネループライトをそれぞれ単品で購入する。その場合の充電器は、急速充電器「NC-TGR01」「NC-TGR03」(いずれも最大4本まで)、「NC-TGR02」(最大2本まで)がお勧め

単3形エネループライト2個付充電器セット(N-TGL01QS)単3形エネループライト2個付充電器セット(N-TGL01QS)と予備の電池写真は急速充電器(NC-TGR03)と必要な本数のエネループライト

【初めてエネループを買う場合】

・必ず電池を偶数本で使う人、できるだけ安くしたい人は、充電器と単三2本のセット「N-TGC01AS」でOK(1,796円、Amazon.co.jp 10月20日時点)。エネループライトの初期セットと同様、2本または4本でしか充電できず、急速充電もできないが、3色のカラフルなイルミネーションで充電できる

・奇数本でも使う人は、先ほど挙げた奇数充電に対応の急速充電器「NC-TGR01」「NC-TGR03」「NC-TGR02」と電池のセット品が良い

充電器はエネループライトに同梱相当品の単3形エネループ2個付イルミネーション充電器セット(N-TGC01AS)単3形エネループ4個付残量チェック機能付急速充電器セット(N-TGR03AS)

 ちなみに、継ぎ足し充電が多い人(詳しくは後述)は、リフレッシュ機能付きの「NC-TGR03」をお勧めしておこう。

 話しは逸れるが、エネループシリーズは充電器の種類が本当に豊富。パソコンのUSBコネクタに接続して充電するものや、太陽電池を使ったソーラー充電器など、使うシーンに合わせて充電器が選べてしまう。

USBコネクタに差し込むと、単三を4.6時間で充電できるUSB専用充電器セット「N-MDU01AS」ソーラー充電器セット「N-SC1AS」では、太陽電池でエネループが充電できる


充電式電池の寿命が短くなったように見える「メモリー効果」とは?

 さて、最後に実験するのはエネループシリーズの「メモリー効果」についてである。

 メモリー効果という単語を聞いても、ピンと来ない人もいるだろう。ニッカド電池や、一般的なニッケル水素電池によく見られる現象だが、メモリー効果とは、蓄えられている電気をすべて使い切らずに充電器にかける(要は、継ぎ足し充電のこと)を重ねると、“見かけ上”の電池容量が少なくなってしまう現象を表わす言葉。“見かけ上”というのは、継ぎ足し充電で満充電しているにもかかわらず、機器がバッテリ残量の警告表示をしたり、装置がパワフルに動かなくなる、という意味だ。

 これまで全4回にわたって、電池が放電する様子をたくさん見てきたが、その放電具合を表すグラフは、通常はなだらかなカーブを描いて、時間とともに電圧が終止電圧に近づいている。しかしメモリー効果が発生すると、継ぎ足し充電をはじめた容量付近になると、電池内にはまだ十分電気があるにも関わらず、出力される電圧が急激に下がり出す。その結果、バッテリ残量警告が表示されたり、機器がパワフルに動かなくなる。

 つまり、まだ電池にはたくさんの電気が蓄えられているにも関わらず、あたかも電池切れしてしまったかのように見えるのだ。

 「ややこしい話で分からないよ!」という読者は、エネループのマスコット「エネルーピー」がアニメーションを使ってメモリー効果を分かりやすく説明しているので三洋電機のホームページを見て欲しい。

三洋電機のホームページでは、エネループの特徴をアニメーションなどを使って説明している。メモリー効果についてもっと簡単に知りたい人は、目を通していただきたい(写真はスクリーンショット)


【実験その10】メモリー効果を確認しよう……が、エネループライトでは確認できず

 エネループやエネループライトは、このメモリー効果が発生しない、もしくは発生しにくいと言われているが、本当なのかを実験してみよう。

 結果から言えば「メモリー効果が原因と思わしきグラフになるものの、ほとんどの機器は使える時間が極端に短くなったりしない」と言っていいだろう。

 まずはエネループライトで実験してみた。実験内容は、電圧が1.2V(縦軸いちばん下)になった時点で使用を中断して、充電器にかけるという作業だ。繰り返し充電による性能の劣化とほぼ同じ実験ではあるが、終止電圧の1.0Vになるまで電池を使わない点で異なる。

 しかし、予備実験の期間がなく、何回繰り返せばメモリー効果が発生するのかが分からない。五里霧中の状態だが、とりあえず16回の継ぎ足し充電をしてみた。それが次の表だ。まずは繰り返し1.2Vまで使った電圧の変化を見てみよう。

エネループライトのメモリー効果を見る実験。1.2Vまで減ったところで充電を繰り返しているが、16回やってもあまり偏りが出ず、メモリー効果は確認できなかった。なお、5回ごとに線の色を塗り分けている

 1回目の赤い線は、直前まで終止電圧まで使っていたエネループライト。1回目は1.2Vになるまで約17分かかったが、使い継ぎ足し充電を繰り返した2回目以降は、9~10分だった。グラフは赤が1~5回、青が6~10回、緑が11~16回に色分けしてみたが、偏りなどは見られない。これから考えると、まだまだメモリー効果が起きているということはいえそうにない。

 この16回継ぎ足し充電したエネループライトを、終止電圧の1.0Vまで使い、いつも終止電圧まで使っていたエネループライトと比較してみた。

継ぎ足し充電を16回したエネループライトと、16回使い切った電池の比較。継ぎ足し充電した赤い線は、序盤の電圧の下がり具合が、終止電圧まで使っていた青い線に比べると少し急になっている。中盤の電圧も若干低めだが、終止電圧にあんるまでの時間は長い

 終止電圧まで使っていたエネループライト(青い線)に比べると、継ぎ足し充電したエネループライト(赤い線)は、電圧の落ち方が若干急に見える。また中盤も、継ぎ足し充電したエネループライトの方が、電圧がわずかに低くなっている。

 とはいえ、終止電圧になるまでの時間を見てみると、継ぎ足し充電したほうが14分(8%)ほど長くなっている。この原因は筆者の勉強不足で分からないが、少なくとも電圧が急に下がるポイントはないので、メモリー効果が発生していると断言できない。もどかしい言い回しが続いて申し訳ないが、五里霧中の実験ということでご了承いただきたい。


【実験その11】エネループでメモリー効果確認。そういやライトでも発生してました

 どうも、エネループライトは電池容量がエネループの半分ということに加え、繰り返し使用回数がエネループよりも長いことから、16回ぐらいではメモリー効果が発生しないのかもしれない。今度は容量2倍のエネループを使い、40回の継ぎ足し充電をしてみた。

継ぎ足し充電中の様子。1.2Vまで電圧が落ちる時間が回を追うごとに短くなり、0分の時点の電圧も除々に下がっている。グラフは1~10回(赤)、11~20回(青)、21~30回(緑)、31~40回(ピンク)

 結果、メモリー効果っぽい様子が伺えた。なお、上のグラフは回数ごとに色を塗り分けており、1~10回(赤)、11~20回(青)、21~30回(緑)、31~40回(ピンク)となっている。

 エネループライトの時は偏りがほとんど見られなかったが、電圧が1.2Vまで下がる時間を見ると、21~30回、31~40回と継ぎ足し充電を繰り返すうちに、22分を要していたものが8分にまで短くなっている。また、電圧を示す縦軸の0分を見ると、継ぎ足し充電を繰り返すごとに、当初1.28V程度あったものが、1.24Vまで徐々に落ちてきていることが分かる。これはおそらくメモリー効果によるものだろう。

 この1.2Vで使用を中断→継ぎ足し充電を40回繰り返したエネループを終止電圧まで連続使用して、電圧を測定したのが次のグラフの赤い線(継ぎ足し充電1)だ。青系の線は、終止電圧まで使ったエネループになる。

青系の線が終止電圧まで使ったエネループ。赤系の線は継ぎ足し充電を40回行なったエネループ。比べると、継ぎ足し充電し続けたエネループ(継ぎ足し充電1)のスタート時の電圧がとにかく低いのがわかるだろう。これがメモリー効果だ

 赤い線がほかと異なるのは、開始直後の電圧。見事に電池の使用を中断した1.2Vをメモリーしているのが分かる。実験では毎回キッチリ1.2Vで使用を中断していたため、極端にグラフに出てしまったのだろう。実生活ではおそらくありえないが、これがメモリー効果というヤツだ。

 この場合、満充電した電池をデジカメに入れるとすると、1.2Vしか出力されないため、バッテリ残量計はいきなり半分を示す。また機器によっては、いつもより暗い、遅いと感じるだろう。2回目で、乾電池とエネループの近いをムービーで紹介したように、0.2Vの差は意外に顕著に現れるためだ。

 ちなみに、終止電圧まで使っていたエネループは青系の線になる。これと比較すると、エネループライトのとき同様、継ぎ足し充電した時のほうが、電池を使い切るまでの時間が長くなっている。

 ここで、継ぎ足し充電を行なったエネループを、いったん終止電圧まで使い切ってみた。すると、オレンジ(継ぎ足し充電2)やピンク(継ぎ足し充電3)で示した線のように、メモリー効果は解消され元のカーブを描くようになった。これが後述する「リフレッシュ」ってヤツ。メモリー効果でスタート時の電圧が落ちても、終止電圧まで使い切って再充電すれば、メモリー効果は解消できるというわけだ。これについては、次の項で詳しく紹介する。

 実は、連載第3回に行なった、エネループライトの繰り返し充電による劣化でも、メモリー効果を起こしているのだった。3回目と同じグラフだが、目を通していただきたい。

こちらは、第3回目に掲載したエネループライトの繰り返し使用による劣化実験のグラフ。1.25V、20~30分の付近の赤い線が、少しゆがんでいるのが分かるだろうか? これもメモリー効果のひとつだ矢印部分は、これまで見てきたカーブとは大きく異なっている。これは締め切りのケツ合わせで強引な電池の使い方をしており、電池が完全に使用し切れていないためだ

 この実験では、締め切りに間に合わせるためにかなり強引な電池の使い方(抵抗1Ω)をした(笑)。その結果、通常とは異なる、妙なカーブが描かれたことがあったが、これは電池を完全に使ってないためだ。その結果メモリー効果が発生してしまい、先のグラフの丸で囲った部分でメモリー効果の影響が出ている。

 このように「見かけ上の電池容量が減る」メモリー効果は、エネループの場合、継ぎ足し充電を30回以上繰り返すと発生するようだ。バッテリー残量計などの機器では、いつもより早く電池が減っていくような挙動を示すようになる。

 エネループシリーズではメモリー効果が発生しても、基本的には電池容量がいつもより大幅に変わることは少なく、終止電圧までの時間もさほど変わりないので、あまり気にしすぎることはないかもしれない。しかし、まだ100回も使っていないのに、満充電したのにバッテリ残量が残りわずか、と表示されるような場合は、メモリー効果の発生を疑ってみよう。


使える時間が極端に短くなったら、終止電圧まで使ってリフレッシュ

 このメモリー効果、前項でも述べたが、かんたんに解消できる。エネループの場合はメモリー効果が発生しても、電池を1回終始電圧の1.0Vまで使い切ればほぼ解消される。

40回継ぎ足し充電したエネループのグラフを改めて掲載。矢印の部分で、リフレッシュによるメモリー効果解消の効果が見える

 ただデジカメのようにバッテリ残量計があり、既定の電圧を下回ると自動的に電源をOFFにしてしまう機器では、既定電圧が終止電圧の1.0V以上に設定されていると、電池を使い切ることができない。このような機器では、メモリー効果が起こりやすい。

 こんなときに便利なのが、リフレッシュ機能つきの充電器「NC-TGR03」だ。要は電池を終止電圧まで使い切ってから充電を開始するという機能だ。これなら、ボタンを押すだけで簡単にエネループのリフレッシュができる。ただし、電池を一度使い切ってから再度充電するため、時間が掛かってしまう点にはご注意。

リフレッシュ機能つきの充電器「NC-TGR03」では、写真のボタンを長押しして充電を開始すると、いったん終止電圧まで電池を使い切ってから充電が開始される。放電時間も含まれるので、完全に充電されるまでには7時間ほどかかるのに注意リフレッシュ充電中はこのランプが光りお知らせする。充電に切り替わると各スロットに対応したランプが光り出す

 「充電器に4,000円払うのはもったいない」という場合は、奥の手として100円ショップなどで豆電球式の懐中電灯を買ってくるといいだろう。第1回の連続利用したグラフから分かるとおり、エネループは満充電で約9時間、エネループライトは約4時間で終止電圧となる。エネループで半分ぐらい使ったかな? という場合なら、寝る前に懐中電灯をつけて翌日早起きするとちょうど終止電圧ぐらいになっている頃合いだろう。エネループライトなら、懐中電灯をつけっぱなしで映画を1本見終われば、だいたい終止電圧になっているハズ。ただ、連載を読み付けている方ならお気づきだろうが、点灯しっぱなしにすると過放電の危険性もある。

総額1,000円もしなかったリフレッシャーキット。1.0Vで動く電磁石が入っていて、これが回路のスイッチになっている。つまり電池が切れると電磁石の力が弱まって自動的に放電が止まるという実にアナログな放電器だ(笑)

 もし「半田付けぐらいならできる」という人であれば、電子工作キットで有名な秋月電子で「ニッカド電池放電器(リフレッシャー)キット」(ニッケル水素もOK)が1200円で手に入る(通販もあり)。もっとも筆者が愛用しているのは、もっと簡易なこんなもの(右の写真)。こちらは、秋月のご近所にある千石電商でどうぞ。


【コラム】なんで一般的なアルカリ電池でエボルタを使ったの?

 さて連載中、読者より「一般的なアルカリ電池として、なぜパナソニックの『EVOLTA(エボルタ)』を使ったのか」という質問を読者からいただいた。いわく「値段の高いエボルタと比較するより、もっと安くて一般的なアルカリ電池と比較して欲しかった」というものだ。

 実は、他媒体でアルカリ電池の比較実験をしたのだが、一概にアルカリ電池といっても100円ショップで売っているものから、超ハイパワーっぽいネーミングの有名メーカー製のものまであり、性能はバラバラだ。また同一メーカーから複数のアルカリ電池が発売されていて、大電流が得意な電池や、小電流で細く長く使える電池など個性を持たせているものがある。しかも高いものが高性能というワケでもなく、国産メーカーなのに100円ショップの電池に劣る(マジ!?) という下克上が繰り広げられ、実にややこしい世界なのだ。

 さらにややこしさに拍車をかけるのが、電気店やスーパー、コンビニなどのプライベートブランド商品。OEM供給元が、超有名な国内企業のものだと比較的高性能なんだが、某国から輸入しているヤツだとぜんぜんダメだったり……。充電式電池のような、電池容量を示すmAhの表記もないので、使ってみなけりゃ性能は分からないというぐらい混沌としている。

 そこで、以前実験した結果からどんな機器に使っても平均点を出せる電池でかつ、どこでも入手できる乾電池ということで絞り込んだ結果がエボルタというワケ。ご納得していただけましたでしょうか?

 またある読者からは、通称“パナループ”こと「充電式エボルタ」のレビューもして欲しい! というご要望をいただきましたが、それはまた別の機会に。なにせたった2種類の電池をレビューするのに、昼夜を通して1カ月以上も実験をしなけりゃならないのが充電式電池なのです……。


結論、やっぱりエネループシリーズは謳い文句通りスゴイ!

 これまで4回に渡ってお届けしてきたエネループ&エネループライトの紹介。ややこしいお話もあったけど、それだけ奥が深いものということが分かっていただけたでしょう。なにせたった2種類の電池で4週間も連載やれるほどネタがあるのです。炊飯器は連載3回でいっぱいイッパイだったけど(笑)。

 最後にこれまでに分かったポイントをザックリまとめておこう。


【エネループシリーズの特長】

・エネループシリーズは製造から半年経っても電池容量は95%程度。乾電池と同様に買ってスグに使える
・でも、パフォーマンスを最大限に引き出すには買ってから5回ほど充放電を繰り返す
・エネループライトは、電池容量がエネループのほぼ半分
・デジカメにエネループシリーズを入れると電池残量がスグに半分になり、ずーっと半分の状態が続くのはエネループの特性
・通常に使っていれば、100回放充電を繰り返しても劣化は10%程度しか起きない


【使い方のポイント】

・エネループシリーズは連続使用しても間欠使用しても利用できる時間に大差はない
・エネループシリーズは突如電池切れを起こすので残量に要注意
・同じ電池はできるだけ同じ機器で使うとパワフルで経済的
・継ぎ足し充電によるメモリー効果は30回ほど繰り返すと出はじめる。ただ、実用上は問題なし
・たとえメモリー効果が発生しても1回リフレッシュ充電すれば、ほぼ元通りになる
・電池を奇数本で使う場合は、セット売りの充電器に注意
・マニュアルには明記されていないが、エネループ用の充電器はエネループライトにも使える


【エネループシリーズの禁じ手】

・エネループシリーズの電圧は乾電池よりわずか0.2V低いが、モーターや電球では顕著な違いがある
・時計やリモコンなど消費電力の少ないものにエネループシリーズを使うと過放電になり繰り返し使える回数に影響が出る
・50℃を越えた環境で使うと劣化を早める。保存時は30℃なので涼しいところに置いておく


 あと、「エネループ人形は売ってない」というのも入れておこう(笑)。



 エネループとエネループライトは、全体的には自己放電の少なさ、間欠使用でも使用時間は変わらないなど、容量と繰り返し使用回数を除けば、ほぼ同じ性能を備えているようだ。使い分けとしては、携帯音楽プレイヤーやICレコーダーなど、消費電力が少ないものであれば、安いエネループライトを使って繰り返し使える回数を稼ぐといい。エネループだと長持ちしすぎて「いつ充電したっけかな?」ということになり、イザ使おうと思ったら電池切れなんてことになりかねない。

 本家エネループは、やはりその容量の多さを活かして、ストロボや一眼デジカメといった大電流の機器に使うといいだろう。仕事で何百枚も撮るようならエネループ、逆に旅行先の観光名所でスナップを撮る程度であれば、安いエネループライトで十分だろう。

 性能に偽りなし! それがエネループシリーズなのだ!

 ……と話をまとめたところに、編集部から荷物が届いた。

「ぬぁにぃっ! 今度は○○社の充電式電池かっ!」

 筆者はいつから“電車男”ならぬ“電池男”になったんだ! ということで、近いうちにまた電池のレビューをやりますので、よろしくお願いします!



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2010年10月22日 00:00