カデーニャ
タッチも不要! QRコードで決済できる中国の「WeChat Pay」体験記
2018年7月31日 08:00
喉が渇いて仕方がない! そんなとき目の前に飲み物の自動販売機があったら、思わず小銭を入れてボタンを連打しますよね。もしくは電子マネーのカードやおサイフケータイをタッチしてボタンを連打しますよね。
でも、中国・深センでは……もとい、深センに限らず中国の至るところでは、自販機に触れることすらなく、もっと先進的な方法で購入できます。ましてやボタンを連打する必要なんかありません。ポイントはQRコードでした。
深セン宝安国際空港で見つけたこの自販機。小銭や紙幣を入れてボタンを押せば飲み物が手に入る、見た目はいたってフツーの自販機です。手っ取り早く喉を潤すなら、財布から4元(約68円)ほど取り出して支払い、ボタンを押せばいいだけの話。でも、そんな無粋なことは、ここ深センではやりません。
よく見ると自販機の前面に貼り付いているQRコード。写真からはWeChat PayやAlipay、Snapchatのアイコンが写っているのがわかります。どうやらスマートフォンアプリを通じて支払えることを表すマークのよう。
そこで、今や中国で最もメジャーなアプリの1つである「WeChat」の支払い機能「WeChat Pay」を使ってみることにしました。WeChatを起動してQRコードを読み込むモードに切り替え、自販機に貼り付けられているQRコードを写します。
あとは、そこで欲しい飲み物を選んでから、指示に従って画面を操作し、支払いを完了させます。決済が完了した次の瞬間、唐突にゴロンという音が聞こえ、自販機の取り出し口に選んだ飲み物が転がり落ちてきます。
ここまで自販機には指一本触れていません(正確には、飲み物を手に取る際に取り出し口のカバーに触れますが)。QRコードを読み取って、WeChat Payで支払うだけ。目の前にある飲み物を買うのに、実は自販機をじっくり見ることもせず、どちらかというとスマートフォンの画面しか見ていないというのは……なんとも不思議な感覚です。
現金やおサイフケータイのような電子マネーを使って購入するのと比べ、圧倒的に便利か、と問われれば「否」と即答できます。が、スマートフォンの操作だけで自販機を稼働させ、商品を手に入れる体験は、思わず誰かにその感動を伝えたくなるほどです。
ところで自販機の右隣にあったATMのような細長い端末。気になってはいたものの最初は何に使うのかわかりませんでしたが、どうやら割引クーポンをもらうことができるようです。端末の画面に表示される企業公式のWeChatアカウントをフォローすることで、商品購入時に0.5元(約8.5円)が差し引かれます。商品購入後に判明したのでワタクシは割引の恩恵にあずかれませんでしたが……。
日進月歩で技術が進化し続ける中国の勢いには目を見張るものがあります。今回の自販機のように、必ずしもそれが手間の軽減につながっているかというと微妙に感じるケースもあるけれど、どんどん新しい体験ができそうだな、という期待で気持ちが高ぶりますね。
ただし、残念ながら中国の銀行口座をもっていない限り、WeChat Payを自由にチャージして使うことは今のところできません。ただし、すでにWeChat Payを利用しているユーザーから送金してもらうか、羽田空港や歌舞伎町などに設置されている「ポケットチェンジ」という端末を使って入金すれば、日本人でもWeChat Payを支払い(だけ)に利用することは可能です。
なお、最近では日本でもWeChat Payの支払いに対応しているお店が増えていますが、中国以外でWeChat Payを利用するには「身份证」という、日本でいうマイナンバーのような個人IDを持っていないと使うことができません。旅行や仕事などで中国を訪れた際に使うのであれば、上記のような方法でチャージすることで中国でWeChat Payを利用することができます。
WeChat Payは使い始めのハードルは高いですが、みなさんもチャンスがあれば、自販機に触れずに飲み物をゲットできる不思議さと面白さをぜひ体験してほしいなと思います。
この記事は、2017年9月29日に「カデーニャ」で公開され、家電Watchへ移管されたものです。 |