年末特別企画

【年末特別座談会】家電のプロ5名が本音で語る2018年の家電製品 ~エアコン編

 2018年も残すところあと4日。今年もさまざまなニュースがあり、目新しい家電製品が多く発売された。その締めくくりとして、日々家電製品を取材し、弊誌にも寄稿いただいている石井 和美氏、小口 覺氏、神原 サリー氏、戸井田 園子氏、藤山 哲人氏の5名にお集まり頂き、座談会を開催した。

 座談会では、炊飯器、掃除機、洗濯機、エアコン、冷蔵庫の5ジャンルと、2019年の家電展望についてお話いただいた。司会は家電 Watch編集部の西村が担当。第4回は、エアコン、暖房器具など空調家電にフォーカスする。

スマホ連携モデルが増えたルームエアコン

無線LANアダプタの標準装備はIoT化を加速

――今回は空調家電ということで、エアコンや暖房器具、扇風機などいろいろありますが、2018年はどうでしたか?

神原 エアコンについてはIoT化が本格的に進んできたなと思いました。各社無線LANアダプタが標準装備になって、別途購入する必要がなくなったのは良い進化ですよね。

石井 別売だったときに後付けしたことがあるんですけどこれが大変で、もう大騒ぎ(笑)。エアコン設置したあとにまた業者を呼んで、となると時間もかなり取られます。

神原 アトリエにあるエアコンがそうでした。けれど自宅に設置したダイキンの「リソラ」は標準装備だったので、その手間がいらなかったのは良かったです。

 エアコンはスマートスピーカーやスマホとの親和性が高いじゃないですか。外出先から操作できるというのは、アトリエに行くときも自宅に帰るときも重宝しますね。電車に乗っているときに暖めておくのがもう習慣になっているので、寒い中仕事から帰ってくるときも、最初に帰ってきた人が寒い思いをすることがなくなりました。タイマー設定すればいいんですけど帰る時間が読めないこともあるし、遠隔操作できるのはやはり便利だと思います。

神原氏が自宅で使用している、ダイキン「リソラ」ソライロ

石井 アイリスオーヤマのスマホ連携エアコンもいいですよ。5~6万円という本体価格で無線LANアダプタが入っているのは凄いと思います。基本性能も、ちゃんと暖まるし、夏は冷える。正直そこも大丈夫かな? と思いながら選びましたけど、きちんと暖かくなりますね。

小口 アイリスオーヤマは、シーリングライトもあの値段で無線LAN搭載ですもんね。安さは正義(笑)。

――安かろう悪かろうでは意味がないですが、使えるのであれば問題ないですよね。値段とのバランスは大事だなと思います。

戸井田 インフラの構築という意味では、電子レンジが出始めたときも15万円という値段で高かったけど、安いメーカーがバンと出してくれたおかげで一気に普及率が上がりました。今Wi-Fiの普及率を上げるためには、アイリスオーヤマみたいなメーカーがいてくれないと、と思いますね。一方、大手メーカーさんには基礎技術をあげてもらう方向で。

神原 アイリスオーヤマが無線LANを標準装備したことで、エアコンをスマホ操作できるようになる人は増えると思います。

戸井田 中小メーカーさんの価値が出てきましたよね。役割分担がされているというか。

石井氏が使用している、アイリスオーヤマ「Wi-Fi人感搭載シリーズ」。5~6万円と求めやすい価格ながら無線LANアダプタを標準装備した

操作せずに快適と思えるのが、理想の空調

――2018年はエアコンのAI機能が再び盛り上がったと思う1年でした。

神原 とはいえAIを使って何をやるのかが、各社少しずつ異なりますよね。パナソニックの「エオリア」は、ウェザーニューズと組んで空気清浄機能の先読み運転をしていて、シャープは部屋の状況を学習して省エネ運転するという機能で、これからさらにどう使っていくんだろうというのは気になります。

パナソニック「エオリア」
シャープ「プラズマクラスターエアコン Xシリーズ」

小口 ドカ雪が降ったときも、40℃近い夏の酷暑も、オートで何もしなくていいという風になって欲しいですね。

石井 快適になるのが一番ですからね。そうなるとエアコンだけでなく、他のものとも連携していかないと快適にならないのではと思います。

戸井田 窓が空いたら運転が切り替わるとか。住宅との絡みが一番ハードル高いと思いますけど、やっていかないと進化しないですからね。AIについては、今が過渡期ではないでしょうか。

神原 AI機能ではないですが、リソラの快適自動運転はとても良いですね。犬のために暖房を24時間消さずに使っていて、思いのほか快適です。風に当たらずに、でも足元は暖かく、部屋がふんわり包まれたようになります。暖房をつけているという感覚があるわけではなく、何も変わらず、ほったらかしでもずっと同じ温度で快適です。デザインも良く、薄型のソライロは本当に気に入っています。

藤山 ダイキンや富士通ゼネラルのような空調メーカーは、部屋全体を快適にする点にこだわっていて、実際に優れているなと感じます。

石井 突き詰めると空調メーカーのエアコンはいいなと思いますよね。

ワット数表記が業界的に盛り上がる暖房機

――エアコン以外で面白い空調家電はありましたか。

戸井田 Dimplexの電気暖炉が好きですね。暖かさはそこそこですが、炎のゆらぎに癒やされています。

石井 ダイキンの遠赤外線暖房機「セラムヒート」も暖かいです。戸建てだと、とにかく寒いんですよ。足元が冷えて子供たちが寒い寒いと言ってるので、エアコンとは別に暖房機があるといいなと思ったときに候補に挙がりますね。シーズヒーターでヒーター面が赤くならないからまぶしくないのが特徴だけど、見た目はちょっとわかりづらいかな。

――運転中はオレンジのランプが点灯しますが、視覚的にわかりやすいようヒーター面も赤くなっても良いのかもしれないですね。

Dimplexの電気暖炉
ダイキン「セラムヒート」

石井 けれどセラムヒートは、操作部が300Wとか400W表記になったのはわかりやすくて良いですね。弱/中/強で表示されるよりも断然わかりやすいです。この時期複数の家電を同時に使うとブレーカー落ちてしまうので目安になります。

――300W、400Wでも十分暖かくて驚きました。暖房機って1,000Wくらいに設定しないと暖かさを感じられないものだと思いがちじゃないですか。

小口 300Wで十分なのはいいですね。ブレーカーは冬になるとよく落ちますから、目安になるのはありがたい。

戸井田 はっきりわかるし100W単位で変えられるのは嬉しい。ちょっとマニアックだと思うけど(笑)。

――確かに普段ワット数を気にする人は多くないですよね。日々家電に触れていると当たり前に思ってしまいますが、周知する意味でもワット表記は良さそうです。

横向きでも使用可能
新モデルでは操作部のワット表記になった

 座談会では家電のプロに2018年の家電製品について振り返ってもらったが、読者投票で今年の1台を決める「家電大賞 2018」も開催中。まだお済みでない方はぜひご投票を!

→「家電大賞 2018」投票ページ
 投票締め切り:2019年1月7日(月)23時59分