やじうまミニレビュー
コクヨS&T「電動ステープラー SL-C12LM」
■ステープラーを電動にする意味とは
電動ステープラー SL-C12LM |
普段、紙を綴じるときに使うステープラー(ホチキス)は手動のものが多い。数枚の紙を綴じるには、そんなに力もいらないからだ。
しかし、十数枚の紙をたくさん綴じるような場合のために、電動ステープラーという製品がある。簡単に言えば、モーターの力で針を打ち出して、紙を綴じる機械だ。
最近では、電動ステープラーは、コピー機やFAX複合機に内蔵されていることが多い。資料などをコピーするついでに、紙を綴じる位置さえ指定すれば、自動的に綴じてくれる。そのため、コピーしてから手でソートし、電動ステープラーで綴じるという作業を行なう機会は以前よりもずっと少なくなっている。
そういうわけで、あまりオフィスで見かけることがなくなった電動ステープラーだが、いつの間にか小型になり、乾電池で動くように進化していた。
今回試したのは、コクヨS&Tから9月に発売されたばかりの小型モデル「SL-C12LM」。片手で持てる大きさで、単三乾電池で動作する。
メーカー | コクヨS&T |
製品名 | 電動ステープラー SL-C12LM |
希望小売価格 | 3,150円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 2,490円 |
■単三乾電池と10号針を装填
「SL-C12LM」のサイズは、34×121×58mm(幅×奥行き×高さ)で、普通のステープラーと比べると、一回り大きい。本体の形が四角いので大きく見えるが、大人が片手で持てる大きさだ。
パッケージには本体と取扱説明書だけしか入っていない。使用する前に、単三乾電池4本と10号針を用意する必要がある。電池はアルカリまたはニッケル水素電池が推奨されている。エネループなどのニッケル水素電池が使えるのはうれしい。
コンパクトな紙箱のパッケージ | 内容は本体と取扱説明書だけ | 片手で持てる大きさ |
左側にある溝に紙を差し込む | 溝の入り口は広く、紙を入れやすい | 本体上面には紙の枚数やマガジンの開け方などが書かれている |
本体底部には乾電池の入れ方などが書かれている | 尾部の「OPEN」を開けて、乾電池を入れる | 単三乾電池4本が収まる |
10号針は、小型ステープラーで一番良く使われている針で、どこのオフィスでも買い置きがあるだろう。それがそのまま使用できる。10号針は、ひとかたまりが50本で、それが2つ、100本まで装填できる。
針を入れるときは、本体の尾部にある「PUSH」ボタンを押すのだが、金具はちょっと出てくるだけで、そのままでは針は入れられない。金具をちょっと下に押しながら、引き出すようになっている。最初はわかりにくいかもしれないが、電動ステープラー本体に貼られたシールにも使い方が書かれているので、そんなに戸惑わないですむだろう。
尾部の「PUSH」を押すと針のマガジンがちょっぴり開く | マガジンを押し下げつつ引くと、全部引き出せる |
SL-C12LMは本体のみでは約200gだが、単三アルカリ乾電池4本と針100本を入れた状態では295gになった。手元にあった普通のステープラーが115gなので、かなり差がある。手にすると、ずっしりとした重みがある。
一般的なステープラーとの比較 | 本機は四角いデザインなので大きく感じる | この角度から見ると、同じ針を使う製品であることがわかる |
針と乾電池を入れた状態で295gになる | 一般的なステープラーだと115g |
■紙を差し入れると自動的に綴じる
では、紙を綴じてみよう。電動ステープラー本体に、溝があり、そこに紙を入れるようになっている。
紙を綴じるときは、特にボタン操作などは必要ない。紙を奥まで差し込むと、溝の奥の金具が押されて自動的に綴じられる。この金具の位置は固定されているので、針が打ち込まれる位置はいつも同じで、紙の端から約1cmのところだ。
針は電動で打ち込まれるので、力はまったくいらない。ステープラーを紙の方へ移動させるだけだ。ただし、どのタイミングで、針が打ち込まれるかは、慣れるまでわかりにくい。針を打ち込むときの動作音は、“カシャ”という感じで気持ちが良い。
紙を綴じるときに力はいらない。綴じる位置がほぼ同じなのがわかる |
紙の枚数は、通常のコピー用紙で最大12枚とされており、実際にその枚数まで綴じることができる。紙の枚数が増えても、綴じる時の音には変化が感じられない。
とりあえず100回ほど紙を綴じてみた。最初は、いつ針が打たれるかというタイミングがわからないので、紙を強く押しすぎて斜めになってしまうことがあったが、しばらくすると慣れて、針を水平に打つことができる。
扱いに慣れて、カシャ、カシャという動作音が連続してするようになると、気持ちが良い。振動は小さいが、手の中で機械が動いているという感触が伝わる。
たくさんの書類を手動のステープラーで綴じていると、手が痛くなったり、集中が切れて綴じそこねたりすることがあるが、電動ステープラーだと疲れにくい。1学級分ぐらいの書類綴じは、楽にできる。
電池寿命が心配なので、そのあと針を300本打ってみたが、これぐらいでは何の変化もない。電池はかなり持ちそうな感触だ。
■制限はあるが便利な製品
左が本機で打った針、右がフラットクリンチ対応機の針 |
とても気に入った電動ステープラーだが、いくつか制限がある。
まず、最近の小型ステープラーでは、「フラットクリンチ」と言って、綴じた針の裏側が水平に製品が増えている。こうすると、綴じた書類を積み重ねたときに、斜めになってしまうことがないのだ。残念ながら、本機はこれに対応していない。
また、本機はかなり小型化されているのだが、それでもまだちょっと大きい。手の小さい女性や子供だと、持て余す感じがする。ステープラー本体を、机の上に置くという使い方もあるが、やはり、もうひと回り小さくなってくれるとありがたい。重さも乾電池の本数を減らすとか、単四乾電池にするなど、軽くする方法を考えてほしい。
あと、針を打ち込む位置が一定なのは、用途が限られてしまう。やはり用紙の端ギリギリに針を打ち込みたいという場合もある。用紙が入る溝の深さを調節できるようになるとありがたい。
最後に、綴じるのに失敗したときに、針を取るためのリムーバーが本体に付いていない点も気になるが、まぁ、これはほかの道具で代用できることだ。
細かい点をいくつか指摘したが、全体として、思っていた以上に面白い製品だった。カシャッという音とともに十枚の紙がらくらく綴じられるのは快感だ。本格的な電動ステープラーの代わりにはならないが、これで十分な場合も多いと思う。
数十部の書類を手動で綴じる機会が多い人や、手の力が弱い方には、ぜひお勧めしたい。
2012年 10月 15日 00:00
やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです