やじうまミニレビュー

カシオ「エクスワード XD-D8600」

~TOEICのリスニング対策もバッチリ! 進化した電子辞書
by 阿部 夏子


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


150もの充実したコンテンツ

カシオ「エクスワード XD-D8600」。片手で楽々持てるサイズ感も魅力

 今回紹介するのはカシオの電子辞書「エクスワード XD-D8600」だ。電子辞書を使うのは学生時代以来のこと。英米文学科専攻だった私にとって、電子辞書はまさに必須アイテムだったのだ。それから約6年、久しぶりに手にした電子辞書は、当時よりかなり進化していた。


メーカーカシオ
製品名エクスワード XD-D8600
希望小売価格オープンプライス
購入場所ヨドバシ.com
購入価格28,800円


 最初に本体の基本的なスペックから、紹介しよう。本体サイズは、148×105.5×17mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約310g(電池込み)。電源は単三形電池2本で、エネループにも対応する。単三形アルカリ乾電池を使った場合の、電池寿命は約130時間(音声出力機能を使わない場合)で、音声出力機能を使った場合70時間。エネループや充電式エボルタを使った場合、電池寿命は約100時間(音声出力なし)となる。
製品本体側面画面角度は無段階で調節できる

 肝心の機能はというと、これがすごい! まず驚いたのは、コンテンツの豊富さだった。エクスワード XD-D8600は、ビジネスマン用のモデルで、TOEICなどの資格・検定対策用のコンテンツを始め、ビジネス英語、さらには、日本史や世界史、政治経済などの教科書までを搭載。その数、なんと150コンテンツ。

TOEIC関係のコンテンツだけで8個搭載されている

 全てのコンテンツを挙げるとそれだけで、ものすごい文章量になってしまうので、ここではおおざっぱなジャンルだけを取り上げるが、広辞苑やことわざ辞典などの「国語系」、英和辞典などの「英語系」、英語はもちろん、『キクタン』『キクジュク』などの有名参考書なども収録した「英会話・トラベル」、TOEIC、漢検などのテキストが収録された「学習」、百科事典から昆虫図鑑までをカバーする「生活・実用」、パソコン用語や会計用語、オックスフォードのビジネス英語辞典などを収録した「実務・情報」など、とにかく多彩。さらに2,000タイトルもの文学作品やクラシックの名曲2,000フレーズまで搭載しているという。

 中でも注目したいのが、TOEICの音声ソフトの充実度だ。私自身、これまでに何度もTOEICの試験を受けてきているが、リスニングテスト対策には苦労した。リスニングテストの勉強をするには、まず5テープを用意して、テキストブックを用意して、音に集中できる環境も必要だ。それが、XD-D8600を使えば、電車の中であろうと、喫茶店であろうと、これ1台だけで勉強することができる。音声は本番のTOEICと同様、ネイティブ発音で、音のスピードまで調整できる。


「新TOEICテストスコアアップ」のリスニングテストを選択。ネイティブ発音で、リスニングテスト対策できる。解答は、キーボード手前に設けられているサブ液晶で行なう

 また、使い勝手に関しても学生時代と比べると飛躍的な進化を遂げている。カラー液晶にタッチパネルは当たり前、それどころか5.3型のメイン液晶とは別のサブ液晶まで付いている。メインの液晶では問題文だけを表示して、解答はサブ液晶でできるので、問題文に集中できる。

 さらに、メイン液晶の横には指で触れることで、画面をスクロールできる「スクロールパッド」も搭載されている。その使い勝手は、さながらスマートフォンのよう。iPhoneを使っていて、タッチパネルに慣れている身としては、とても使いやすかった。

メイン液晶とサブ液晶の2つの液晶パネルが用意されているサブ液晶はキーボード手前に配置されているメイン液晶の横に用意されている「スクロールパッド」。ここを指で触れることで、画面のスクロール操作ができる

海外出張で大活躍

 最近、ヨーロッパに10日間ほど出張する機会があったので、さっそくXD-D8600を携えて行った。国際的な家電見本市の取材だったため、ヨーロッパといえども取材は全て英語。さすがに取材中にXD-D8600を取り出して単語を確認するということはなかったものの、英語のプレスリリースを確認しながら、記事を書くときには大活躍だった。

 多彩なコンテンツにも助けられた。現地の取材でハンガリーのブダペストを訪れた時のことだ。ホテルの窓からは壮大な建物が見えるのに、何しろ仕事で行ったもので、事前の下調べは一切なし。ガイドブックなども用意していないので、その建物が何なのか、どういった歴史があるのか全く分からなかったのだ。そこで、さっそくXD-D8600で「ブダペスト」を検索。すると、「ブリタニカ国際大百科事典」にブダペストの情報がぎっしり。写真付きで、建物の説明までしてくれるので、とても助かった。目の前に見える幻想的な風景に歴史の重みが加わることで、余計に気分が高揚した。

何かわからないことがあるときは「かんたんサーチ」機能を使う。ここに文字を入力すると、収録されている全てのコンテンツから検索できる「ブダペスト」と入力したところ、20以上の検索結果があっという間に表示された「ブリタニカ国際大百科事典」では、ブダペストの歴史的背景までを説明
ホテルの窓から見えた風景。目の前には壮大な景色が並ぶが、何の建物か全くわからなかった。調べたところ、この建物は元王宮で、現在は博物館や図書館が入っていることが判明「ブリタニカ国際大百科事典」では写真を使いながら説明してくれるので、とてもわかりやすい

 もう1つ、以外にも使用頻度が高かったのが、文学作品のコンテンツ。日本文学、世界文学がそれぞれ1,000タイトルづつ収録されていて、文学好きの私にとっては、嬉しいコンテンツだった。横画面だけでなく、画面レイアウトや文字サイズ細かく設定できるので、自分の使いやすいようにアレンジできるのも嬉しい。

日本文学1,000タイトルも収録されている宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を選択文学作品のコンテンツでは、縦レイアウトにも対応する

 一方、少々気になったのは、使い勝手の面。タッチパネルと本体操作の境目がやや曖昧で、どっちで操作すればいいのか、悩むシーンも多かった。多機能だからこそ、基本的な使い勝手に関してはもう少しシンプルでも良いのかなと思う。もう1つ、普段パソコンのキーボードに慣れていることもあって、XD-D8600のキーボードがかなり小さくて、打ちにくく感じた。たとえば、60歳のうちの父が使うのにはかなり難儀だろう。画面サイズやキーボードがもう少し大きめのモデルがあっても良いかもしれない。

 スマートフォンの圧倒的な進化もあって、正直「もう電子辞書はいらないんじゃないか」と思っていた。必要なコンテンツがあれば、自分でアプリを選んでダウンロードすればそれで事足りると思っていたのだ。だが、実際に海外にXD-D8600を持っていってみると、電子辞書ならではの良さがあった。まずは、電波が届かなくても、いつでも安定した状態で使えること。また、乾電池のため電源の確保が必要ないこと。パネルを開けるとすぐに電源が入る、立ち上がりの早さも大きな魅力だ。

 TOEICの資格勉強というのはもちろん、旅行が好きな人にもおすすめだ。まずは、家電量販店の店頭で、最新のモデルに触ってみるのが良いだろう。





2012年 10月 10日   00:00