やじうまミニレビュー

KentDisplay「Boogie Board LCD Writing Tablet」

~書いて消すだけ、シンプルな液晶メモ
by 小林 樹


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


KentDisplay「Boogie Board LCD Writing Tablet」

 普段、文章を書くのはパソコンのキーボードだが、メモを取るときは紙とペンが欠かせない。起動が早く、チャンスを逃さないし、文字変換などで引っかかることがないからだ。

 そんなペン派の私が興味を惹かれたのが、電子液晶タブレット「Boogie Board LCD Writing Tablet」(以下、ブギーボード)だった。これは、ペンでメモを取ることを目的とした電子グッズなのだ。

 



メーカー米KentDisplay
製品名Boogie Board LCD Writing Tablet
希望小売価格$39.95
購入場所Amazon.co.jp
購入価格3,980円

 ブギーボードは、感圧式パネルを利用して、ペンや爪先で文字や絵が描ける電子液晶タブレットだ。「書いて、消す」だけのメモ機能に特化している。米国内では2010年1月に発売されており、日本では岡谷エレクトロニクスが輸入販売元だ。

 手にとってみると、まずその薄さに驚く。そして、とても軽い。まるで、メモの支えに使うフリップボードのような薄さと軽さだ。重さは117gで、サイズは222×141mm(縦×横)。厚さは薄い部分が3mmで、eraseボタンのある厚い部分でも6mmだった。

ボードに伸縮可能なペンとクリーニングクロスがついて1セットだ薄い部分は3mm、厚い部分は6mm。本棚にさすと薄さは一目瞭然だ重さは117g。iPhoneより軽い

 色はブラック一色でシンプルなデザインだ。

 ブギーボードのすごいところは、スイッチをいれなくても、すぐに書きこめるところだ。電源のON-OFFがなく、常に起動状態なので、限りなく紙に近い感覚で使用できる。消すときはeraseボタンをポチッと押すだけできれいに初期化される。充電の必要もなく、内蔵されたバッテリーによって、5万回は消すことができるという。

 書き心地はどうだろう。パネルはとてもスベスベしていて、ペンを使うと、シュルシュルととても滑らかな書き心地だ。筆圧によって線の太さが調整でき、文字のトメ、ハネもきちんと表現できる。

独特のなめらかな書き心地だボードとペンの感覚にはすぐに慣れ、紙に書くのに近い感覚で書けるようになった
トメ、ハネ、ハライもはっきり表現できるアルファベットは筆記体のほうが書きやすい

 感圧式で爪でも書けということなので、試してみた。爪で直接書くことに慣れていないと最初はぎこちないが、書けたものをみてみると、ペンで書いたものと大差ない。書くときに爪を立てたが、目で見る限り、パネルに傷はついていない。

ペンで書いた線、絵、文字爪で書いた線、絵、文字eraseボタン。どことなくゆるいデザインだ

 線は真っ白というよりグレーがかっていて、商品HPにあるイメージ画像ほどには線と背景のコントラストがはっきりしていない。また、パネルは光らないので、暗闇で使用することはできない。

習字の時間を思い出しながら一筆。白というよりグレーに近い。これで筆ペンが使えればもっと面白いのだが

 また、パネルの大きさが18.5×12.5cm(縦×横)とそんなに大きくないので、会議のような場で自分がメモを取るためだけに使うのには向かないが、ちょっとしたことを相手に図を描いて説明したりするときには、便利だろう。

 私だったらブギーボードを電話の横に置いて、相手の名前や用件を走り書きするのに使う。上司に電話がかかってきた時に上司が不在だったら、ブギーボードから伝言メモにきれいに転記して、先輩や上司の机に置いておく。それくらいの転記ならたいした手間にもならないし、走り書きのままよりも気持ちがいい。

伝言メモと並べるとやや大きいサッカーをよく観に行く人は、番号の控えにも使えるだろう

 惜しいのは、書いたデータが一切残らないことだ。そして消しゴム機能がないので、間違えたら全消しで、はじめからやり直しになってしまう。大事なことを書くよりも、計算式や走り書きなど、記録の必要がないものに使うべきだろう。最近では、携帯電話ショップなどでも個人情報を書く時はホワイトボードに書き込んで、目の前で消してくれる。そういった個人情報や秘密の筆談など、残しておきたくないものを書くにはいいかもしれない。

 保存したい場合は、デジカメなどで撮る必要がある。今時の電子機器なら、Wi-fiやbluetoothでPCにつないで、そのまま出力できてほしいところだ。手間がかかって不便だと感じるのは、いつもPCやスマートフォンに囲まれて便利さに慣れすぎてしまっているからかもしれない。

 iPhoneで撮影し、evernoteに同期しても便利だ。PC上でも十分に鮮明に読めた。

evernoteと同期。PC上でも十分に読める原本とコピー。コピーだとほぼ判別できない

 次に、コピーはとれるのか確かめてみたが、コピーされたものはほとんど読めなかった。黒字に白い文字で、コントラストがあまり強くないからだろう。やはり、ブギーボードに書いたものを保存するなら、カメラで撮ってアップする方法が今のところ最善策のようだ。

 アマゾンでは関連商品として、冷蔵庫にブギーボードを貼り付けて使うためのマグネットが売られている。よく家庭の冷蔵庫に貼ってあるホワイトボードはペンが必要だが、ブギーボードなら爪で直接書き込めるので、台所がごちゃごちゃしない。テーブルの上で家族の伝言板のように使うのもいいかもしれない。

 今やメールの送受信記録も電話の通話記録も、なんでもかんでもデータがのこってしまう時代。ここまで原始的に「書く、消す」だけに特化した電子メモは今までになかったタイプだと思う。この製品に使われている「コレステリック液晶」への技術的興味も含めて、新しいものに触れてみたいという人にオススメしたい。evernoteをはじめとした他のサービスやデバイスと組み合わせていろいろ試してみると、意外な用途が広がるかもしれない。




2010年 8月 24日   00:00