やじうまミニレビュー

ツインバード「ハンドドライヤー ウインドタオル AT-5155W」

~Amazonで1,500円で買った手洗い用温風乾燥機
by 伊達 浩二


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


ツインバード「ハンドドライヤー ウインドタオル AT-5155W」

 今日は、洗面台で使う温風乾燥機をご紹介する。

 トイレで用を足して手を洗ったあと、ご家庭であれば側に吊り下げられたタオルで手を拭く。一般的なオフィスであれば、使い捨てのペーパータオルが多いが、ちょっと気の利いた場所では、温風で水滴を吹き飛ばす温風乾燥機が主流だ。「ジェットタオル」とか「ハンドドライヤー」という商品名だ。

 私は、この手の製品が好きで、以前にも小型の製品を自宅に取り付けたこともある。ペーパータオルなどの消耗品がいらない点と、強い風で水滴が吹き飛んでいく気持ちの良さが好きなのだ。

 今回は、Amazonで1,494円で売られている製品を見つけた。ツインバードの「AT-5155W」という製品で、もともとは15,750円の製品だが、なんと9割引で販売されていた。おそらく在庫処分品で、在庫に限りはありそうなので、その旨、ご了承いただきたい。

 


メーカーツインバード
製品名ハンドドライヤー
ウインドタオル AT-5155W
希望小売価格15,750円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格1,494円

 

組立は掃除機ぐらいの簡単さ

 購入した翌日に到着した製品の箱はコンパクトだが、ずっしりと重い。もともとは15,000円前後で売られていた製品だけのことはある。

パッケージには「エアで吹き飛ばすハンドドライヤー」と書かれている主なパーツは、本体、ホース、ノズルの3つ。小さめのパッケージにギュッと詰め込まれているパッケージの内容。固定用の吸盤も同梱されている

 この製品の構造は、よくあるハンドドライヤーとは大きく異なる。一般的なハンドドライヤーは、壁面に取り付ける箱のような構造になっている。モーターやヒーターを内蔵した一体型の製品が主流だ。

 しかし、このツインバード「AT-5155W」は、複数の部品から成っており、組み立てる必要がある。ただし、組み立てると言っても部品点数は少なく、工具もいらない。足元に円筒形の本体を置き、パチンパチンとパイプや吹き出しノズルをはめれば完成だ。洗面台の周囲にコンセントさえあれば、5分ぐらいで設置できてしまう。パイプを洗面台に固定するのも、4個の吸盤を使うので難しくない。

そら豆のような形をしたノズル部分。細い隙間から空気が噴き出す本体は円筒形。上の穴の部分にホースをつなぐ手前の三角形の部分がペダルになっている
消費電力は550Wと大きい吸気は本体の背面下部から吸気部にはフィルターが内蔵されているので、ときどき掃除する
本体のジョイント部分ホースのジョイントは、三日月型のリングが内蔵されており、パチンとはめ込むだけで固定されるホースのジョイント部分の内部

 本体には、モーターが入っており、強烈な風が発生する。その風を、手洗いの周囲までパイプで誘導し、吹き出しノズルから吹き出す。縦長の狭いノズルから吹き出した風に手をかざすと、水滴が手洗いボウルに向かって吹き飛ばされるという寸法だ。モーターやパイプは、ツインバードが得意とする掃除機のノウハウが生かされているようだ。

 もう1つ、一般的なハンドドライヤーと異なるのは、ヒーターを内蔵していないので、風が温風ではなく、常温であることだ。

設置状況。本体は床に置き、洗面台へホースを伸ばす。コンセントから電源コードが伸び、床の本体からホースが伸びるので、ちょっとごちゃついた感じになるペダルが踏みやすいように、本体を斜めに置くホースを固定する部品は2つ、ノズルを固定する部品は1つ付属する。固定部品は、吸盤で固定する
ノズルは少し高い場所に設置され、下に風を噴き出すノズルから風が出るので、水滴が洗面ボウルに落ちる場所を選んで設置する

音も大きいが、風量はたっぷり

 組立が終わったので、さっそく試してみた。本体のペダルをそっと踏むと、モーターが回りはじめる。掃除機に似た、大きな音がする。モーター音に比例して、風量も意外なほど大きい。ノズルの先端からは、大量の風が噴き出す。手についた水滴は、みごとに吹き飛ばされる。

ノズルの下に手を差し伸べて、本体のペダルを踏むと風が噴き出す

 

 設置も使い方も難しくないが、あえて言えば、吹き飛ばされた水滴がボウルの外に飛び散らないように、位置決めには注意した方が良い。

 取扱説明書では、蛇口の左右に置くように書かれているが、会社の洗面台が浅めなので、手の角度によっては水滴が服まで飛んでくる。今回は、ボウルの右側から、斜め下方向に風を吹き出すようにして解決した。このあたりは各自でお試しいただきたい。

 きちんと設置されていると、強い風で水滴が飛ばされる。風が温風ではなく、常温であることも、この季節は気にならなかった。ハンドドライヤーならではの爽快感が味わえる。ペーパータオルを消費しないので、エコでもある。

ペダルを踏むのが面倒

 会社の洗面台に1週間ほど設置して、試してもらった。さりげなく観察していると、使っている人と使っていない人がはっきりしている。

 使っている人に聞くと、「ペーパータオルをもったいないと思っていた」とか「手の皮膚が敏感で、ペーパータオルのようなごわごわのあるものに触らずにすませたい」という意見が多かった。

 一方、使っていない人に聞いてみると、使わない理由が3つ出てきた。

 一番多かったのは、「風を出すのに、ペダルを踏むのが面倒」という意見だ。ハンドドライヤーは、手を差し入れるとセンサーがそれを感知して自動的に風が出るものがほとんどだ。これもそういうものだと思って、ノズルの部分に手をかざしても動かないので、「アレッ」という顔をする人が多い。

 2つめは「うるさい」ということ。ちょっとした掃除機より大きな音がして、廊下まで響き渡る。オフィスで、こうなのだから、深夜に家庭で使うのは難しいと思う。

 この製品のせいではないが、ハンドドライヤーの風を“水滴を飛ばすもの”ではなく、“乾燥させるためのもの”と考えている人が多かった。

 3つめは、「手が乾きにくい」という意見だった。私自身は、不満を感じていなかったので、よく聞いてみると、ハンドドライヤーの使い方が違うことがわかった。

 私は、ハンドドライヤーは水滴を吹き飛ばすためのものと思っていたので、手を乾かすときは指を伸ばして水滴が飛びやすい形を自然に作り、20秒程度で去っていく。手の皮膚自身は乾いていないので、ハンカチで拭くこともある。

 ところが、不満を述べた人は、長時間風を当てて手が完全に乾くまで待っている。風で水滴を飛ばすジェットドライヤー以前の、いわゆる温風乾燥機の使い方なのだ。こういう使い方だと、温風が出ない本機は、手が乾きにくいので不満が残るのだ。

 なるほど、製品の評価というのは使い方で大きく左右されるものだと、改めて感じた。

欠点もあるが、環境も逆風だった

 この製品が発売されたのは、2010年の12月で、新型インフルエンザ対策が急だった頃だった。家庭でも、布タオルを経由した感染を避けるために、ハンドドライヤーが有効だという判断だったのだろう。

 しかし、冬が終わるとインフルエンザへの関心は急速に下がった。また、2011年3月以降は、東京電力管内を始めとして、節電が大きなテーマとなってしまった。関東ではオフィスビルやデパートなどの、ハンドドライヤーが一斉に運転を止めていたのを覚えている方も多いだろう。動作時間が短いとはいえ、消費電力が550Wと大きい、この製品にとっては厳しい環境だった。ちょっと運が悪かったと、言ってもいいだろう。

 この製品は、もともとの15,750円で販売されていても、おかしくないだけの実力は持っている。

 もちろん、温風が出ないことや、動作音が大きいという弱点はあるが、手持ちの部品を組み合わせて、面白い製品を作り上げたと思う。もう少し、世の中の流れが異なっていれば、受け入れられ方も違っていたのではないだろうか。

 ひどい言い方かもしれないが、1,500円前後という現在の価格であれば、話の種として導入してみるのもいいだろう。私のように家庭用ハンドドライヤーに対して憧れと関心を抱いている人には、ぜひ試してみることをお勧めしたい。





2012年 6月 25日   00:00