やじうまミニレビュー
ジェックス「ピュアクリスタル 全猫用」
ジェックス「ピュアクリスタル 全猫用」 |
我が家の飼い猫である鉄蔵は、2つの水飲み場を持っている。1つは食事用の皿の脇に置いてある水皿で、もう1つは自動給水器だ。
どちらかといえば、自動給水器の方が好みで、2日に1度は水位を確認しなければならないほど、よく飲んでいる。ご飯を食べたあとで、長い時間をかけてゆっくりと飲んでいることが多い。
自動給水器のいいところは、いくつかある。
1)水に動きがあるので、猫の興味を引きやすい
2)一定量の水が溜まっているので、毎日水を換えなくても良い
3)フィルターが内蔵されているので、ある程度は水質が保てる
そもそも猫は水をあまり飲みたがらない動物だが、水分が足りないと泌尿器系の障害が起こりやすいと言われている。猫の飼い主にとって、たくさん水を飲んでもらうことは大切なことなのだ。
我が家でも、自動給水器はいろいろ試してきた。ここしばらくは「エコノミーファウンテン」が主役だったが、水中モーターが寿命を迎えたので、新しいものを探してみた。
■だいたい2,000円台で買える
今回購入したのは、輸入品が多いこの分野の製品では珍しく、国内メーカー「ジェックス」の製品で、「ピュアクリスタル」という。「全猫用」というのは聞きなれないことばだが、猫1頭用ということらしい。なお、ラインナップは「全猫用」のほかに、一回り大きい「複数飼育用」の2機種が用意されている。
同じシリーズの犬用が「超小型犬用」「小型犬用」「多数飼育・中型犬用」と体の大きさごとに3機種に分かれているので、体の大きさを問わず猫1匹なら大丈夫というつもりなのだろう。
「ピュアクリスタル 全猫用」(以下ピュアクリスタル)の最大の特徴は価格が手頃な点だ。ピュアクリスタルは、Amazonでも楽天市場でも、2,000円台の前半で販売されている。ほかのペット用の自動給水器は、輸入品が多いこともあってか、価格が高かった。一番廉価なエコノミーファウンテンでは3,000円台で、普通は6,000円ぐらい。中には1万円を超える製品もある。
価格が安いと心配になるのが品質の面だ。特に、自動給水器の心臓部である水中モーターは品質の差が大きい。
しかし、実はジェックスは、観賞魚用の製品が主力のメーカーであり、水中モーターは得意分野だ。あとで触れるが、音質/水量とも十分な品質だった。
メーカー | ジェックス |
製品名 | ピュアクリスタル 全猫用 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 2,180円 |
■組立不要で、設置は簡単
ピュアクリスタルの箱は、想像していたよりも小さかった。店頭で購入して、手提げ袋で持ち帰れるぐらいの大きさだ。パッケージの内容もシンプルで、本体以外は取扱説明書ぐらいしか入っていない。
本体の構造もシンプルで、部品点数も少ない。部品は、本体、ファンネル(猫が飲むための皿の部分)、フィルター、フィルターを支えるトレイ、水中ポンプ、ACアダプタ、水中ポンプのケーブルを保護するチューブの7つだけだ。ビニール袋の梱包から部品を取り出せば、ほとんど、そのままで使える。
パッケージは手提げで持ち帰れるほど小さい | パッケージの背面。部品点数の少なさがわかる | 全体の構造図 |
製品の構造を簡単に説明すると、水タンクを兼ねた本体の底に水中ポンプがある。水中ポンプから送られた水は、ファンネルの部分で外に出る。ファンネルは皿状になっていて猫が飲みやすくなっている。犬用とは形が変えてあるのだから芸が細かい。ファンネルを通過した水はフィルターを通って、水タンクに戻る。
フィルターは不織布の中に活性炭が挟み込んである。不織布で猫の毛やホコリを取り、活性炭でカルキ臭を取るという構造だ。
パッケージを開ける。コード保護チューブは50cmあるので、曲げて入っている | モーターは本体にセットされていた | 電源コードの先にACアダプタが付くタイプ。電源コードは約1.8m |
ACアダプタは12Vタイプ | フィルター。こっちは裏側 | フィルターには活性炭が使われている |
フィルターを支えるトレイ | フィルターの不織布側を上にして重ねる | ファンネルをはめる |
正しく組み立てられているとファンネルの奥に水中ポンプが見える | 設置した状態。自動給水器の周りは濡れやすいので木の台を置いている | 長辺でも24cmぐらいで場所を取らない。正式な大きさは237×189×134mm(幅×奥行き×高さ) |
とりあえず設置してみる。エコノミーファウンテンと違うのは、水中モーターが静かなことだ。水がたくさん入っているときは、エコノミーファウンテンもさほどうるさくないと思っていたが、ピュアクリスタルはずっと静かだ。
水は中央から湧き出し、ファンネルからこぼれていく |
鉄蔵もすぐに慣れて、たくさん水を飲んでいる。ファンネルの部分は平らで、湧きだした水が少し溜まるようになっている。この部分を舐めとるようにして水を飲むのがお気に入りの方法だ。鉄蔵は、おいしいとかまずいとか言わず、口にしないだけなので、飲んでいるということは気に入っていただけたのだと思うことにしたい。
鉄蔵と比べるとコンパクトなのがわかる | ペロペロと水を飲む鉄蔵氏 | 木の台に足を揃えて飲むのがお気に入りの姿勢 |
■国内メーカーらしい細かい気遣い
設置して数週間経ったが、ピュアクリスタルには満足している。
まず、構造がシンプルで使いやすい。自動給水器は、一定の期間ごとに全体を洗う必要があるのだが、部品点数が少なく、洗いやすい。組立の時も悩むところがない。ちなみに、メーカーでは1週間に1回洗浄することを推奨しているが、ちょっとサボり気味で2週間に1回ぐらいのペースになっている。
また、動作音が静かだ。床に触ってみると、かすかな振動が感じられるし、無音ではない。水の量が極端に少なくなると、少し唸るが、ほとんどの場合は存在を忘れていられるほどの静けさだ。
エコノミーファウンテンは、どちらかといえばうるさい製品だったが、ピュアクリスタルにしてから、夜間でもモーター音が気にならなくなった。音の感覚は人によって異なるが、家人が「今度の給水器は静かね」とわざわざ言うぐらいの差はある。
取扱説明書の一部。書類はすべて和文だ | ファンネルの外し方はよほど問い合わせが多かったのだろう | 本体裏には水位の目安が貼ってあって便利だ |
水量の件で思い出したが、ピュアクリスタルの本体は半透明で、溜まっている水の量がわかる。これがとても便利だ。自動給水器は、つい水を足すのを忘れてしまいがちなのだが、ピュアクリスタルにしてから、それが少なくなった。また、わかりやすいように水量の目安になる線が入っているのも良い。
猫が電源コードをかじらないようにするコード保護チューブが付属していることや、まともな取扱説明書が付いてくることなども、嬉しい。自動給餌器や自動給水器は海外製品が多く、こういう細やかな部分は、どうしても欠けがちなのだ。
消耗品についていえば、専用フィルターを月に1回交換する必要がある。フィルターは2枚入りで924円だ。Amazonだと550円で買える。1枚当たり275円だから、これぐらい安いと苦にならない。
オプションでイオン交換樹脂を内蔵した「軟水化フィルター」もあり、こっちだと水道水中のマグネシウムやカルシウムも除去するとしている。価格は2枚入りで1,029円で、Amazonだと600円だ。標準品との価格差があまりないので、次は試してみようと思っている。
■節電と自動給水器
ピュアクリスタルは、よくできた自動給水器だが、1日24時間電気を使うだけに、電気代も気になるところだ。特に、今年の夏は沖縄県を除く全国で節電が必要となっている。こういう時節に、いつも動いている電気製品を新しく増やすのは勇気を要する。
メーカーの製品情報ページでは、ピュアクリスタルの1カ月の電気代を約58円としている。これは、50Hz地域で、1kWh当たり25円で計算している。
実測した消費電力は2Wだった |
ワットチェッカーで実測した消費電力は2Wだった。つまり2×24時間で、1日当たり48Whだから0.048kWhとなる。1カ月を30日とすると、1カ月間の消費電力は1.4kWhだ。メーカーと同じ1kWh当たり25円で計算すると35円。通常の電気製品と同じ1kWh当たり22円で計算すると30.8円となる。
この消費電力は、他の製品で言うと、衛星放送チューナーや留守番電話機の待機電力とほぼ同じ消費電力だ。つまり、ゼロではないが、必要があれば許容できる範囲の消費電力と言えるだろう。
【お詫びと訂正】初出時に、消費電力の数値を読み誤り、実際の1/10になっておりました。お詫びして訂正させていただきます。
大変個人的な感想で申しわけないのだが、猫の健康を考えると、月に数十円ぐらいの出費は喜んで支払いたい。自動給水器が使用する電力については、別の器具を止めることで節電しようと思う。
なお、節電のために、猫が水が欲しいと言ってきたときだけ動かすという方をネット上で見かけたが、それはやめておいた方が良い。
なぜなら、自動給水器は水の動きで猫の興味を引くのも重要な使命だからだ。猫が水を飲みたいと言ってくるほど渇いているのであれば、普通の水皿できれいな水をいつでも飲めるようにしたほうが良いと思う。それに、モーターが止まっていると、水がフィルターでろ過されなくなるので、水質も心配だ。
ついでに言うと、ピュアクリスタルは停電時には給水できない。給水をこれ1台に任せてしまうと、外出中に停電して、鉄蔵が水が飲めなくなるおそれがある。それで、自動給水器だけにせずに水皿も残しているのだ。
以前レビューしたステンレスファウンテンのように、水タンクから直接、水が飲めるタイプの給水器だと、1台で両方まかなえるのだが、鉄蔵は普通の水皿から飲むのも好きなので、けっきょく統合できなかったのだ。まぁ、人の事情と猫の事情が合わないときは、猫に合わせてあげるのが飼い主の器量というものだろう。
2012年 5月 31日 00:00
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