やじうまミニレビュー

トンボ鉛筆「オルノ(OLNO)」

~軸を“折って”芯を出すシャープペン
by 小林 樹


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トンボ鉛筆「オルノ(OLNO)」

 シャープペンシルといえば馴染みのある文房具。学校でカリカリ授業を受けていた頃には、どれだけ目新しいペンを持っているかが一種のステーテス。本体を振るだけで芯が出る「ドクターグリップ」や、シャープペンとボールペンが一体になった「シャーボ」などは教室を沸かせた。

 そうしたギミックのあるシャープペンシルといえば、最近では、芯先の偏減りを防ぐために芯が回転しながら出る「クルトガ」が記憶に新しい。だが、今回ご紹介するトンボ鉛筆のシャープペンシル「オルノ(OLNO)」も奇天烈具合では負けてはいない。オルノは、その名のとおり、芯を出すために、胴軸の真ん中あたりをポキッと“折るの”だ。


メーカートンボ鉛筆
製品名オルノ(OLNO)
希望小売価格315円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格315円

  オルノは、胴軸の中ほどを折るようにして、芯を繰り出す「ボディノック式」のシャープペンシルだ。サイドに芯を出すボタンが付いた「サイドノック式」のペンでは、一定方向からしかボタンを押せないが、ボディノック式では胴軸そのものに力を加えるため、どの方向からでも折る--つまり、針を出すことができるのが特徴だ。

オルノのパッケージボディノック式の操作方法

 さっそく、オルノの本体を見てみよう。本体サイズは14×143mm(直径×長さ)で、全体の半分近くがラバーに覆われている。本体重量は約14g。芯は0.5mmに対応している。カラーは今回“フランボワーズ”というのを選んだが、ほかにも、チャコール、バニラ、ベリー、ラベンダー、カシス、シトラス、ピスタチオの7色が用意されているという。

オルノ本体ペン先まで色が統一されている

 では、さっそく、オルノの胴軸を折ってみる。胴軸の両端のほうを指で支え、胴軸中央を親指で圧迫。すると、「カチ……」と音がした。本体がしなり、ペン先には芯が約1mm出ていた。手を放すと胴軸はまっすぐに戻った。出した芯は、胴軸を折った状態で芯先を平面に押し当てれば、中に戻すことができる。

 率直な感想は、“あれっ、ポキッと折れるんじゃないんだ”。もっと、肩とか首の関節をバキボキ鳴らすような激しい感じを想像していたが、実際はとても控えめ。まぁ、確かにオフィスや学校のような静かな空間で使うなら、これくらいの品のある折れ具合がちょうど良いのかもしれない。

普通に持ったところ折った瞬間。軸の折れ具合がわかりやすいよう、筆記時とは違う持ち方をしている端にあるボタンをノックして、芯を繰り出すこともできる

  胴軸を折って芯を出す時と、尾端のボタンをノックして芯を出す時の違いをあげるならば、“音”だ。尾端のボタンを押した 時には「カチッ」という高めのノック音がするが、ボディノック時には、それよりちょっと低めの「カチ…」という音がする。

  なお芯を出すには、折るだけでなく、普通に尾端にあるノックボタンを押しても良い。無意識にいつもどおりの操作をしてしまっても、芯が出るのはありがたい。

 そして、このノックボタンは、裏側に消しゴムが付属しており、胴軸から取り外して使えるようになっている。

尾端には消しゴムが付属クリップはない消しゴムは本体から取り外して使える

 それではなぜ、本体の軸を曲げるだけで芯が出てくるのだろうか。ここで、ボディノックの機構を確認しておこう。

 オルノの胴軸は、先軸と後軸に分かれている。胴軸の真ん中付近には、圧力を加えると曲がって芯を繰り出す関節がある。

 この関節に圧力をかけると、後軸内部にある逆すり鉢形のノック具が傾き、ノック棒を押し出す。ノック棒は芯の入った金属棒から伸びているため、この力がノック機構に伝わり、芯が出るしくみになっているのだという。

リリースに記載されていた、ボディノックの仕組み胴軸は、先軸と後軸に分かれる
先軸の内部には、芯を入れる金属棒がある後軸の内部には、白いプラスチックのノック棒が内蔵されている

 書き心地はどうかというと、書きながら胴軸を押して芯を出すことができるので、手を持ち変える必要がなく、筆記中に便利である。試験の時など、長時間書き続ける際にはちょうど良い。芯を出す際には、カチ……という音がはっきり鳴るので、ちゃんと芯が出ているのがわかりやすい。

 また、芯先はブレにくく、うっかり胴軸が曲がって芯が出てしまうような“誤作動”はなかった。芯の出し方以外は、いたって普通のシャープペンシルとして使えた。

 ちなみに、カチ、カチ、と芯を繰り出していると、このカチ……という触感の中毒性に気づいてしまった。梱包剤のプチプチを潰すのが止まらなくなるような、やみつき感。気づけば、カチ…と鳴らしてしまうので、気をつけねば。

ペンを握ったまま、胴軸を押してすぐに芯が出るので便利

 面倒に感じたのは、芯の補充だ。オルノの芯の補充は、本体を真ん中で分離して行なわねばならないのだ。ペン先のある先軸に芯を入れたら、また先軸と後軸を結合させる。芯の補充のために、いちいち本体を開ければならないのは、面倒くさく感じてしまう。

 また、本体にはクリップがないので、ポケットや手帳にペンを挟む人には向かないだろう。


芯の補充は、本体を真ん中で分離して行なう先軸に芯を入れる

 最後に触れておきたいことがある。もしかしたら既にご存知の方もいるかもしれないが、実はこの本体を折って芯を出すボディノック式のしくみは、オルノが初めてではない。オルノを製造しているトンボ鉛筆によると、ボディノック式というのは、昭和40年代から業界では公知の技術なのだという。

 オルノの価格は、シャープペンとしては比較的高価な315円だが、これまでに出ていたボディノック式のシャープペンシルは、それよりもさらに高価なものであった。買う側の気持ちとしては、シャープペンシルに300円以上かけるなら、それなりの機能や質を期待する。オルノの場合は、シャープペンシルとしても十分に使いやすかったし、ボディノック式という面白い機能も付いてくるので、値段相応だと思った。新しい筆記具が好きな人にはぜひ、試していただきたい。





2011年 7月 1日   00:00