やじうまミニレビュー
イモタニ「サラリエ RZ-202」
サラリエ RZ-202 |
■梅雨はカビの季節
今年はいつもより梅雨入りが早く、既に関東地方も梅雨入りしている。梅雨と言えば、忘れてはならないのが湿気対策。部屋に湿気がこもると、カビが生えやすくなる。戸棚やクローゼットなど、特に湿気がこもりやすい場所は注意が必要だ。
我が家でも毎年この時期になると、近所の薬局でタンク式の除湿剤をまとめ買いして、押し入れやクローゼットなどに入れて湿気を取り除いている。1カ月ほど経つと、除湿剤の中にはたっぷりと水が溜まっている。これは、除湿剤に入っている塩化カルシウムが、空気中の水分を吸収し、塩分の濃い水となっているのだ。価格は3個セットで150円位と手頃で、1個当たり400mlぐらいの水分を溜めることができる。
しかし、この除湿剤にも欠点がある。まず、狭い場所でなければ効果が発揮できない。湿気を吸収するのは空気の対流まかせなので、効果のある範囲は、戸棚の中か、せいぜい押し入れ半分というところだろう。また、本体は使い捨てで、ゴミが多く出る。さらに、捨てる前に、本体上部の紙をカッターで切って水を捨てるのも面倒だ。我が家では1シーズンに1ダースぐらいの除湿剤を使ってしまうので、ゴミが多く出るし、手間もかかる。
■使い捨てじゃない小型の除湿機
そこで見つけたのが、イモタニの「サラリエ RZ-202」という除湿機だ。サラリエRZ-202は、交換用の除湿剤付きで、ほかに交換用の除湿剤が付属しない「RZ-201」という製品もある。
メーカー | イモタニ |
製品名 | サラリエ RZ-202 |
希望小売価格 | 2,625円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 2,545円 |
サラリエは、さきほど挙げた除湿剤の欠点をいくつか克服している。まず、モーターとファンを内蔵することで、よりパワフルに除湿できる点だ。
ただし、除湿できる範囲は、「湿気のたまりやすい小さな空間でご使用ください」とされており、具体的には「押し入れ、下駄箱、クローゼット、洋服ダンス」が挙げられている。つまり、部屋全体を除湿するような能力はなく、適用範囲はせいぜい、1畳から2畳というところだろう。念のために書いておくが、洗濯物の部屋干しを助けるような本格的な除湿機ではない。
電源は乾電池だ。コーナー用の除湿機としては、ペルチェ素子などを使うものもあるが、それはAC電源が必要だ。サラリエは乾電池式でコードレスで使えるので、コンセントのない押し入れなどにも向いている。
さらに、本体を繰り返して使用できることも特長だ。除湿後は溜まった水だけを捨て、新しい除湿剤を入れればいい。無駄なゴミを出さなくて済むのは好ましい。
外箱は茶色。「ファン式除湿機」と書かれている | 除湿剤は塩化カルシウム | 押し入れ、下駄箱、クローゼット、洋服ダンスなど、小さいスペースに向いている |
箱を開けると乾電池が見える | パッケージの内容。左にあるのが除湿剤を追加購入するためのハガキ | 30cm定規との比較 |
左奥から、本体(タンク)、除湿剤ケース(カゴ)、ファンユニット。手前は除湿剤 | ファンユニットの下面。奥側から吸い込んで手前に吹き出す |
では、さっそく組み立ててみよう。シールを剥がせばすぐに使える除湿剤と違って、サラリエは組み立てが必要だ。まず、ファンユニットに単二形乾電池2本を入れる。推奨されているのは、アルカリ乾電池なのだが、購入時にセットになっていたのはマンガン乾電池だった。
本体(タンク)に除湿剤を入れるカゴをはめ、そこに袋から除湿剤を入れる。RZ-202には、4袋の除湿剤が付いてくるが、1度に2袋を使う。1袋には塩化カルシウムが約100g入っている。
除湿剤は塩化カルシウムなので毒性はないが、口や目に入ると好ましくないので、こぼしたり、目に入らないように注意したい。このあたりの作業は慣れが必要かもしれない。
電源は単二乾電池2本。推奨はアルカリなのに同梱されているのはマンガン | タンクに除湿剤ケースをはめる | 除湿剤をこぼさないように入れる |
最後に、除湿剤の上に「除湿剤カバー」という名の透明な樹脂シートをかぶせ、ファンユニットを載せると、組み立ては終了だ。除湿剤カバーは除湿剤の減り方を制御するものらしい。早く湿度を取りたいときは載せなくても良いと書かれている。
透明の除湿剤カバーを載せる | カバーを載せた状態 | ファンユニットを載せて完成。オレンジ色に光っているのが電源スイッチ |
組み立てた後のサイズは、89×150×108mm(幅×奥行き×高さ)で、使い捨て除湿剤よりも一回り大きい。
なお、組み上がった状態でも、ファンユニットは重ねられているだけで、固定はされていないので、水が貯まれば、本体を傾けた時にこぼれてしまう。サラリエを移動するときは、ファンユニットではなく本体を持ち、斜めに持ち上げないように注意が必要だ。
サラリエを洗面台まで移動し、ファンユニットにある電源スイッチを入れた。赤いLEDが点灯し、かすかなファンの音がする。確認した限りでは、ファンは常時回っているようだ。ファンユニットには、空気が通るシャッターが用意されており、開き方が3段階に調整できる。大きく開けば、それだけ通る空気が増え除湿は進むが、それだけ除湿剤も早く減る。
一般的な使い捨て除湿剤(右)とサラリエの比較。サラリエが一回り大きい | 洗面台に置いた例 |
シャッターを閉めた状態 | シャッターを全開にした状態。開ける幅は3段階に調整できる |
■クローゼットと戸棚に置いてみる
組み立てが終わったサラリエを、クローゼットや戸棚の置いて試してみた。
まず、わかったことは、この製品が置き場所を選ぶということだ。理由は2つある。1つは本体の背が高く倒れる可能性があること、もう1つは吸気と排気の穴をふさいではいけないことだ。
たとえば、コートが下がっているクローゼットの場合、背の低い除湿剤なら倒れる心配がないので無造作に突っ込んでおくことができるが、サラリエだとコートの裾がひっかかりそうで気になってしまう。それで、壁際に置くことになる。本当は壁の隅に置きたいのだが、そうすると吸排気口のどちらかを塞いでしまうので、壁の中途半端な位置に置かれることになる。
洗面台の下の戸棚に入れたときは、もっとあからさまだった。最近の除湿剤は、上からみると三角形に近い形なので、戸棚の奥の隅にぴったりと置ける。その手前にバケツを置いても邪魔にならないし、背が低いので倒す恐れもない。しかし、サラリエだと、置ける位置が半端だし、側にものが置けないで、思ったよりも場所を取ってしまうのだ。
結局、サラリエを置くのに適しているのは、物が側になく、壁との間も余裕がある場所なのだ。今回試した中では、比較的奥行きの浅い、シーツ類を入れておく棚が一番合っている感じだった。
逆にサラリエの利点としては、除湿剤と違って、上面を塞いでしまっても良いというところだ。ばらばらの衣類などなどではなく、靴の箱をきっちりと積み上げるような場所だと、重ね置きができるので便利かもしれない。
いずれにしても物がごちゃごちゃしている場所ではなく、多少の余裕があるような場所に置いた方が良い製品だ。物と物との隙間に、無理に詰め込むような使い方は向いていないのだ。
クローゼットでの使用例。コートの裾がサラリエをひっかけてしまうそうで気になる | 洗面台の下。普通の除湿剤はバケツの奥の隅に居場所があるが、サラリエは壁にくっつけられないので半端位置になってしまう。もうちょっと片付けてから使うべきなのだろう | 安心して置ける寝具類の棚。棚に比べて、物が少ないこともあって、安心して置ける |
■意外なほど高い除湿能力
サラリエの効果を確認するため、湿度が高い浴室にサラリエをおいてみた。想定されている使い方よりも広い場所だが、湿気が高いので、なんとかなるだろう。樹脂シートは載せているが、シャッターを全開にして、一番除湿力の高い状態にした。
驚いたことに、たった4日後には、本体内に水が溜まっていた。ちょっとファンが付いているだけなのに、使い捨ての除湿剤とはえらく差が出た。
本来は、除湿剤がすべて溶けてから排水するのだが、今回は試しに中身を覗いてみた。除湿剤は溶けて固まっている。水はにごった感じで、底には溶けた除湿剤が氷のように固まっていた。
浴室に4日間置いた状態。早くも水が溜まっている | 湿気を吸って、除湿剤が溶けている | 手にかからないように気をつけながら水を捨てる |
なお、一般の除湿剤もそうだが、貯まった水は塩化カルシウムの溶液なので、金属などにかかるとさびやすい。排水は、蛇口から水を流しながら行なうようにしたい。
水タンクには最大340mlの水が溜められる。周囲の環境によって、排水の頻度は異なるが、最初の1回目は、数日から1週間ぐらいでチェックした方が良いだろう。
■魅力的な製品だが、手間もかかる
サラリエは、ファンがあるために、一般の除湿剤よりも効果があった。また、本体は繰り返し使用できるので、ゴミが減らせるのも良い。強力なコーナー用除湿機がほしいという方には推薦したい。
使い捨て除湿剤は、このようにシールさえ剥がせばすぐに使える。サラリエは手間がかかるだけに、使い続けられる環境を整えてほしい |
ただし、使いこなすには手間がかかる。セッティングは複雑ではないが、薬剤を裸で扱うので注意が必要だ。神経質な人ならマスクと手袋を用意したくなるだろう。除湿剤カバーも、何回か繰り返し使っていると無くしてしまいそうだ。
また、交換用の除湿剤は1回に2袋使うので、どうせなら、1回分を1袋にしてくれればわかりやすいと思う。さらにこの交換用の除湿剤は、Amazonで販売されていない。本体に同梱の専用ハガキで、直販で購入しなければならない。20回分にあたる40袋あたりの価格は2,100円で、これにさらに送料がかかる。支払い方法は、着払いの現金のみ。場所にもよるが、諸経費を合計すると3,000円近くかかると思われる。せめて、Amazonで売ってくれれば楽になるので、検討してほしい。
だいたい、エコな行ないは、便利とは逆なことが多い。ただでさえ、使い捨ての除湿剤よりも手間がかかるのだから、消耗品の入手などは便利にしてくれないと、敷居が高くなってしまう。使い捨ての製品ではないのだから、長く使い続けたいと思えるように、メーカーとして環境を整えてほしい。
以上、除湿剤についていろいろ書いたが、サラリエ本体は光るところのある製品だ。興味のある方は、ぜひお試しいただきたい。
2011年 6月 2日 00:00
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