やじうまミニレビュー

無印良品「風呂いすと湯桶」

~使いごこちのいいユニバーサルデザイン
by 但見 裕子


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


無印良品の風呂いす、片手桶、湯桶

 お風呂場に置いていた風呂いすにカビが生えた。表に出ている部分はなんともないのだが、ひっくり返してみたら裏側がカビにやられていたのである。もう何年も使っていたものだし、この際、洗面器と一緒に買い換えようと思った。

 そこで思い出したのが、ある温泉施設で使ったことがある介護用シャワーチェアである。普通の風呂いすにまじって、頑丈なパイプいすタイプのシャワーチェアが置いてあったのだ。好奇心から座って使ってみたら、体の安定がよく、座面が高くて足がのばせ、なかなかどうして具合がいいのである。

 なにも介護専用にしなくても、健康体の人間もこういうのを使うとラクチンでいいな、と思ったものだ。あんな風に座面が高く、普通の浴室になじむデザインで、座りよいものがあればいいのになと思っていた。

 今回買い換えのためにあちこち見て回ったところ、無印良品で座りやすそうな大きな風呂いすを見つけた。Webサイトの製品情報によれば、「立つ・座るの動作が楽にできるように、座面を高くしました」と紹介されている。防カビ剤が配合されているということで、カビ対策も大丈夫そうだ。

大きくて、体の安定がいい


メーカー無印良品
製品名風呂いす・大・白
購入価格1,500円
購入場所無印良品

 「風呂いす・大」は395×295×300mm(幅×奥行×高さ)とかなり大きい。やや裾広がりの、しっかりとふんばった形をしている。マットな感じの白で、肌ざわりはツルツルというよりすべすべだ。

 試みに、100円ショップで売っていた小さめの風呂いすと並べてみると、本当に大きさが違う。100円製品の方は、「風呂いすのおもちゃ」のように見えてくる。座ってみると、普通のいすと同じくらいの座面積があるので、お尻が安定する。これに座ってテレビでも見ていなさいと言われたら、くつろいでいつまでも座っていられる感じだ。

左が無印良品の「風呂いす・大」、右が100円ショップのもの。大きさがまったく違う「風呂いす・大」はヒザを伸ばして座れるので無理がない100円ショップの風呂いすは、ヒザを曲げるのでつらい

 これに比べると、いわゆるお風呂用のいすは、「体を洗う短い間だけの間に合わせ」という思考で作られているためだろうか、小さくて体の安定がしっかりしないと思う。仮に1時間座っていなければならないとしたら、それはかなりいやだ。

 無印のイスは高さがあるので、ヒザをのばして座ることができ、姿勢に無理がない感じ。足の裏や背中などを洗うために体をねじる時にも、ラクだ。暖かくなるこれからの時期、洗い場でのんびり体を洗っていても寒くなることがなくなる。この風呂いすでを、リラックスして、マイペースで泡を立ててお風呂を使いたいと思った。

 そうでなくても女性は、ヘアケアやむだ毛の手入れなどで長時間洗い場にいることが多いので、安定のいい風呂いすは持っていて損のない製品だと思う。


お湯を汲んでも、持ち上げやすい片手桶

 風呂いすと一緒に、同じ製品ラインの片手桶と湯桶も買ってみた。

シンプルなデザインが潔い片手桶・白



メーカー無印良品
製品名片手桶・白
購入価格350円
購入場所無印良品

 片手桶は「力を入れやすい持ち手の角度にし、使いやすくなりました」とうたってある。

 持ち手の角度とは、昔の木製の片手桶がその製造工程上、持ち手が縦に立ち上がった形にならざるを得ず、力が必要だったがことを指しているのだと思う。桶の周囲の一部が長くなって、そのまま取っ手になっていたのだ。無印の片手桶は、柄杓(ひしゃく)のように取っ手が、桶本体と直角についているので、持ち上げやすくなっている。

 直径が13.5cmと小型で、ケンタッキー・フライドチキンのバーレルをうんと小さくして持ち手をつけた感じである。持ち手は、中空ではなくて中までみっしり樹脂だ。ほどよい太さで、ぎゅっと深く握れるので、たしかに力をいれやすく、お湯を一杯に汲んで持ち上げるときも抵抗がない。

 一般的な洗面器で、一杯にお湯を汲むと重くて、片手では持ち上がらないことが多いが、これなら片手で楽々だ。片手で髪をすすぎなから、片手でお湯を汲んでかける時など、とても快適だ。

 容量は1.4Lと、一般的なものの半分程度なので、豪快にバッシャーンとお湯を浴びたい人には物足りないかも知れないが、私には軽くてとても使いやすく感じられた。

顔が洗いやすい洗面器 


メーカー無印良品
製品名湯桶・白
購入価格350円
購入場所無印良品

 さて、平たい方の湯桶だが、こちらは「お湯を入れて持ち上げたときに、手が痛くなりにくいかたちにしました」とある。

浅めで、広く開いた形の湯桶「かえり」が浅いので手に食い込みにくい

 フチのはじの「かえり」の角度が浅くて手に食い込みにくいことをさしているのだと思われる。また、横面が垂直に立っているのでなく、ゆるやかな角度に広がっているのは、両手で支えたときに力を入れやすいかもしれない。

 正直言って私には、一般的なものとの使い心地の差がわからなかったが、手の力の弱い人などが使われたときには、ちょっとした差がはっきり便利に感じられるのかも知れない。

 全体に浅くて広い形をしているので、顔を洗うときに手を動かしやすいのは利点だと思う。湯桶というよりは洗面器という名前の方が似合う。今まで使っていたものよりかなり大きく広いので、中で泳ぐタオルの姿も何となくのびやかだ。

 この3つのお風呂用品をお風呂場に置いて使ってみて、3点トータルの満足感はかなり高い。無印らしくシンプルなデザインなので、お風呂場の景色がスッキリした感じがするのもうれしかった。

 新しい季節に向けて、皆様もお風呂場をリフレッシュされてはいかがだろうか。




2010年 3月 30日   00:00