藤山哲人のモバイルバッテリー診断

iPhoneを約2回充電できる薄型モバイルバッテリー

「モバイルバッテリー診断」は、スマートフォンの外部電源として普及しているモバイルバッテリーをレビューするコーナーです。(編集部)
サンワサプライ「BTL-RDC7」

 今回紹介するのは、スマートフォンを約2回充電できるサンワサプライの「BTL-RDC7」。薄型で、重ねて充電するのに向いている。カラーも黒、白のほかに赤が用意されていて、スマートフォンのカラーに合わせたコーディネイトも可能だ。

メーカー名サンワサプライ
品名・型番BTL-RDC7BK
バッテリー容量5,000mAh
繰り返し利用回数-
サイズ
(幅×奥行き×高さ)
74×139×9.5mm
重量138g
カラー・モデルブラック、レッド、ホワイトの3色
実売価格4,000円程度
本体上部。出力は2つのコネクタを合わせて最大2Aまで。スマートフォンの2台同時充電、もしくはタブレット1台の充電ができる
左側面。充電用のコネクタはmicroUSB。1A以上のUSB ACアダプタでフル充電まで8時間(カタログスペック)
表面は光沢の入ったピアノブラック仕上げ。電源ボタンの横には、4灯式のバッテリー残量計がある
裏面は、すべりにくく表面をゴムのように加工している。つや消しブラック仕上げ

普通のスマートフォンなら2回充電できる

 まずは、内蔵バッテリー容量1,800mAhのスマートフォン(ARROWS X F-10D)を実際に充電してみよう。ちょうど2回、充電ができた。

充電の実測テストに利用した、2012年夏モデルの富士通製ARROWS X F-10D。内蔵バッテリー容量は1,800mAh
スマートフォンとほぼ同じ大きさと厚さ

【スマートフォン充電テストの結果】
充電回数「2回」(3,582mAh相当)
※Wi-Fi:ON、Bluetooth:OFF、GPS:ON、省電力モード:OFF、画面OFFの状態で充電、電池残量約10%から充電開始し90%程度までを繰り返し、アプリBattery Mixにて容量変化を記録

 添付されているケーブルは90cmと非常に長く、バッテリーをカバンに、スマートフォンをポケットに入れた状態でも充電できる。ただ、シーンによっては90cmは長すぎる場合があるので、別途短いケーブルを用意しておきたい。

 重さ138gと軽いのでスマートフォンと重ねて持っても、重さをさほど感じない。ジャケットのポケットに重ねて入れておける。

 また、裏面が滑り止め加工されているため、この面をスマートフォンと重ねておくと、滑らず安定して持てる点もいい。

 バッテリー残量は、白色LEDの4段階で表示される。スマートフォンの充電回数がおよそ2回なのでちょうどいい。

ケーブルは90cmと長い。重ねて充電するには長すぎるので短いものを用意したい
滑り止め加工がされた面をスマートフォンと合わせると、重ねて持っても滑らない
バッテリー残量は4段階で表示される

 電源スイッチは押しボタン式。スマートフォンをフル充電すると自動的に電源が切れるようになっている。

 USBコネクタは2つあり、合計2Aで出力可能。スマートフォンを2台同時に充電できる。ただし、片方が最大1Aまでで、もう片方は最大2Aまでという制限がある。

 1A側にタブレットなどをつなぐと、制限オーバーで保護回路が働き、自動的に電源が切れる点に注意したい。なお、スマートフォンに添付されている充電器が1A以上の場合は、2A側のUSBから充電する必要がある。

スマートフォンの2台同時充電が可能。ただし、2つ合計で2Aまでなので、タブレットとの同時充電はできないものが多い
最大出力は片方が1A、もう片方は2Aまで。一般的なモバイルバッテリーはあまり区別がないが、本機は完全に別回路になっているので注意
【スマートフォン充電(出力)スペック】
項目詳細
USBコネクタ数2
USB最大電流2A
充電ケーブル
(コネクタ)
Micro USB
残量インジケータ1色4灯式
自動電源OFF本体電源ON時も有効
40mAでOFFを確認
同時充電スマートフォン2台:○
スマートフォン+タブレット(2A):×

やや電流が不安定だが非常にロスが少なく優秀

 たいていのスマートフォンは、約1Aで急速充電するため、独自の測定器を用いて連続して1Aの電流を流し、電圧と電流の変化、そしてスマートフォンに充電できる実容量を測定した。

 なお実用量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。実用量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能バッテリーといえる。

連続電圧変移
連続電流変移

 電圧は極めて安定している。一方で、電流は800~900mAの間で若干不安定さが見られた。しかし、スマートフォンの急速充電が解除されることはない。なおこのテストは、1A出力側のUSBを使ったので余裕のある2A側を使うとより安定するかもしれない。

 この実験結果を元に、5,000mAhのうち実際にスマートフォンに充電できる実容量を計算(スマートフォンでのロスも差し引いた場合)してみたところ、3,439mAh(69%)となった。非常にロスが少なく優秀なモバイルバッテリーと言える。

実容量ロス率

 計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレットをおよそ何回充電できるかは、次のとおりになる。Android系の場合()内が内蔵バッテリー容量を示している。

【実用量と各種スマートフォンの充電回数予測】
項目詳細
バッテリー表示容量5,000mAh
連続利用時の実用量3,439mAh(69%)
連続実用量1,000mAhあたりの価格1,163円
充電回数(理論値)Android(1,800mAh):1.9回
Android(2,000mAh):1.7回
Android(2,200mAh):1.6回
Android(2,500mAh):1.4回
Android(3,000mAh):1.1回
iPhone4s/5/5s/5c(1,500mAh):2.3回
小容量タブレット(6,000mAh):0.6回
大容量タブレット(12,000mAh):0.3回
iPad mini(6,471mAh):0.5回
iPad(11,560mAh):0.3回

繰り返し利用回数は不明だが充電は8時間と標準的

充電は2A出力のUSB-ACアダプタで行なった

 充電器は添付されていないので、市販の2A出力できるUSB-ACアダプタを利用した。マニュアルによれば、充電時は1A以上のUSB-ACアダプタが必要でフル充電まで8時間ということだ。

 実際に充電した実測時間を平均すると、カタログスペックよりもわずかに速く、7時間42分となった。5,000mAhのモバイルバッテリーとしては平均的な充電時間だろう。

 なお、一般的なモバイルバッテリーの繰り返し利用回数は500回でほぼ寿命とされているが、本製品はとくに明記されていなかった。

【本体充電スペック】
項目詳細
本体充電用コネクタMicro USB
付属充電器(仕様)なし
充電時間(カタログ値)8時間
充電時間(実測)7時間42分
繰り返し利用回数-

大型液晶スマートフォンやミニタブレット用としてピッタリ

 3色のカラーバリエーションが用意され、薄型でポケットや女性用バッグの隙間にもスッポリ収まる。スマートフォンをほぼ2回充電できるモバイルバッテリーとして、またミニタブレットを半分ほど充電できるバッテリーとして使える。

【総合評価】
メーカー・品名サンワサプライ BTL-RDC7BK
ロスの少なさ ★★★★☆(4)
持ち歩きやすさ★★★★★(5)
単位容量の安さ★★★★☆(4)
充電の早さ  ★★☆☆☆(2)
使い勝手のよさ★★★★☆(4)

藤山 哲人

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