藤山哲人のモバイルバッテリー診断
エレコム「DE-M02L-3010」
~スマートフォンちょうど1回分のカラフルなバッテリー
by 藤山 哲人(2013/6/19 00:00)
スマートフォンユーザーなら、エレコムの「DE-M02L-3010シリーズ」を1度は見たことがあるかもしれない。とにかくカラーバリエーションがたくさんあるので、量販店のモバイルバッテリー売り場でも特に目立つ。数年前から変わらないデザインが、使いやすさを物語っている。
今回紹介するのは、スマートフォンをほぼ1回充電できる容量3,000mAhタイプ。ちなみに、同じデザインで約2回充電できる容量4,700mAhのタイプも用意されている。
本体サイズはスマートフォンより一回り小さい61×107×14mm(幅×奥行き×高さ)。男性ならYシャツのポケットにスマートフォンと重ねて持ち歩くのにちょうどいい。女性でも小さいポーチやハンドバッグに滑り込ませられる大きさだろう。カラーやデザインが豊富なのも特徴だ。
メーカー名 | エレコム |
---|---|
品名・型番 | DE-M02L-3010 |
バッテリー容量 | 3,000mAh |
繰り返し利用回数 | 500回 |
本体サイズ(幅×奥行き×高さ) | 61×107×14mm |
重量 | 90g |
カラー・モデル | ピンク、ホワイト、ブラック、ブルー レッド、グリーン、白黒水玉、植物シルエット柄 |
販売価格 | 3,000~5,000円程度 |
対応スマートフォン | Android、iPhone、iPod |
・実験結果は、室温がコントロールされていない環境で行なっています。電池は温度により、その特性が大きく変わる点にご注意ください。 ・実験結果は記事作成に使用した個体に関してのものであり、すべての製品について共通であるとは限りません。 ・実験結果に基づいた実容量やロス率は、その値を保障するものではありません。 ・筆者および家電Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにはお答えできません。 |
性能はいたって標準的。1.5Aの超急速対応のスマホには不向き
まずは内蔵バッテリー容量1,800mAhのスマートフォン(ARROWS X F-10D)を実際に充電してみた。同梱されているケーブルは15cmほどと短く、スマートフォンと重ねてポケットに入れて充電するにはちょうどいい長さ。また電源ボタンは少し凹みを持たせているので、スマートフォンと重ねても誤操作してしまうこともない。
・スマートフォン充電テストの結果
充電回数「90%」(1,674mAh相当)
※測定条件は、WiFi:ON、Bluetooth:ON、GPS:ON、省電力モード:OFF、画面OFFの状態で充電、電池残量約10%から充電開始し90%程度までを繰り返し、アプリ「Battery Mix」にて容量変化を記録
出力はUSBコネクタ1つで、最大1A。たいていのスマートフォンの急速充電に対応できるが、1.3Aを必要とする“超急速充電”には対応できない。これらを接続した場合、まったく充電できないというわけではなく、「超」ではない急速充電となる。したがってスマートフォンに付属のACアダプタが1.5A出力の製品にはオススメできない。またiPhoneやiPodは対応を謳っているが、iPadはメーカーで非対応としている。
バッテリー残量計は、青のLEDの4灯式となっており、1目盛りあたり25%を示している。スマートフォンを充電できる回数がほぼ1回なので、25%単位で残量を確認することはないが、このデザインがエレコムのモバイルバッテリーシリーズの顔となっているので、ヨシとしたい。
【スマートフォン充電(出力)スペック】
項目 | 詳細 |
---|---|
USBコネクタ数 | 1 |
USB最大電流 | 1A(1,000mA) |
充電ケーブル (コネクタ) | MicroUSB-USB |
残量インジケータ | 1色4灯式 |
自動電源OFF | 本体電源ON時も有効 40mAでOFFを確認 |
同時充電 | - |
電力の安定性も実容量も標準的
たいていのスマートフォンは約1Aで急速充電するため、独自の測定器を用いて連続して1Aの電流を流し、電圧と電流の変化、そしてスマートフォンに充電できる実容量を測定した。
なお実用量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。実用量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能バッテリーといえる。
独自の測定器でテストした結果、安定した5Vを出力しているようだ。実用上まったく問題はないが、電池の減りと同時にわずかに電圧が落ちていくのが特徴的だ。電流は、900mAあたりを中心に始終±50mAのブレが見られるが、こちらも実用上はまったく問題ない。
3,000mAhという表示容量に対し、実際にスマートフォンに充電できる実容量はどのぐらいだろうか? 結果は61%で、3,000mAhのうち1,831mAhが充電できるようだ。およそ4割をロスしている計算だが、極めて標準的な実容量率といえる。
なお計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレット、携帯ゲーム機をおよそ何回充電できるかは、次のとおりになる。Android系の場合、カッコ内が内蔵バッテリー容量を示している。
項目 | 詳細 |
---|---|
バッテリー表示容量 | 3,000mAh |
連続利用時の実用量 | 1,830mAh(61%) |
連続実用量1,000mAhあたりの価格 | 2,186円 |
充電回数(理論値) | Android(1,300mAh):1.3回 Android(1,500mAh):1.1回 Android(1,800mAh):0.9回 Android(2,000mAh):0.8回 Android(2,200mAh):0.8回 Android(2,500mAh):0.7回 Android(3,000mAh):0.6回 iPhone 4S(1,432mAh):1.2回 iPhone 5(1,434mAh):1.2回 ソニー PSP(1,200mAh):1.4回 任天堂 3DS(1,300mAh):1.3回 |
上の表で1つお知らせがある。前回までのモバイルバッテリー診断では、Android系のスマートフォンは最大2,200mAhまで掲載していた。しかし2013年夏のモデルから、3,000mAh超のバッテリーを内蔵しているものも発売されたため、以降は2,500と3,000mAhの場合も追加していくことにする。
もう1つ但し書きをさせてもらいたい。本製品は販売店によって価格差がかなりある。安い店では3,000円、高いところになると5,000円と、市場価格に幅があるため「連続実用量1,000mAh あたりの価格」は、中間の4,000円で購入した場合を想定している。そのため他の3,000mAhクラスの製品に比べるとやや割高のように見える点にご注意いただきたい。
入力は最高800mAで充電はやや遅め
本製品には充電器が同梱されていなかったため、2Aの出力ができるUSB ACアダプタを利用したところ、およそ5時間15分でフル充電できた。3,000mAhのモバイルバッテリーはたいてい4時間で充電できるので、やや遅めといった感がある。
なお充電には最大800mAの電流が必要なので、別途USB ACアダプタを購入する場合は、出力1A以上のものを選ぶといい。それ以下の場合は、マニュアルによれば最大12時間かかるとしているので、実用性に問題が出てしまうだろう。
繰り返し利用回数は、標準的な500回となっている。充電性能に関しても極めて標準的なモバイルバッテリーと言える。
項目 | 詳細 |
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本体充電用コネクタ | Micro USB |
添付充電器(仕様) | なし |
充電時間(カタログ値) | 5~6時間(ACアダプタ利用時) |
充電時間(実測) | 5時間15分 |
繰り返し利用回数 | 500回 |
万人向けでソツがない。薄型で迷ったらコレ
まとめると、万人向けでソツがない製品だ。とりあえずモバイルバッテリーが欲しいという場合は、デザインも8種類の中から選べるこの製品をオススメしたい。
唯一の難点は、安いところで3,000円、高いところだと5,000円と市場価格に大きな幅がある点だ。筆者の経験と独断で判断すると、適正な価格は約3,000~3,500円程度だろう。これより安値が付いていれば即買いだが、高値が付いている場合は安くなるのを少し待つといいかもしれない。
メーカー・品名 | エレコム「DE-M02L-3010」 |
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ロスの少なさ | ★★★☆☆(3) |
持ち歩きやすさ | ★★★★★(5) |
単位容量の安さ | ★☆☆☆☆(1) |
充電の早さ | ★★★☆☆(3) |
使い勝手のよさ | ★★★★☆(4) |