家電製品ミニレビュー

amadana「扇風機・サーキュレーター NF-227」

~実力充分の“黒い”扇風機
by 阿部 夏子
amadana「扇風機・サーキュレーター NF-227」

 今回紹介するのは、amadana(アマダナ)の「扇風機・サーキュレーター NF-227」だ。amadanaは、他の家電メーカーとは一線を画した、デザイン家電のメーカーで、ブラウンや黒といった落ち着いた色調の製品を展開していることで知られている。

 インテリアショップでよく見かけることもあって、使い始めるまでは、なんとなくデザイン重視の製品だと感じていた。しかし、実際に使ってみると当初の予想をいい意味で裏切ってくれた。


メーカーamadana
製品名扇風機・サーキュレーター NF-227
希望小売価格35,000円
購入場所ヨドバシ.com
購入価格35,000円


 製品の詳細にはいる前にまずはザッとスペックを紹介しよう。本体サイズは、383×380×973mm(幅×奥行き×高さ)。いわゆるリビングタイプの扇風機で、黒いボディの印象も手伝ってか、大きめに感じる。高さは973mmで固定されていて、調節することはできない。
製品パッケージ本体部品。土台と支柱が一体型なので、組み立ては5分もかからずに終わる本体正面
本体側面本体背面台座部分

 操作は台座部分のダイヤルで行なうほか、リモコンが付属する。感心したのは、操作部などの細かい部分まで、かっこいいこと。黒いダイヤルがいくつも並んだ台座部分は扇風機というよりもオーディオ機器の雰囲気だ。

 ダイヤルの周りには運転状況を表示するオレンジのライトが控えめに配置されている。通常家電製品の表示ランプには赤が採用されることが多いが、つや消しのブラックには赤よりオレンジが似合う。こだわりを感じる部分だ。

 また、リモコンも黒で統一されている。扇風機の高級化が進むにつれ、デザイン性の高さを謳う製品も増えたが、本体のデザインにばかり注力して、リモコンのデザインは気が抜けるほど、普通という製品がある。amadanaでは、リモコンも本体デザインを継承している。手のひらサイズで、場所を取らないのも良い。

台座部分には操作のためのダイヤルが4つ並んでいる。周囲には運転状態を示すオレンジのランプが備えられている。まるでオーディオ機器のような印象だ付属のリモコン。黒で「amadana」というロゴも記されている

DCモーター搭載でとにかく静か

 肝心の機能はどうだろう。amadanaの扇風機では、2012年の扇風機のトレンドともいえるDCモーターを採用している。DCモーターは、静音性、省エネ性に優れており、細かい風量調節にも対応している。消費電力は最大30Wで、最小運転時はわずか3W。風量を最小にして使った時の電気代は1カ月約16円。従来のACモーター搭載の扇風機に比べると半分以下の電気代で済む。扇風機の単独運転はもちろん、エアコンと併用するときも、この消費電力なら気兼ねなく使えそうだ。

 風量は、ダイヤル操作で20段階で調節できる。いわゆる微風にも対応したモデルで、調節幅は広い。

 実際に運転してみると、DCモーターの凄さが確かに感じられる。風量を弱めに設定すると、つけているのを忘れてしまうくらいの静かさで、少し風量をあげてもその印象は変わらない。風量を最大にするとさすがに風の音が気になるが、そばでテレビを見ていても気にならないレベルだ。


風量最小から、最大に変更したところ。風量変更には本体台座のダイヤルを使う

 風量をあげても気にならないのは音だけではない。独自の二重構造羽根により、風を強くしても、不快感が少ない。

風が直接顔に当たっても不快感がない二重構造の羽根。羽根の直径も大きめで、より柔らかで自然な風を作り出すという横から見たところ

 扇風機を使っている時に、風が直接顔に当たって、息苦しいと感じたことはないだろうか。私は風が直接顔周りに当たるのが嫌で、これまで風向きを上方向に設定することが多かった。amadanaの扇風機では、風量を最大にしても不快感がない。風が柔らかいため、顔に当たっても、それほど気にならないのだ。一般的な扇風機とは明らかに違う、“質の良い風”を体感できる。

 梅雨が明けきらない今の時期は、扇風機がおすすめ。気温がそこまで高くないのに、不快指数が高いのは、湿気が高いからだが、風を当てることで一気に快適になる。エアコンを使った時のような、寒さやひんやり感とは違う、快適さは扇風機ならではのものだ。タイマー運転も備えているので、寝入りに使うのも良いだろう。

黒いボディが斬新

 ここまでは、機能や使い勝手についてまとめてきたが、やはり本体デザインも無視できない。扇風機といえば「白」というイメージがあるが、amadanaの扇風機は全身が真っ黒。室内に置いた時の存在感は格別なものがある。ただし、威圧感があるとか、浮いてしまうという訳ではない。

 amadanaの扇風機は、少し前傾姿勢になっており、本体後部には「くびれ」部分が設けられている。サイズはそれなりに大きいが、まるで、凜と立っている女性のような色気があるのだ。特に相性が良かったのは、テレビやオーディオなどの「黒い家電」製品。ここまで本格的な機能を備えた扇風機で、黒いカラーを採用しているのは珍しい。インテリアに凝っていて、白い扇風機に違和感を感じていた人におすすめだ。

テレビやオーディオ機器などとの相性が良い支柱を後ろから見たところ。後方に向かって角度がつけられている羽根部分と支柱部分のくぎりあたりに「くびれ」が設けられている

 使っていて気になった点は2つ。一般的な扇風機は、羽根の上の部分に移動用の取っ手
が用意されているが、amadanaの扇風機にはない。扇風機は生活家電製品の中でも、移動する機会が多い製品だ。ちょとした風向きを調節したり、リビングや寝室に移動して使うこともある。取っ手がないのは、かなり不便だ。

送風角度を最も上に設定した状態。上方向への送風は可能だが、真上には送風できない

 もう1つは、上方向の角度調節について。製品名でサーキュレーターと入れているなら、真上の送風にも対応してもらいたかった。サーキュレーターとは、本体室内の風を攪拌するための製品で、送風を目的とした扇風機とは目的が異なる。

 室内の空気を効率的に攪拌するためには、真上に対して送風するのが効果的だといわれている。一般的に、暖かい空気は上の方に、冷たい空気は下の方に溜まってしまう傾向がある。この上下の温度差を解消することがサーキュレーターの大きな目的だ。そのためには、室内の横方向にだけ送風してもあまり意味がない。amadanaの扇風機・サーキュレーターでは上方向への送風に対応しているものの、真上とはいかない。これは今後の改良に期待したところだ。

 一昔前まで、扇風機といえば、なんとなく古くさい、クーラーがないから扇風機で我慢…・・・といった生活感満載のイメージがあった。それを払拭したのが、ダイソンの「エアーマルチプライアー」であったり、バルミューダの「グリーンファン」だ。つまり、心地よい風を味わいたいから、扇風機を選択しているのであって、そのためなら多少高額であっても、納得のいく製品を買うというスタンスだ。最新トレンドを抑えながら、細部のデザインにまでこだわっているamadanaの扇風機に関しても同様のことがいえると思う。

 デザインの好みは人それぞれだが、機能に関しては満足している。今年の夏、高機能の扇風機購入を検討しているなら、amadanaの扇風機もリストに加えてみてはいかがだろうか。






2012年7月6日 00:00