家電製品ミニレビュー

ドリテック「電気やかん PO-313」

~ありそうでなかった“昔ながらのやかん”風電気ケトル
by 正藤 慶一
ドリテック「電気やかん PO-313」

 電気の力でお湯を沸かす家電といえば「電気ケトル」。手軽にお湯を沸かすためのツールとして、一般家庭に普及し始めている。

 今回紹介するドリテックの「電気やかん PO-313」は、“昔ながらのやかん”を再現したデザインの電気ケトル。ケトルとはやかんを意味する英語(kettle)ではあるが、この製品はどう見ても和風のやかんで、今までにないタイプのデザインだ。


メーカードリテック
製品名電気やかん PO-313
希望小売価格5,250円
購入店舗楽天市場
購入価格2,820円

 到着したパッケージから本体を取り出すと、その姿はやかんそのまま。素材はステンレスで、パッと見で電気ケトルと気づく人は少ないだろう。持ち手部分、注ぎ口までまったくやかんと変わらない。

見た目はやかんだが、付属の給電スタンドに置いてお湯を沸かす点は電気ケトル。電源スイッチは本体底部に付いている(赤い矢印部分)

 異なる部分としては、本体底部がプラスチックになっているところ。これは同梱の給電スタンドとの接合部で、お湯を沸かす際はこのスタンドの上に載せ、スイッチをONにすれば湯沸し運転に切り替わる。この点は普通の電気ケトルとまったく同じだ。

 サイズは185×215×172mm(幅×奥行き×高さ)と、普通のやかんよりややコンパクトに感じられる。しかし、容量は1Lと、電気ケトルとしては十分な容量を備えている。

 さっそくお湯を沸かしてみよう。フタを取り外して、本体内部に水を入れる。内部には目盛りは用意されていないが、容量限界の1Lを示す水位線があるので、これを目安にすると良い。あとは、底部の側面にあるON/OFFのレバーを下げれば加熱がスタートする。なお、水以外の液体には対応していない。

やかん型ケトルの内部。水位目盛りはないが、上限である1Lを示す水位線は付いている電源をONにすると、白いLEDが点灯する写真は水位線ギリギリまで水を入れたところ。フタは完全に取り外せるため、手を入れて内部が洗える

 沸騰が終了すると、「カチャッ」とスイッチが上がる音がしてストップする。チャイムなどは特に鳴らないが、結構はっきりした音なので、気づきやすい。800mlを沸騰させた時間は6分27秒。この前試した象印マホービンの「CK-FS08」が4分台後半だったことを考えると、やや時間はかかっている印象だ。これは消費電力が850W程度と低めなためかもしれない。

 姿形がやかんならば、注ぐ感覚もやかんそのもの。慣れ親しんだやかんの要領で、大量のお湯を使うカップラーメンから、少量ですむコーヒーまで、細かく調節しながら注げる。一部の電気ケトルでは、注ぐ際にドバッと一気に出てしまうこともあるが、本製品ではそんなことはまったくない。単なるデザインではなく、使い勝手の面でもやかんなのだ。

消費電力は850W前後だった。他社のケトルと比べるとやや控えめ。そのため、800mlの沸騰にやや時間がかかった慣れ親しんだやかんデザインのため、とにかく注ぎやすいのが良い。ドバっとお湯が溢れてしまう心配がないインスタントコーヒーを溶かすためにチョロッとお湯を入れることも簡単にできる

 ちなみに、他社では保温機能やカルキ飛ばしなどの機能が付いている電気ケトルもあるが、本製品ではそういった機能はなく、お湯を沸かすことに特化している。試しに沸騰後の温度を測ってみたところ、30分後には70℃台、1時間後には50℃台に落ちた。

 安全面については、特に問題は感じられなかった。持ち手部分は沸騰直後でもまったく熱くなく、素手で問題なく持てる。胴体部は当然熱いが、これは普通のやかんでも同じ。水が入っていない際には運転をストップする空焚き防止機能も確認できた。手入れについても、蓋は完全に取り外せるので、中に手を入れて洗うことができる。

 むしろ心配なのは、これをやかんと間違えて火にかけてしまうことだ。パッケージにも本体にも、それを危惧した注意書きが用意されている。大手メーカーがやかんデザインの電気ケトルを投入しなかったのも、誤用を危惧しているのかもしれない。家族などが、ついうっかり火にかけてしまっても不思議はないデザインなので、そんなことがないように、キッチンまわりに置いておくのはやめておいた方が良さそうだ。

パッケージ内に付いていた使用上の注意。やかんデザインだからといって、基本的には電気ケトル。火にかけるのは禁物だコンロに載せるとフツーのやかんっぽく観えてしまうので、キッチン周りでは使わないのが無難だ

 最初はただデザインだけの製品だと思っていたが、やかんとほぼ同然の使い心地が味わえる点に、ちょっとした感動を覚えてしまった。デザインが気に入った方はもちろん、注ぎやすい電気ケトルがほしい方にも一度使っていただきたい。






2012年3月9日 00:00