家電製品ミニレビュー

NEC「電球型蛍光灯 コスモボール・ミニ」

~マンション共有部のミニクリプトン球と交換、消費電力は1/7に
by 伊達 浩二
NECライティング「電球型蛍光灯 コスモボール・ミニ」

 今回は、私が住んでいるマンションの共有部分に導入した、E17口金の電球型蛍光灯「コスモボール・ミニ」を紹介する。白熱電球から取り替えたことで、年間で電気代が5万円節約できる計算になった。

 しかし、なぜLED電球でなくて電球型蛍光灯なのか、そもそもなぜマンションの共有部分の電球を交換するのか。それにはいくつかの理由がある。少々前置きが長くなるが、白熱電球から省エネタイプの電球に交換する際の参考としていただければ幸いである。



メーカーNECライティング
製品名コスモボール・ミニ EFD10EL/7-E17-C2C
希望小売価格オープンプライス
購入場所ヨドバシカメラ
購入価格780円

マンションでも節電が必要

 私は去年(2011年)の6月から、自宅があるマンションの管理委員をしている。

 主な仕事は、2カ月に一度の定例会議、花火大会の屋上解放時の番や、大きなお祭りのときに町内会館の管理をしたりするというもの。それでも、家電に関わるような仕事があったりする。

 この夏は、東日本大震災後の節電が重要なテーマだった。我がマンションでも、昨年の夏は節電活動が盛んで、4月から共有部分の照明を一部消灯し、7月から9月までは管理人室の照明を全部消していた。そして今年も、夏期の節電に向けて対策を探していた。

 マンションの管理組合に対しても、いろいろな業者から売り込みがあった。そのうちの1つに照明器具のLED化の提案があった。提案内容によれば、外廊下の壁面にあるグローブ型照明、エントランスホールのダウンライト、管理人室とゴミ置き場の直管形蛍光管の全器具を交換するという。

 もちろん、それなりの工事費がかかる。経費の総計が約65万円。節電による電気代の削減が年間18万円。電球の交換が不要になる分を計算に入れると約21万円。説明に来た業者の方は、「“たったの”3.1年間で償却できます!」と胸を張る。他のマンションでは、元を取るのに5年以上かかる事例が多いという。

 今回は、「うちの管理組合が動かせるお金には限界があって、10万円以上の場合は年1回の総会で承認が必要なんです。しかも、築10年で器具を全部交換するのって地球に優しくないですよね」と言ってお引き取りを願った。

 どうも業者さんに頼っていてはラチが開かないので、まずは自分たちで共有部分の節電方法を検討してみることになった。

共有部分の照明器具を調べる

 マンションの節電と言っても、水道用のポンプやエレベーターなど機械部分の電気については手が出せない。管理人室やエレベーターホールや廊下など共有部分だけ考えることにした。この部分の電気については、「従量電灯」という一般家庭と同じ契約になっているので、家庭用の節電と基本は同じだ。

 共有部分を歩き回ってみると、電気を使っているのはほとんど照明器具だけだった。しかし、照明器具の大半は、「コンパクト型蛍光ランプ」という、平たい蛍光灯を使う器具のようだった。

 マンションの管理人室にあった資料で確認すると、予想通り、大半の照明器具はコンパクト型蛍光ランプだった。コンパクト型蛍光ランプの消費電力は13Wから27Wしかないので、LED化しても節電効果は低い。また、コンパクト型蛍光ランプを置き換えるようなLED電球は、現時点では見つけられないので、LED化するには、業者の提案のように器具ごと交換するしかない。

マンション内で一番多く使われていた防滴型の壁面照明カバーを開けてみると、コンパクト型蛍光ランプが使われていたこのコンパクト型蛍光ランプは、消費電力が13Wと少なく、LEDに器具ごと交換しても節電できる電気は少ない
次によく使われていたのが、やはりコンパクト型蛍光ランプを使ったダウンライト。屋内の廊下などはほとんどこれだったダウンライトに使われているコンパクト型蛍光ランプは27W型だった。同じ明るさで20Wのランプはあるが、それに交換するのは、投資対効果が低い

 それよりも節電効果が高そうなのは、白熱電球だ。資料を見ると、交換用の白熱電球として、E17口金のミニクリプトン球「KR110V54W WZ」、E26口金の白熱電球「LW 110V-100W」、E26口金のボール型白熱電球「GW-100V57Wクロ」の3種類が保管されている。

 ミニクリプトン球が使われているのは、1階のエレベータホール周辺、E26口金の白熱電球は駐車場に通じる通用口の照明、E26口金のボール型電球は花壇、というか植栽の照明器具だった。設置してある数は、順に11個、1個、1個。合計で13個も白熱電球が使われている。これだけあれば、だいぶ節電できそうだ。

 これらの器具は、毎日手動で点灯されるのではなく、季節ごとに設定されたタイマーで自動点灯している。センサーも用意されていて、雨などで外が暗くなった場合も自動点灯するという。点灯時間は1日平均で約12時間になるという。


LED電球がダメなら電球型蛍光灯

 では、具体的に節電方法を考えてみよう。もっともベストなのが「これらすべての電球をLED電球に置き換えられないか」だ。

 まずは、自宅に置いておいたLED電球を、これら白熱電球に交換してみた。E26口金の電球1個は、ごく普通の器具なので、LED電球への置き換えは問題なくできた。しかし、E26口金のボール電球は、丸い電球全体が光っていないと見栄えが悪いことがわかった。ここは同じボール型の電球型蛍光灯に置き換えることにした。

 残り11個のE17口金のミニクリプトン球は、LED電球に交換できなかった。器具の中に縦に設置するようになっており、横方向への光の広がりが弱いLED電球ではうまく点灯しない。

  しかも、器具の中に熱を遮蔽するための金属板があるため、かなり小さい電球でないと入らない。改 めて調べてみると、E17のミニクリプトン球の大きさは、60W型までは直径が35mmで長さが67mmの製品が多いが、パナソニックの「パルックボール プレミア D10形 E17口金 電球色 EFD10EL7E17H2」は40×80mm、東芝の「ネオボールZ ミニクリプトン電球 40・60ワットタイプ(E17口金)D形」は38×98mmで、ミニクリプトン球に比べると太く、あるいは長くなってしまう。

エレベータホールで、使用されていた白熱電球を使った照明器具器具を上から見た状態。ミニクリプトン電球が使われていた電球は防熱用のネットで囲まれていて、周囲にスペースはない
カバーを開けた状態。防熱用の網が真空管アンプを思わせる使用されていたミニクリプトン球は60W型だが、消費電量は54Wのタイプだった

スリムな電球形蛍光灯を使ってみる

 ここで見つけたのが、今回紹介する「コスモボール・ミニ EFD-10EL/7-E17-C2C」だ。資料と店頭で確認できた範囲で一番小さかったのだが、サイズは38×86mmだった。ミニクリプトン球より3mm太く、21mm長い。これでもぎりぎりだろう。

 光色はミニクリプトン球と交換するため、電球色を購入。スペックは全光束が420lm、消費電力が7W。定格寿命は8,000時間で、ミニクリプトン球の4倍となる。

交換用に買ってきたNECの電球型蛍光灯。「電気代約80%カット、寿命4倍、発熱量1/5」と訴求している外寸は直径が38mmで長さが86mm、ちょっと長いが、直径はミニクリプトン球とほぼ同じだ調光機能付き器具や点滅が頻繁な場所には使用できない
非常灯は法令で使用できる電球が決まっているので、使用できない細い発光管がアイスクリーム型にねじられているタイプで、カバーはない上から見ると、台座部分が一番太いことがわかる

 では、どれぐらい節電できるのか計算してみよう。まず、ミニクリプトン球は60W型だが、実際の消費電力は54Wだった。器具が11個、点灯時間を12時間、1カ月を30日とすると、月間の消費電力は214kWhで、月の電気代が4,705円だ(電気代は1kWh=22円で計算。以降同じ)。年間で計算すると2,568kWhで、56,496円かかる計算になる。

 これを電球型蛍光灯に置き換えると、消費電力が54Wから7Wに減るので、約1/7になる。月間の消費電力が28kWhで、電気代が616円。年間では336kWhで、7,392円になる。

 つまり、毎月186kWhの電気と4,092円の電気代が節約できることになる。年間では、なんと2,233kWhの消費電力量と、約5万円(49,104円)の電気代が節約できることになる。

 たかが11個の電球を交換するにしては、節電効果は大きい。これは、点灯時間が12時間と長いのが理由だ。節電は、使用時間が長いものが対象だと、消費電力の差が少なくても有効なのだ。

 ちなみに、電球1個の費用を780円とすると、11個で導入費用は8,580円。これを削減できる電気代で割ると、約2カ月で元がとれることになる。投資金額も少なく、節電方法としても有効だと言って良いだろう。これに、2個のE26型白熱電球の交換分も入れれば、節電の最初の一歩としては十分に思える。


器具に取り付けてみる

 計算上は上々の結果が出たが、実用にならないと困るので、電球を買ってきて器具に取り付けてみた。

電球型蛍光灯を取り付けた状態。やはり下方向が少し暗い頭の部分がネットから少しはみ出してしまう
防熱用のネットからは距離がとれたので、大丈夫そうだミニクリプトン球の代わりに設置した状態。ミニクリプトン球では器具の上下の明るさに差がないが、電球型蛍光灯では、上の方が明るく、台座のある下は暗くなる

 器具への取付は簡単だ。電球を交換するだけなので、ほんの数分で作業は終了した。点灯してみると、やはりミニクリプトン球とは見え方が異なる。電球の金具側の部分が光らないので、器具を横から見ると、下側がちょっと暗く見える。

 ただし、これはミニクリプトン球と比較してわかるという範囲であり、実用上は問題はなさそうだ。消費電力の差を考えると、許容できる範囲だろう。また、長く点灯していてもミニクリプトン球ほど熱くならないという利点もある。白熱電球の発熱量はかなりのものがあり、器具には「火災の危険がありますから、器具には紙などをかぶせないでください」と注意書きがある。

 また、節電というとLED電球への交換を真っ先に考えてしまうが、白熱電球の置き換えの場合は、電球型蛍光灯もまだまだ役に立つことが分かった。とくに、今回のように一度点灯したら約12時間消さないような場所では、点灯直後は暗く、繰り返しの点滅に弱いという電球型蛍光灯の欠点も目立たないし、光の方向がLED電球より広いというメリットを生かすことができる。

 個人の家であれば、あとは電球を買ってきて交換すればおしまいだが、マンションの共有部分なので、これから管理委員会で承認を取ったり、管理会社に通知して設置する電球を変更してもらうなどの作業が必要になる。

 しかし、たった11個の電球を交換するだけで、年間5万円も経費が浮くのであれば、節電の第一歩としては良い方法だろう。管理委員会での承認も得られるだろうと思っている。とりあえずは、直管形蛍光灯の間引きと組み合わせて、夏に向けて節電対策を考えていくつもりだ。






2012年2月2日 00:00