家電製品ミニレビュー

ブラウン「Series7 790cc-4 LDE」

~3万円の価値アリ。肌にやさしく清潔に使えるシェーバー
by 正藤 慶一
Series7(シリーズセブン) 790cc-4 LDE

 よほどのお金持ちでない限り、家電を購入する際には“お金”の問題が発生してくる。機能が充実した購入モデルを欲しいと思っても、値札を見れば、機能は少ないが安いボリュームゾーンモデルについつい手が出がち。私なんかは「高いモノを買って失敗するよりも、安い製品を買って失敗するほうがキズが浅い」と、ダメだったときのことを考えてしまう。

 しかし、ブラウンのシェーバー「Series7(シリーズセブン) 790cc-4 LDE」は、実売3万円を超える最高級モデルにふさわしい、優れたシェーバーだ。特に、肌への安心感、使用時の安定感については、明らかに安物のシェーバーとは一線を画している。約2カ月ほど使ったので、今回レビューとして取り上げてみよう。


メーカーブラウン
製品名Series7(シリーズセブン) 790cc-4 LDE
価格オープンプライス
販売店舗Amazon.co.jp
実売価格32,302円


“世界最高速”の音波振動でシェービング

790cc-4 LDEは、本体全体をブラックカラーで統一した限定モデルとなる。写真のレザーケースも付属する

 改めてこの「790cc-4 LDE」の概要を説明すると、ブラウンのシェーバーでは最高級クラスに当たるシリーズ「Series7(シリーズセブン)」の商品で、しかも、本体をブラックカラーで統一した限定モデルとなる。メーカーでは“スーパープレミアムモデル”と謳っているが、つまりはブラウンのシェーバーの中では一番値段が高いシェーバーってワケだ。

 790cc-4 LDEが“スーパープレミアム”なのは、カラーだけではなく、本体機能も付属品も充実しているからだ。

 まず本体だが、毎分1万回の振動でヒゲをカットする「音波振動ヘッド」機能を搭載している。これはヘッドが早く振動することで、より多くのヒゲをキャッチできるというもの。メーカーでは「世界最強の音波振動」としている。この振動スピードは、本体の「音波カスタムボタン」を押すことで、3段階に切り替えが可能。肌が弱い人は遅め、とにかく早く剃りたい時には早め、というように使い分けられる。

 このほか、ヘッドが前後に動くことで、顔の曲線に合わせて剃れるという「3D首振りヘッド」や、外刃の網目の形状をひとつひとつ変えることで、くせヒゲが捕らえやすい構造の「ディープキャッチ網刃」なども備えている。

 ところで、シェーバーに詳しい人なら、これらの機能は前年モデルにも搭載されているというのをご存知だろう。昨年モデルからは小さなアップデートがあり、ヘッドが上下に浮き沈みする「フロートヘッド」のバネ(スプリング)が、より少ない圧力でも肌の曲面に追随するよう改良されている。つまり、前年モデルに搭載している機能はすべて引き継いだ一方、スプリングやカラーなど細かい改良点がある、ということだ。

音波カスタムボタン(写真中、プラスとマイナスのマークが書かれているボタン)を押すことで、ヘッドの振動数が強/普通/弱に切り替えられる外刃は、穴の形状がひとつひとつ違う「ディープキャッチ網刃」を採用。さまざまな向きのヒゲをキャッチできるという。中央部には、くせヒゲや寝ているヒゲを持ち上げて根元からカットする「高速振動くせヒゲトリマー」もあるヘッドが前後に動き、顔の曲線に合わせて剃れるという「3D首振りヘッド」

外刃が上下に浮き沈む「フロートヘッド」。内部のバネが新しくなった外刃のユニットを本体から取り外したところ。ここからは分解できないトリマーも付いている

 付属品はさらに充実。アルコール入りの洗浄液でヘッドを自動で洗ってくれる洗浄乾燥器に、本革のソフトケースまで付いている。特にケースは、プラスチックのような安っぽさが感じられず、質感が高い。

 サイズは64×39.5×162.5mm(幅×奥行き×高さ)で、他社製品と比べると、グリップ部はやや太めだ。重量は210g。充電時の消費電力は7W。刃は3枚刃となる。本体中央部の丸いボタンで、電源のON/OFFを切り換える。


一度も剃り負けることなし。肌にやさしいシェーバー

 まずは本体から紹介しよう。スイッチを入れると、“ウイーン”というよりも“ブーン”という、低い振動音がする。さすがは音波振動、音波式電動歯ブラシの運転音のようにも聞こえる。

 最初は低い音におじけづいたが、剃り味は非常にスムーズ。外刃がスルスルと肌に追従するので、使っていて気持ちが良い。パワフルではあるが、かと言って痛いなんてことはまったくないのは素晴らしい。ヘッドの肌触りもソフトだ。

 音波カスタムボタンで振動を強めると、頬がブルブルと震えるほどパワフルになる。ワンストロークでガッツリとカットしてくれるので、朝寝坊など急ぎの時にはにはかなり重宝した。

 パワーを「弱」にすると、振動は柔らかで、肌にやさしい印象だ。もちろん弱とはいっても、剃り味はしっかりとしている。私は早起きした時や休みの日に、じっくりゆっくりと剃るのに使っている。

「音波振動ヘッド」を3段階に切り換えているところ。順番は弱→普通→強→普通→弱
朝起きたばかり(上)の状態と、その後シリーズ7でカットした後(下)の比較。全体的によく深剃りできています朝シェービングしてから、12時間後のヒゲの状態。伸びてはいるが、仕事終わりでこれなら、まあ許せる範囲と感じている

 一番感心したのが、肌が荒れたり、剃り負けすることが一度もなかったことだ。実は私は、新品のシェーバーを使うと、かなりの割合で剃った部分が赤く腫れてしまうのだが、これは使い初めから現在まで、肌が荒れたり赤くなるなどのトラブルは一切なかった。これは、音波カスタムボタンが弱でも強でも普通でも大丈夫だった。おそらく、今回のモデルから追加されたフロートヘッドの新しいバネが、ソフトな使用感を演出しているのではないかと感じている。


イヤなニオイとは無縁、爽やかな香りでシェービングできる洗浄システム

アルコール洗浄システムも搭載。本体を差し込んで電源を入れるだけでスタート、乾燥までやってくれる

 さて、本製品のもう一つの特徴である付属品に移ろう。まずは、充電洗浄器の「アルコール洗浄システム」にスポットを当てる。

 シリーズ7には、充電洗浄器がないバージョンも販売されている。「720s-4」がそれで、本体のカット機能はそのままではあるが、洗浄器がないだけで、実売価格が16,000円台とほぼ半値となっている。価格面では、720s-4の方が断然安く済ませられるのだ。

 しかし、個人的にはこの充電洗浄器があってとてもよかったと感じている。理由は、(1)掃除も充電もカンタン、(2)洗浄液が良い、の2点だ。

 (1)の洗浄と充電についてだが、本体を洗浄器に差し込んで、本体の電源ボタンを押すだけで運転がスタートし、洗浄停止後は、自動で充電に移行する。つまり、使った後は洗浄器に入れてポンとスイッチを押すだけで、次に使うときは刃はキレイに、電池は満タンになっているというわけだ。

 (2)の洗浄液については、これは私が洗浄ユニット付きの製品をあまり使ったことがないかもしれないが、こんなに気持ち良く使えるとは思わなかった。シェーバー特有のイヤなニオイがしないのである。

 電気シェーバーを使ったことがある人なら、刃のニオイが気になったことが一度はあるだろう。電気シェーバーは使えば使うほど、刃に皮脂が溜まり、ニオイが発生してしまうのだ。これが水で洗うだけではなかなか落ちない。かといって、わざわざ洗浄剤を買って洗うのもまた面倒臭い。

 しかしこの洗浄液を使えば、イヤなニオイどころか、爽やかな香りまで付けてくれる(シトラス?)。一度使ってみてもらえば分かると思うが、これがまた良い香り! しかも、肌に付けると、なんだかサッパリした感じがする。これはおそらく洗浄液に入っているアルコールの効果だと思うが、メーカーによると、洗浄液にアルコールを使っていて、しかもヘッドの除菌ができるのはブラウンだけのようだ。

パカッと開けて、そのスキマにアルコール洗浄液を入れる洗浄液はシトラス?の良い香り。気持ち良いシェービングが味わえますしばらく使うと、液にヒゲが溜まりまくる。普段は洗浄ユニットに隠れて見えないが、キレイ好きの人は意外と気にするかも

 難点としては、本体価格に加えてランニングコストもかかってしまうところか(3個で実売2千円弱)。洗浄液の交換の目安は1カ月。現時点では全然払う気マンマンだが、徐々に調達するのが面倒くさくなってくるかもしれない。また、洗浄中はシェービング時のようにブーンという音がするため、居間の近くで使うと家族の迷惑になる恐れがある点も、一応指摘しておこう。

 正直、洗浄ユニットなんてキレイ好きで几帳面な人だけのためのモノだと思っていたが、本製品で爽やかに気持ち良く使えることを知ってからは、毎回しっかりと洗浄してしまっている。特に、790cc-4 LDEに付属している洗浄ユニットは、洗浄後の乾燥もでき、洗浄液の交換時期や汚れ具合がランプで表示されるので、使い慣れていない私にはわかりやすくてうれしい。


泊まりの旅行に便利な本革ケース

レザーケースは持ち運びに便利

 もう1つの付属品が、シェーバー保護用のレザー(本革)ケースである。

 これは出張など泊りがけの外出で持っていくのに非常に便利。ホテルに付属のカミソリを使うと、必ずといっていいほど剃り負けてしまう私のような人は、使い慣れているシリーズ7を手軽に持っていけるので、重宝するだろう。プラスチックではないので、カバンの中でパソコンと当たってカチカチ鳴るなんてこともないのがうれしい。

 ケースには充電用コンセントを入れるスペースはないが、リチウムイオン電池の持ちはやたらと良いので、1~2日程度なら何も心配することはないだろう。私の場合、4週間くらいまったく充電せずに毎日使っていたが、パワーが弱くなることもなく、安定して動き続けてくれていた。


バッテリー残量(左)と、“清潔度”(右)の表示機能まである

 言い忘れていたが、本体には電池の残量と、刃の“清潔度”を、6個のブロックで示す液晶が付いている。“清潔度”は、本体を洗浄する度に満タンとなり、使用する毎に減っていく。毎日洗浄充電器を使っている場合はあまり重要度は高くないだろうが、“そういえば、充電してない”or“洗浄していない”と思ったら、このモニターを見ると良い。


とりあえず1回使ってみてほしい!

 というわけで、剃り味はやさしいうえにパワフル、しかもキレイに洗浄できちゃうなど、個人的にはかなり大満足な製品だ。これからもずっと使い続けていきたいと思っている。

 ただ細かいことを言うと、顔の曲線部へのフィット感は、他社の高級モデルの方が優れているかもしれない。具体名を挙げると、パナソニック「ラムダッシュ」に搭載されている「密着トレースヘッド」は、前後左右にヘッドが回り、顔の丸みにピタッと合う感覚があった。また、フィリップスの“三ツ目”のヘッドも、顔にペタリと付いた印象がある。

 実は私も、シリーズ7で剃った後、アゴ下を触ってみると、僅かにジョリッとした感覚が残っていたことが何度かあった。これはどうも、急いで剃った時に発生しやすいようだ。他社の高級モデルから乗り換えた場合、その点が気になる人も居るかもしれない。

 というわけで、機会があれば一度、この剃り味を体感してみて判断してほしい。ちょうどブラウンでは現在、深剃りに満足できなければ購入金額を返金するキャンペーンも行なっているので、とりあえずは買ってみて、満足できなかったら返しちゃうというのも、良い製品を購入するための選択肢として十分にアリだろう(キャンペーンは2011年1月31日まで)。なお、キャンペーンの応募は購入日から14日以内で、購入時のレシートが必要になるなど、細かいルールがあるので、一度キャンペーンサイトを確認することをお勧めする。

 個人的には、この「790cc-4 LDE」については、全体的には満足している。剃り味はパワフルながら肌を傷めず、洗浄液も爽やか。レザーケースも良い感じだ。3万円オーバーの高級モデルだが、それだけの価値は十分にあるといえる。

 、「それでもやっぱりなるべくお金を節約したい」という人は、本体のシェービング機能はそのままで、充電の表示や洗浄充電器の表示・機能を抑えた下位モデル「790cc-4/760cc-4/750cc-4/720s-4」というタイプもある。納得のいく製品を選んで、快適な“シェービングタイム”を送っていただきたい。





2010年12月3日 00:00