家電製品ミニレビュー

雨の日の部屋干しに有効! 強力なデシカント式除湿機

洗濯物の室内干しに除湿機が欲しい

トヨトミのデシカント式除湿機「TD-Z110C」

 今回は、トヨトミの「TD-Z110C」という除湿機を紹介する。これは部屋の湿度を下げる家電製品で、主な用途は室内干しした洗濯物の乾燥と、湿気の多い部屋の乾燥だ。今回は、洗濯物の室内干しに絞ってレポートする。

 我が家の洗濯は、縦型の全自動洗濯機で洗い、ベランダで天日干しするシステムだ。スペースの問題もあって、乾燥機付きの洗濯機は導入していない。雨の日は室内干しで、扇風機を使って風を当てている。

 しかし、梅雨は近づいてくるし、今年は低温多雨な夏になる可能性が高いという予報も出ているので、室内干しの増加に備えて除湿機を導入することにした。

 今回選んだTD-Z110Cという除湿機は、ゼオライトという乾燥剤で湿気を吸着するデシカント式で、本格的な機能の割に低価格なのが特徴だ。Amazonでの価格は15,000円前後になっている。

メーカートヨトミ
製品名TD-Z110C
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格14,280円

本体は大きいが、能力も高い

 TD-Z110Cの本体は、217×462×528mm(幅×奥行き×高さ)、重さは8.2kgだ。高さは男性の膝よりも高いぐらい。重さは、ギリギリ片手で下げられるぐらいだ。写真から想像していたよりも、大きく重かった。

こちらの側面から風が吹き出す
本体側面。厚みは約21cmある
本体に取っ手があり、移動しやすい
一般的なリビング扇風機と比べたところ。高さは約62cm
除湿機本体はかなり大きい。右の空気清浄機も大きめな製品だが、あまり差がない
水タンクは引き出し式で、約3.8Lと容量が大きい

 この機種にした理由は、除湿能力の高さだ。実売価格1万円台の除湿機は、木造7畳、鉄筋14畳程度に対応する製品が多い。しかし、このTD-Z110Cは、木造で14畳、鉄筋で27畳と除湿能力が高い。

 もう1つの理由が、除湿した水を貯める水タンクの容量だ。これが満水になると除湿運転が止まってしまい、水を捨てる手間が増えるので、大きめの方が使いやすい。ライバル機の水タンク容量は2L前後のものが多いのだが、この製品は約3.8Lと大きい。

室内干しで効果を検証

 今回は、約6kgの濡れた衣類を用意して部屋干しでの実力を試してみた。部屋はマンションの1室で6畳間の和室だ。除湿機で洗濯物を乾かすときは、できるだけ小さい部屋に干し、部屋を閉めきって使用すると効率が良いが、その条件に合っているのだ。

約6kgの洗濯物を干して検証した
除湿機と洗濯物の位置関係

 この除湿機の電源コードは2mあり、普通の家電製品より50cmほど長い。除湿機は、部屋の中心に置いて使う場合もあるので、長いほうが便利なのだ。

電源コードは直に生えているタイプ。長さは2m

 除湿機の設置場所については、ノイズが出る可能性があるのでテレビやラジオから2m以上離すこと、周囲は20cm以上、上には60cm以上の空間を確保することと注意されている。

 また、除湿機と洗濯物との間は40cm以上空ける必要がある。今回は洗濯物を窓に近い場所に干し、除湿機を1mほど離れた場所に置いて使った。

 デシカント式の除湿機を使うのは初めてなので、念のため、取扱説明書をよく読んでみたが、使いはじめに特別な準備などは必要なかった。

操作パネル。ボタンは少なく、機能も分かりやすい

 まず、電源スイッチを入れ、操作パネルの「衣類乾燥」ボタンを押す。1回押すと「連続」モードで連続運転し、もう1回押すと「おまかせ」モードで洗濯物が乾くと自動停止する。ここではおまかせモードにした。

 衣類乾燥運転をおまかせモードで使ったときの動作時間の目安は、2~4kgの衣類で、約3~5時間とされている。また、衣類乾燥運転では、10時間動作すると自動的に運転を停止する。

 次に「オートルーバー」ボタンを押して、ルーバーの動く範囲を設定する。ここでは除湿機の前に洗濯物があるので、「前方向」にセットした。ルーバーの設定には「上方向」と「ワイド」もあり、洗濯物との位置関係によって使い分ける。

オートルーバーはモーター駆動
こういう感じで、速いペースで動く
左右方向のルーバーは手で操作する。これはいっぱいに広げた状態

 左右方向のルーバーは手動で設定する。今回、吹き出る風がまんべんなく洗濯物に当たるように、外側に向けてセットした。洗濯物が少ない時は、内側に向けてセットして、風の範囲を絞り込むと有効だ。

 この除湿機では、ユーザーが風量を直接指定する仕組みはない。そして、衣類乾燥モードでは、ほとんどの場合、風量が強い状態で動くので、かなりにぎやかだ。

 ファンの音は大きく、空気清浄機を「強」モードで動かしたときに近い。同じ部屋にあるテレビの音量を上げる必要がある。夜に、除湿機が動いている部屋で寝るのは、私には考えられないぐらいうるさい。夜中に洗濯物を干す時は、寝室とは別の部屋にしたほうが良い。

 また、この除湿機はデシカント式なので、熱風とは言わないまでも暖かい風が出てくると思っていたが、吹き出てくる風の温度は常温だった。それでも、コンプレッサー式除湿機のひんやりとした風とは大違いだ。

 今回は洗濯物が多かったこともあって、除湿機はほぼ10時間動作していた。除湿機を動かし始めた時の温度と湿度は19.7℃/55%だったが、10時間後には21.9℃/41%だった。約6kgの濡れた洗濯物を干している状態なのに、これだけ除湿ができていれば十分だろう。

室内干しを始めた時点の温湿度
10時間後の温湿度。温度が2℃上がり、湿度が14%下がっていた

 また、デシカント式除湿機なので、もっと温度が上がるかと思っていたが、約2℃ほどの上昇だった。夏はともかく春先ならば問題にならない程度だ。

 肝心の洗濯物の乾き方は気持ちの良いもので、温風を使う乾燥機のようなふんわりとした仕上がりではないが、曇りの日に外で干したときの状態に近い。もちろん室内干し特有の匂いもないし、扇風機の風で無理に乾かしたときの特有の匂いもしない。

 全体の乾きかげんは8割ぐらいで、薄手の下着や化繊のシャツは乾いているが、純綿のTシャツや厚手のバスタオルは乾ききっていない感じだった。洗濯物の乾き方は、湿度だけではなく、風の当たり方の影響が大きいようだ。風が通りやすいように洗濯物の配置を考えたり、乾燥の途中で洗濯物の位置を入れ替えるなどの配慮が必要だ。

 水タンクをチェックしてみると、容量の半分ぐらい水が溜まっていた。排水するときのタンクは、それなりの重さがあり、除湿機が活躍したと実感した。

10時間後には、水タンクに水が溜まっていた
水は約2L溜まっていた。けっこう取れるものだ

コストは1回使って200円

 デシカント式除湿機は初めて使ったが、思っていたほど温度も上がらず、よく水が取れる(除湿できる)ので、良い印象だ。

 気になる電気代だが、消費電力が760Wなので、1時間動かすと0.76kWh、電気代は19.69円の計算になる。だいたい1時間当たり20円と覚えれば良いだろう。10時間連続で洗濯物の乾燥に使うと、200円というわけだ。

 私個人の感想で言えば、200円で洗濯物が乾くのであれば、アリだと思う。コインランドリーで乾燥機を使うコストと思えば納得できる。これから、梅雨の時期に向けて、乾かない洗濯物に悩んでいる人は、乾燥機付き洗濯機とともに検討する価値のある製品だと思う。

伊達 浩二