家電製品ミニレビュー

東芝「uLos(ウルオス) KA-P70X」

~ファンまで洗える! まるごとキレイな加湿器

東芝ホームアプライアンス「uLos KA-P70X」

 我が家では毎晩、寝室でエアコンの暖房運転をONにしているが、エアコンの暖房を使う際に欠かせないのが加湿器だ。この冬に導入したのは、東芝ホームアプライアンスの気化式加湿器「uLos(ウルオス)KA-P70X」。KA-P70Xの最大の特徴は、清潔さ。なんといっても、送風ファンまで洗えるという点に惹かれて購入した。

メーカー東芝ホームアプライアンス
製品名uLos(ウルオス) KA-P70X
購入場所Amazon.co.jp
購入価格17,080円

 KA-P70Xは太鼓のようなユニークな形をしている。本体サイズは365×201×402mm(幅×奥行き×高さ)で、単機能の加湿器としては大きめだが、加湿機能付きの空気清浄機に比べれば一回り小さい。重量は約6.1kgで、本体上部のハンドルを持って持ち運べる。1時間あたりの定格加湿能力は700ml/hで、適用畳数は木造和室12畳、プレハブ洋室19畳にまで対応する。

両側面に風の吹出口が付属。左側側面には、タンク内の水の残量がわかる窓が付いている
本体背面に円形の吸込口がある
ハンドルが付属し、室内の移動が楽だ
本体上部に操作パネルを搭載する
操作パネルの拡大図。電源のON/OFFのほか、運転モードの切り替えやタイマー設定、ピコイオンのON/OFF設定ができる

 本体カラーは、清潔感のあるホワイトで統一されている。前パネルを開けると、半円状の薄型水タンクが現れる。水タンクの容量は約2.8Lで、薄型の割にたっぷりとある。

前パネルを開けたところ
半円状の水タンク。

加湿運転は、「おまかせ」や「おやすみ」など目的に応じて4モードから選べる

電源ボタンをONにすると、運転モードやピコイオンのランプが点灯する

 さっそく和室8畳の寝室で使ってみよう。KA-P70Xの使い方はシンプルで、タンクに水を注ぎ、本体にセットして電源をONにするだけ。電源が入ると「ピッ」と本体から音がして、ファンを回すモーター音が聞こえ始める。

 加湿器をつけずにエアコンの暖房運転を数時間続けていた室内は、恐ろしいことに湿度31%とカラカラの状態だった(室温は18.5℃)。そこで急速に湿度を上げるため、大風量の「連続」モードをONにした。「連続」は、部屋の湿度に関係なく大風量で加湿するモードだ。

 「ブォー」というファンの風切り音と共に、みるみるうちに湿度は上昇し、わずか5分で湿度47%まで上がった。部屋に置いてある温湿度計では、湿度45~65%を快適範囲としているので、これで正常に戻ったことになる。

 だが、加湿器の風量が大きいと、エアコンの暖房を入れていても、肌寒く感じてしまう。事実、KA-P70Xから1mの距離の床面に置いた温湿度計の示す室温は、運転開始から5分で、18.5℃から14.5℃に下がってしまった。加湿方式が空気を温めるヒーターを搭載したハイブリッド式と違って、単なる気化式だからだろう。

時間
運転開始時5分後
室温18.5℃14.5℃
湿度31%47%

 肌寒く感じる時には、「おまかせ」モードに切り替える。「おまかせ」モードは、本体に内蔵した温湿度センサーによって、湿度は50~60%、室温は18~24℃の間を理想として調節してくれるらしい。

 「おまかせ」モードで運転を続けていると、本体の運転開始から15分後、室温は17.8℃、湿度は60%に回復した。そのまま「おまかせ」モードで運転を続けると、運転開始から1時間後の室温は18.4℃、湿度は57%と、快適な温湿度を保っている。加湿器が自動で風量を調整してくれることで、エアコンの暖房効果が発揮されたわけだ。

時間運転開始から15分後1時間後
室温17.8℃18.4℃
湿度60%57%
「おまかせ」モードでは、室温は18~24℃、湿度は50~60%の間を理想として加湿量を自動で調節する
運転開始から15分後、室温は17.8℃、湿度は60%になった
運転開始から1時間後。「おまかせ」運転を継続していると、快適な温湿度を保ってくれる

 夜は、「おやすみ」モードで運転している。おやすみモードでは、運転音が小さく、眠りを妨げないのだ。その代わり、微弱の風量で加湿するため、加湿量は少ない。だが自分にとって、このほうが肌寒く感じることもなく、朝までタンクの水が尽きないので、助かっている。

 このほか運転モードは湿度65%を維持するように運転する「うるおい」モード を用意しており、目的に合わせて「連続/おまかせ/うるおい/おやすみ」の4つから選べる。

 正直、「連続」モードだと、運転音が結構気になる。それに比べて、「おまかせ/うるおい/おやすみ」の3モードは大差なく静かだと感じられる。「連続」モードの消費電力は31W、「おやすみ」運転の消費電力は7Wとなっている。

運転音の比較。「連続」→「おまかせ」→「うるおい」→「おやすみ」→「連続」の順で運転モードを切り替えると、「連続」の時だけ運転音が大きいのがわかる

 ちなみに細かい部分なのだが、運転モードの名称は気に入っている。風量が「大/小/自動」という即物的な呼称ではなく、「連続/おまかせ/うるおい/おやすみ」といった目的に合わせて選べるから操作しやすい。

 機能面ではほかに、「1/2/4時間」の3段階によるOFFタイマーや、花粉やダニなどのアレル物質の抑制や、除菌、脱臭に効果があるという同社独自のイオン技術「ピコイオン」の発生装置を搭載している。今は花粉の季節ではないので、イオンの効果はわからなかったが、とりあえず常にピコイオンのスイッチを入れて運転している。

送風ファンまで徹底的に水洗いできる

 衛生面では、本体を細かく分解して送風ファンや気化フィルターまで水洗いできる。フィルターは、加湿用の気化フィルターのほかに、花粉やアレル物質を捕集する「エアフィルター」も搭載している。さらに、タンクやタンクのキャップには、抗菌素材を採用している。

細かく分解して洗える。送風ファンまで洗えるのは、業界初とのこと(同社ホームページより抜粋)

 手入れは、水タンクの受け皿となるトレイの水洗いが2週間に1回程度、ファンの水拭きが1カ月に1回程度、気化フィルターの手入れが3カ月に1回程度が推奨されている。

 一番手入れの頻度が高いのがトレイだ。トレイは加湿中、常に水がたまっている。トレイの水洗いはいくつかの細かいパーツを外して丸洗いするだけなので、結構簡単。気になる人は、こまめに洗える。私は水の交換ついでに、1週間に1回ほど洗っている。

後ろパネルを外した状態
後ろカバーを外すと、奥の透明のファンが見える
トレイを外した状態
トレイからシャワーユニットを外す
シャワーユニットに中のスポンジを外す
水でもみ洗い
気化フィルター
トレイを上から見たところ
トレイの中の水を捨て、抗菌ガラスとゴムパッキンを外す
抗菌ガラスとゴムパッキンを水洗いする
トレイもまるごと水洗いできる
トレイ内の隅やローラー部は綿棒などで優しく洗う

 送風ファンは、基本的には水拭きで手入れするが、汚れが目立つ場合は水洗いする。このほか気化フィルターも、約3カ月に1度手入れする。

送風ファンは透明だ
汚れが気になったら水洗いしよう。1カ月使うと、ホコリが付着していた

 隅々まで分解して手入れできるうえ、内部までホワイトカラーで統一されているので、汚れが付着していても見つけやすい。分解と言っても、パネルなどをはめ直すのは慣れるとそんなに大変な作業ではない。

なにより清潔さを求める方、本格的でコンパクトな加湿器が欲しい方に

 一通り使ってみて、エアコンと併用して部屋全体を加湿するのにピッタリなパワフルさに満足している。飾り物系の加湿器と違って、センサーで温湿度を見極めて自動で加湿してくれるし、運転モードはきめ細かく用意されているので、高機能の加湿器を求める方にピッタリだ。

 また、コンパクトさも魅力だ。我が家ではこれまで、加湿機能付きの空気清浄機で寝室を加湿してきたが、本体が大きいため、設置スペースをとってしまうのがデメリットだった。それに比べ、KA-P70Xは小さめで、圧迫感も無い。

 なによりも、隅々まで洗えるというのは嬉しい。毎日部屋に風を放つ物だから、手入れの手間が極力かからないこと以上に、衛生的であってほしい。そう思う方も多いはずだ。清潔さを重視する方には、uLosの加湿器を試してみてほしい。

小林 樹