家電製品ミニレビュー

アンティバックジャパン「PANTONE MAGIC BALL M」

~デザイン、灯り、香りに癒される女性好みの空気清浄機
by 阿部 夏子

一味もふた味も違う空気清浄機

アンティバックジャパン「PANTONE MAGIC BALL M」

 風邪や花粉対策に空気清浄機を導入するのはかなり一般的になってきているようで、家電量販店に行くと、何十台という空気清浄機が並んでいる。清浄方法や、機能などそれぞれ様々な特徴があるが、デザイン面だけでみると、他社をしのぐ圧倒的な存在感を放つ製品がある。それが今回紹介するアンティバックジャパンの空気清浄機「マジックボール」だ。


メーカーアンティバックジャパン
製品名PANTONE MAGIC BALL M
希望小売価格26,000円
購入場所オンラインショップ


 少し前にタレントの結婚式の引き出物に選ばれたこともあって、女性の中では一定の知名度があるこの製品。空気清浄機としての機能だけでなく、香りや灯りが一緒に楽しめるなど、女性好みの機能が詰まっている。

 本体はマジックボールという製品名の通り球体で、運転中は本体内部を液体が回転している。一般的な空気清浄機と比べると、サイズやビジュアルはもちろん、空気をきれいにする機構も全く違っている。

 まず、マジックボールにはフィルターというものがない。現在発売されているほとんどの空気清浄機は、空気を吸って、内部のフィルターに通した空気を再度放出することで、空気を“浄化”している。

 最近では、フィルターに頼らず、抗菌効果などがあるイオンを放出して、室内の空気をきれいにするという機能が注目されているが、マジックボールはイオンを放出するというわけでもないのだ。

 では、どうやって空気をきれいにするかというと、「ソリューション」という独自の除菌液を水に薄めて、それをミスト状にして室内に放出することで、菌やニオイの元に作用するという仕組みなのだ。

 そもそ、アンティバックという会社はシンガポールにある薬品などを扱う会社で、空港や病院などの施設の殺菌などを一手に請け負っていたという。マジックボールで採用されているソリューション技術もそのノウハウを活かしたもので、水とソリューションを攪拌し、放出することで、空気中に浮遊するウイルス、細菌、悪臭の元などをカプセルで包み込み閉じ込めてしまうという。

 しかし、マジックボールの機能は殺菌、消臭だけではない。独自のソリューション液には香りがついていて、室内にはふんわりと香りが漂うのだ。ソリューションの種類は現在17種類。香りが苦手な人のための「Non fregrance(ノンフレグランス)」からフレッシュな森の香りをイメージした「Eucalyptus(ユーカリ)」など様々な種類を揃える。

 デザインだけでなく、香りや、香りを選べるというところまで女性が喜びそうな機能が満載の製品なのだ。

製品パッケージ左から時計周りに電源コード、本体、取り扱い説明書本体は上部と下部で分けることができる

水の流れに癒される

 アンティバックジャパンでは、現在サイズやデザイン、適応面積が異なるマジックボールを全7種類展開しているが、その中から今回選んだのは最もオーソドックスなタイプの「PANTONE MAGIC BALL M」。サイズはMサイズでカラーはピンクを選んだ。本体は150×150mm(直径×高さ)と、片手で持てるコンパクトなサイズだが、これ1台で約15平方mをカバーできるという。

 丸い球体を構成しているのは下側のガラスボールと上面の電源部。ちょうど球体の真ん中あたりの境目には、運転中に点灯するLEDライトが内蔵されている。

球体の上部には、攪拌用のモーターなどが内蔵されている攪拌するために中央部が飛び出ている
下のボールはガラス製のクリスタルボールを採用。透明性が低く、表面が7色に光る

 使い方は簡単だ。まず、ガラスボールの内側の線のところまで水を入れて、そこにソリューション液を適量入れる。あとは、球体の上部である電源部をかぶせて、電源を入れるだけ。

 今回使ったMサイズの場合、ガラスボールに入れる水は250ml、ソリューションの水は2.5mlなので約100倍薄めることになる。電源を入れると、中の水とソリューションがゆっくりと回転を始め、同時にソリューションの香りが室内に広がり始める。室内で香りを楽しむための機器というと、アロマディフューザーなどがすぐに思いつくが、マジックボールの方がもっと広がり方が早い感じだ。アロマディフューザーなどに比べると、放出範囲が広いからだろう。

 今回選んだソリューションはクチナシの香りをイメージした「Gardenia(ガーデニア)」だ。クチナシは6月に咲く花なので、今の季節にぴったりの香りだ。ガーデニアの香りは華やかで、甘さのある女性らしいもの。約100倍薄めるのにも関わらずソリューションの香りはしっかりとしたもので、約12畳の部屋のどこにいても、香りが感じられる。

ガラスボールに水を入れたところ。Mサイズの場合容量は250ml今回選んだソリューションはクチナシの香りをイメージした「Gardenia(ガーデニア)」

 本体内蔵のLEDは白色で、点灯パターンは2種類。5秒間隔で点灯パターンが変わっていくモードのほか、点灯パターンを固定することもできる。

LEDライトの点灯パターンは2種類

 意外な癒し効果を感じたのは、マジックボールの中の水の流れだ。ぐるぐると滑らかに回転していく水の流れについつい目がいってしまう。PANTONE MAGIC BALシリーズでは、ガラスボールにレインボーカラーを採用していることもあって、水の流れが神秘的にすら見える。

 本体サイズはコンパクトだが、ソリューションの香りをしっかり感じられることもあって、存在感は抜群。ライトを点灯させて使うと、さらにインテリア性が増す。

帰宅した時の空気がフレッシュ

 使い始めて一番良さを感じたのは、仕事から帰ってきたとき。自宅に帰ってドアを開けるとフレッシュな香りが部屋中に広がっているので、気分を切り替えることができる。香りというのは不思議なもので、疲れているときや、気分が落ち込んでいるときでも、華やかな香りを嗅ぐと、自然に気持ちも浮き立ってくるような感覚がある。

 基本的には24時間つけっぱなしにして使っていたこともあり、マジックボールを使い始めてから、自宅の「生活臭」が格段に少なくなった――というよりも、しなくなったといっても良い。たとえば、前日に食べた焼き魚のニオイや玄関周りの独特のニオイなど。

 特に変化を感じたのは、室内干しにしていた洗濯物のニオイだ。どんなに気を付けていても、ついてしまっていたあの独特のニオイがなくなって、かわりにソリューションの残り香がほんのりと残っている。これは思いがけず嬉しかった。洗濯物の室内干しのニオイは、菌の繁殖が原因なので、これはマジックボールの除菌効果が実証されたといっていいだろう。

気になるお手入れやコストは?

 本体のお手入れも簡単にできる。日常的な手入れは、水の交換だけだ。ボールの中の水位が下がってきたら、中に残った水を捨てて新しい水を入れたら、ソリューションを加えて、再び電源を入れる。Mサイズの場合水が少なくなるまで約2日間。ソリューションの除菌効果も約48時間なので、基本的に本体はつけっぱなしにして使う。

 水の交換のときに、ボールの中をゆすいだり、ヌメリが気になるようだったら、スポンジなどで軽くこするけで、ほとんどの汚れはすぐに落ちる。

 なお、マジックボールでは電気代や水道代といったランニングコストのほかに、ソリューション代もかかる。ソリューションは基本的には本体と別売りで、価格は1本3,900円。容量は120mlで、これ1本で約1カ月使用できる。つまり毎日使った場合、月に3,900円は必ずかかることになる。これは、空気清浄機のランニングコストとしては決して安い方ではないが、マジックボールの機能を考えるとこれも納得できるかなという気もする。

 マジックボールでは、ただ単に空気をきれいにするだけでなく、香りや灯りも同時に楽しめる。香りやビジュアルによる癒し効果は前述したとおりだ。たとえば、室内の芳香剤にこだわっている人や、アロマオイルを日常的に楽しんでいる人なら許容範囲のコストだろう。

 使っていて一点だけ気になったのは、本体の安定性。固定用パッドは付属するとはいえ、本体は球体でガラス製のため、安定性はあまり良くない。本体に差し込む電源コードが太めなこともあって、何回かひやっとする場面があった。設置場所には充分注意したい。

本体固定用のパッド電源コードが本体中腹部にあるため、コードに触ったりすると倒れやすい

1人暮らしの女性におすすめ

 ビジュアルや機能、ソリューションの種類の多さなど、女性が好きそうな機能が満載の製品。特にお勧めしたいが、1人暮らしの女性だ。本格的な空気清浄機を導入したいけど、置く場所がないという人や、アロマなど香りを楽しむのが好きという人はもちろん、癒しグッズとしてもお勧めできる。帰宅した時に感じるあのフレッシュな香りは、ほかの製品ではちょっと味わえない。

 最後に注意したいのが、類似品の多さだ。最近、インテリアグッズやバラエティショップにはマジックボールに似た製品が数多く並ぶ。形は似ていても、機能や除菌技術などはもちろん備わっていないので、くれぐれも注意していただきたい。






2011年5月24日 00:00