家電製品ミニレビュー

リズム時計工業「ライフナビ D200」

~インフルエンザにかかりやすい環境を警告してくれる温湿度計
by 伊達 浩二
リズム時計工業「ライフナビ D200」

2月に入っても温湿度計は必要

 この冬の東京は乾燥した日々が続いており、周囲でも風邪を引く人が出てきた。外回りで寒風に吹かれるのもつらいが、オフィスや家庭でも油断していると、思っていた以上に寒かったり乾燥していたりして体調を崩してしまいやすいのだ。

 こういうときは身の回りの環境を測る温湿度計が有効だ。今回は、実売で2,000円台の買いやすい温湿度計を紹介しよう。リズム時計工業の「ライフナビ D200」という製品だ。

 温湿度計は、温度と湿度の表示が主な機能だが、この製品は、環境の変化を見て「注意表示」という警告を表示してくれるところが新しい。去年(2010年)の10月に発売されたばかりの製品だ。

 本体色は白と黒があるが、今回は白にした。


メーカーリズム時計工業
製品名ライフナビ D200
希望小売価格3,150円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格2,150円

シンプルなデザイン

 この製品のパッケージは、透明で製品がそのまま見える、いわゆるブリスター型というパッケージだ。リズム時計はシチズングループなので、「CITIZEN」のブランドもついている。取扱説明書はパッケージの裏紙ではなく、用紙1枚だが、独立したものが用意されていた。

 「D200」は、白が基調のシンプルなデザインだ。特徴はないが、置き場所を選ばないデザインといえる。写真では大きさがわかりにくいが、目覚まし時計ぐらいの大きさだ。背面には折りたたみ式の脚が内蔵されていて自立する。だいたい幅14cm、奥行き7cmぐらいの場所があれば置ける。

パッケージはブリスター型台紙は保証書になっている取扱説明書は別になっている。これ以外に木ねじが付属する
本体背面。ボタンは少なく、表示もわかりやすい脚を開いたところ安定して自立する。角度は固定
本体の幅は14cmぐらい奥行きは7cmぐらい付属の乾電池を入れる

 液晶面で一番大きい文字は、温度と湿度で、その下にカレンダーと時刻が表示されている。液晶のバックライトはないが、コントラストが高く、暗い場所でも数値が読み取りやすい。

 時計は、クォーツ式のデジタルクロックだ。電源は温湿度計と共用で、付属の単三形マンガン乾電池2本を使う。寿命は約2年とされている。

 流行の電波時計ではないので、電池を交換したときは、日付と時刻合わせをする必要がある。ただし、操作方法は、「戻る」「進む」というボタンで数字を合わせて、「時刻合わせ」のボタンで次の項目へ移動するというわかりやすいもので、迷わずに操作できる。

液晶は大型で文字が読み取りやすい大きな文字は温湿度計。日時と時刻は小さく表示される。これはまだ時刻合わせをしていない状態左はちょっと大きめの目覚まし時計。それよりも幅はあるが高さはない

 この製品の温湿度計は精度が高いのが特徴だ。一般にアナログ式に比べてデジタル温湿度計は表示精度が高いが、それでも温度がプラスマイナス2℃、湿度がプラスマイナス8%ぐらいの製品が多い。しかし、この製品では温度がプラスマイナス1℃、湿度がプラスマイナス3%と一段高い精度となっている。家庭用の温湿度計とはいえ、計測器の一種であるだけに基本的な精度が高いのは好ましい。業務用の記録式温度計とも比べてみても、数値がほぼ一致していた。

 最大の特徴である、「注意表示」は、「熱中症」「食中毒」「インフルエンザ」「カビ・ダニ」の4種類だ。ただし、それぞれの表示がどんな条件で表示されるかは、取扱説明書にも書かれていない。これは書いておいてほしかった。

家の中でも「注意表示」が出る

 とりあえず、いろいろな場所に置いて、どんな条件下で注意表示が出るのが探ってみることにした。

 場所を移動した際の表示の変化は速い。とくに温度の変化は数分ですぐに安定する。湿度のほうは少し遅く、5~10分ぐらいで安定した数値となる。

 まず自室で試してみた。温度と湿度は21.6℃/44%だ。注意表示は出ていない。加湿器が入っていたので、湿度が高めだったのが良かったようだ。リビングルームも試して見たが、同じぐらいの気温と湿度で、やはり警告は表示されない。

 最初に警告が表示されたのは玄関だった。もともと北向きで日が当たらない場所のため、17.0℃/44%という数値だったのだ。警告内容は「インフルエンザ」だ。湿度は自室と変わらないので温度が低いのがいけないらしい。

自室での計測結果。湿度が高めのせいか「注意表示」は出なかった昼前というのに玄関は寒い。「インフルエンザ」注意と言われてしまった

 次に表示されたのはベランダだった。屋外で日中でも13.1℃/49%と気温が低かったのだ。警告内容は「インフルエンザ」。冬にしては湿度が高いのは、雨が降りそうな曇天だったからだ。なお、本機は室内専用なので、本当はベランダで使ってはいけない。

 もう1カ所、トイレでも「インフルエンザ」が表示された。19.3℃/38%なので、気温が20℃を切ると、インフルエンザの警告が出るのかもしれない。また、“玄関”“ベランダ”“トイレ”は脳卒中などの発作を起こしやすい場所でもある。こうして測ってみると、自室やリビングルームとの温度差が確認できる。この温度差が発作を招きやすい原因なのだろう。

夕方の屋外は寒い。ベランダでも「インフルエンザ」注意が出てしまったトイレも寒かった。「インフルエンザ」表示
入浴直後の浴室は高温多湿なので、「食中毒」と「カビ・ダニ」のダブル表示

 さて、「インフルエンザ」表示だけでは飽きてしまう。とはいえ、4つの「注意表示」のうち、「インフルエンザ」以外の条件は高温多湿で表示されそうなものばかりだ。冬の室内で高温多湿の条件を作ることは難しい。考えた末に、入浴直後の浴室に置いてみた。なお、今回は実験のために置いてみたが、浴室での使用は禁止されているので、真似しないでほしい。結露してしまうと、故障の原因になるからだ。

 その結果は、25.9℃/89%で、「食中毒」と「カビ・ダニ」が表示された。やはり、環境が高温多湿だと表示されるようだ。なるほど、浴室の壁に黒カビが生えやすいはずだ。入浴したあとは、お風呂場に扇風機や除湿器で風を送って乾燥させなければいけないと言われるわけである。

 いろいろ試して見たが、室内の環境では「熱中症」は表示できなかった。たぶん、もっと温度が高くならないと表示されないのだろう。

意外に激しい室内環境の変化

 この製品では、24時間以内の温湿度の最低/最高値を表示する機能がある。本体の表面いあるボタンを押すと、最高値→最低値→現在の測定値の順に表示されるのだ。

 それで確認してみると、最低条件は13.1℃/LL(20%以下)、最高は28.7℃/89%だった。ベランダや浴室を含むとはいえ、マンションの一室という狭い場所でも、環境の変化は思っていたよりも大きい。やはり体感だけではなく、こういう機器で測ってみることは大事だと感じた。

本体前面の右側に「最高/最低表示切替」のボタンがある。押すと、「最高」→「最低」→「現在の測定値」の順に切り替わる。最高温度と湿度。どこで28.7℃になったのかわからない。直射日光にあたったのか最低温度と湿度。13.1℃も寒いがLL(20%以下)という湿度は厳しい

 注意表示も、ほぼ適切な表示だと感じた。ただ、液晶画面上に内容を示す文字が表示されるだけでなので、日常で使用しているときは気がつきにくい。警告があるときは、別にLEDが点灯するなどの工夫がほしい。また、どういう条件で、注意が表示されるのか、数値やグラフが公開されると、より納得しやすいだろう。

 今の季節は、寒さと乾燥が注意対象だが、この製品は高温や多湿についても警告してくれるので夏でも使える。以前、別の温湿度計で夏の室内を測った時に、意外なほど高温多湿になっていて驚いたことがある。いまから備えておくと良いだろう。

 この温湿度計は比較的安価だが、計測精度もよく、文字も読み取りやすい製品で好感が持てた。お子さんやお年寄りのいる部屋にお勧めしたい。





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2011年2月10日 00:00