家電製品ミニレビュー

シャープ「プラズマクラスターイオン発生機 IG-CM1」

~デスクや旅先にも持ち歩ける“モバイルタイプ”のイオン発生器
by 阿部 夏子

風邪にかかる場所って?

シャープ「プラズマクラスターイオン発生機 IG-CM1」

 空気が乾燥して、風邪が気になる季節になってきた。風邪の予防というと、手洗い、うがい、マスクの装着などが一般的だが、最近は空気清浄機などから放出する除菌効果のあるイオンで風邪対策をという人も多いのではないだろうか。

 私自身、自宅にいる間は就寝中まで空気清浄機を付けっぱなしにしている。だが、ここで改めて、風邪の感染源を考えてみると、自宅ではなく外出先がほとんどであるということに気づく。自宅でいかに風邪の対策をしてみても、外出先で風邪の菌をもらってしまったら、あとはもう治すしかない。フルタイムで働いている私の場合、1週間のうち自宅にいるのは半分以下で、それ以外の時間を過ごしているのは会社だ。年中空調がつけっぱなしで、複数の人が毎日出入りする環境で1日何時間も過ごしていれば、そりゃ風邪もひくだろうという話だ。

 そこで登場したのが、今回紹介するような小型のイオン放出器だ。ウイルスやアレル物質を抑制する効果があるというイオンを放出するこの手の製品は、今回扱うシャープだけでなくパナソニックも製品化しているが、いずれも部屋や車など特定の場所に設置するのが目的の製品だった。

 「プラズマクラスターイオン発生機 IG-CM1」は、“持ち歩き”を前提とした「モバイルタイプ」のイオン発生器というところが新しい。モバイル機器というと、すぐに思い浮かぶのが携帯電話だが、IG-CM1は携帯電話と比べても遜色ないほどに小さくて軽い。本体サイズは57×27.5×124mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約150g。バッグの中に入れて持ち歩けるサイズだ。この小さな機器からプラズマクラスターイオンを1立方cmあたり約25,000個出すという。



メーカーシャープ
製品名プラズマクラスターイオン発生機 IG-CM1
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格8,950円


製品パッケージ。片手に乗るサイズだ使用開始時は本体の絶縁シートを引きぬく製品本体
本体裏面イオン放出口放出口はカバーできる
本体の部品。左上から時計まわりに本体、プラズマクラスター発生ユニット、吹き出し口カバー、前パネル、リチウムイオン充電池

 プラズマクラスターイオンとは、シャープ独自のイオン技術で空気中の水分子と酸素分子を電気分解して作りだしたプラスとマイナスのイオンが、ウイルスや菌、ニオイ成分などを無力化するというもの。シャープでは第三者機関によるプラズマクラスターイオンの効果を次々と実証しており、最近では美肌効果肌荒れ防止効果など女性に嬉しい効果も発表している。

 IG-CM1では、プラズマクラスターイオンを吹き出し口から前方約80cmの地点まで発生させる。人間1人分のスペースにイオンを放出する、まさに“おひとりさま用”の製品ということになるわけだ。

 本体はリチウムイオン電池を搭載しており、あらかじめ充電しておけば電源がない場所でも使用できるという。また、コードに接続したままでも使用可能となっている。USBケーブルにも対応している。本体操作はON/OFFスイッチのみのシンプルなものだ。

ON/OFFスイッチは本体側面に設けられている本体にはリチウムイオン電池を搭載する付属のUSBケーブルを使ってパソコンから電源を取ることもできる

空気清浄機とイオン発生器の違いとは

 さて、本体の説明に入る前にちょっと基本的なところを説明しておきたい。イオン発生器と空気清浄機って何が違うの? というところだ。仕事柄、家族や友人たちに家電製品の相談を受けることが多いのだが、実はこの違いを分かっていない人が多い。空気清浄機は、室内の空気を本体に取り込んで、中のフィルターで空気に含まれるホコリやニオイを取り除き、再度室内に放出するというもの。最近では空気と一緒に、イオンを放出して、室内の菌を抑制するという機能を搭載しているものが多い。

 一方、イオン発生器はイオンを発生するだけの専用機器だ。そのため、室内の空気を大量に取り込んで、放出することはしないし、高性能のフィルターも搭載していない。考え方としては、空気清浄機のイオン発生機能だけを取り出したものと言っていい。そのため、空気清浄機よりも本体サイズがコンパクトで価格も安めになっている。室内のホコリを取り除きたいとか、花粉が気になるような場合は、イオン発生器ではなくて空気清浄機を選択するのが正解だ。

 イオン発生器は、空気清浄機を置くまでではないけど、ニオイが気になる場所――たとえば車の中やトイレ、玄関などにおすすめ。また、高額な空気清浄機を各部屋に置くことはできないけど、比較的手軽に購入できるイオン発生器を置く、という使い方も考えられるだろう。シャープではこれまで車載用や、室内用など様々なタイプのイオン発生器を展開しているが、IG-CM1は、その中でも最も小型で軽量、1人分のスペースのみをカバーする製品となっている。

ついているか分からないくらい音が小さい!

 まずは、1日のうちでもっとも過ごす時間が長い会社のデスクの上で使ってみた。コードを差し込んだらあとはスイッチを入れるだけ。

 スイッチを入れてまず驚いたのは、運転音が小さいということ。運転音は29dBで、動いているのを忘れてしまうくらい小さい。オフィスでこの手の個人用機器を使う時に一番気を使うのは、運転音と設置サイズだが、IG-CM1はどちらも合格点。隣の人に迷惑をかけるどころか、気付かれることもないんじゃないかというほど小さくて、気軽に使える。

会社のデスクに設置したところiPhoneと並べて置いたところ。設置面積はほとんど同じだデスクに置いてあっても違和感のないシンプルなデザインも良い

 本体の角度は25度と50度の2段階に設定できる。机の上に直接置くなら50度、棚の上などに置くなら25度と設置場所に合わせて調節できて便利だ。

角度50度にしたところ25度にしたところ設置場所に応じて角度を変えられる

 さて、1カ月以上使ってきたところで実際の効果のほどだが、まず効果を実感したのは、静電気が起きなくなったということ。実は、私「静電気女」なんです。空気が乾燥してくる季節になると、同僚に原稿を渡す時もバチッ、上着を着る時もバチッ、パソコンの電源を入れる時……と、静電気が起きない日はない。それがIG-CM1を使い始めてからは静電気の起きる頻度が本当に少なくなった! IG-CM1が置いてあるデスク周りで静電気が発生することはほぼない。静電気は、事象なのでほかの効果よりも分かりやすい結果が出たようだ。

 次にこれってもしかしてIG-CM1のお陰かな――と思ったのは、風邪をひかなかったということだ。もっと詳しくいうと、移されなかったということ。実は3週間ほど前、私の前の席に向かい合って座っている同僚が風邪を引いた。彼はフラフラになりながらも仕事をしていたのだが、次の日今度は彼の隣の席に座っている同僚が風邪を引いてしまったのだ。大きな声ではいえないが明らかに「風邪がうつってしまった」という状況。例年ならこの流れが私にも来て、最後には部内全員でグスグスズルズル言っているところだが、今年は別。最後まで風邪を引くことはなかった。

小さいから持ち歩きが苦にならない

旅館のテレビがたまたまシャープのアクオスだったので並べて置いてみた

 ちょうど家族と旅行に出かける機会があったので、IG-CM1を持って行くことにした。旅先で一番効果を感じたのは消臭効果。旅館に到着してすぐに温泉に入って、部屋に戻ってきたときに、室内のニオイがかなり気になった。おそらく部屋にこびりついたタバコや食事のニオイだと思うのだが、風呂上りだから余計に気になったのかもしれない。そこでIG-CM1を設置、電源を入れてそのまま今度は3~4時間ほど周辺観光に出かけた。

 帰って部屋のドアを開けてみると明らかにニオイが違う! 鼻に付く独特のニオイが少なくなっている。外から部屋に帰ってきた時と、お風呂から出たばかりの時ではニオイの感じ方が違うとは思うが、私だけでなく妹もニオイの違いを指摘していたので、一定以上の効果は確かにあると思う。IG-CM1は大きな部屋用の製品ではないので、本来は部屋全体のニオイに作用する機能はないのだが、密室状態の部屋で3時間以上運転させておいたからなのか、消臭効果をしっかり実感できた。

 最近では旅館やホテルでも空気清浄機をあらかじめ置いてあるところもあるが、まだまだ数は少ないのが現状だ。IG-CM1なら携帯電話やコンパクトデジタルカメラを持ち歩く感覚で、バッグにさっと入れて持って歩ける。夜寝る前はベッド脇に置いたりと、場所を選ばずに置けるのも良い。

旅先のホテルのベッドサイドに置いたところ新幹線にも手軽に持ち込むことができる

プラズマクラスターイオン発生ユニットは2年に一度交換する必要がある

 手入れについてもほとんど手がかからない。日常的な手入れとしては吸い込み口や内部のプラズマクラスターイオン発生ユニットに付着したホコリを取り除くだけだ。なお、プラズマクラスターイオン発生ユニットには寿命がある。1日24時間運転した場合で約2年となっている。交換用のユニットは別売りされており、価格は約3,000円前後(楽天市場)だ。

 空気中のウイルスとか、室内のニオイにあまり神経質になりすぎるのもどうかなと思うが、新幹線の中やオフィスなど人の出入りが激しい場所が風邪の感染源になりやすいというのもまた事実。

 特に重宝しているのが、単身での出張の時。プライベートならまだしも、仕事の旅行中に風邪をひいたらつらいのは自分だ。新幹線やビジネスホテルでさっと出して、つけて置くだけで手軽にウイルスを抑制できるのはやっぱり嬉しい。オフィスでの風邪予防の1つとして、出張や外出のお伴として、広くお勧めできる1台だ。





2010年11月11日 00:00