家電製品ミニレビュー

日立「ホットプレート HP-YS1」

~スチームトレーで蒸し物もOK
by 清水 理史
日立「ホットプレート HP-YS1」

スタミナもきれいに、さっぱりと

 たまには家で焼肉でも……そう思っても、我が家ではなかなかホットプレートを使って焼肉をする機会がない。

 一度やると2日ほどは部屋に立ちこめる脂と肉のニオイ、数回の拭き掃除を要求される床に飛び散った脂、手間がかかるホットプレートの焦げ取り、そして何よりも問題なもたれて重くなった胃。

 家族でワイワイ言いながら焼きながら食べる、その楽しさは格別なものの、食べた後の掃除や体調を考えると二の足を踏んでしまうことが多かったからだ。

 そこで、ニオイや脂が気にならず、後片付けが楽で、しかも胃にもやさしくと、ようするに「きれい」に「さっぱり」と焼肉ができないかといろいろ探してみたところ、目に付いたのが、この日立のホットプレート「HP-YS1」だ。

 穴あき焼き肉プレートでヘルシーな焼肉を楽しめるだけでなく、新開発のスチームトレーによる蒸し物が楽しめるホットプレートとなっている。


メーカー日立リビングサプライ
製品名ホットプレート HP-YS1
希望小売価格オープンプライス
購入場所ヨドバシカメラ
購入価格9,980円

側面平面プレート、穴あき焼き肉プレート、スチームプレートの3つのプレートが付属

穴あき焼き肉プレートでヘルシーに

 このHP-YS1、見た目は一般的なホットプレートだが、その特徴は2点ある。

 1つは焼き肉用のプレートが穴あきとなっていることだ。5~6年前に購入したホットプレートを使い続けていた筆者には新鮮だったのだが、今や穴あき焼き肉プレートは、ホットプレートの世界では半ば常識となっているようで、多くのメーカーの製品が穴あき焼き肉プレートを搭載している。

穴あき焼き肉プレートを装着したところ中央に穴が開いており、ここから余分な脂が下に落ちる穴から落ちた脂は本体底面にある「まる洗いトレー」に溜まる

 穴あき焼き肉プレートのメリットは、余分な脂を落としてヘルシーに焼き肉を楽しめることに加え、脂を落とすので周辺への脂はねを押さえ、さらに煙も押さえることができる点にある。まさに求めていたホットプレートにほかならない。

 というわけで、まずは焼肉にチャレンジしてみた。どれくらい火が通るのかを確認するためにちょっと厚めのステーキ肉を用意。さらに、平面プレートでは脂とタレが跳ねやすい味付け済みのカルビ肉も焼いてみた。

 ホットプレート本体には、落ちてきた脂を受け止めるためのまる洗いトレーが搭載されているので、まずはこれを引き出して水を入れておく。その後、穴あき焼き肉プレートを上にセットし、ダイヤルで温度を決めれば準備完了だ。

 焼肉プレートの穴は、中心部のみで全体のサイズから考えると少々焼きスペースが狭い印象だが、内部のヒーターをうまく避けるような形状となっており、落ちた脂が溜めた水にうまく落ちるように工夫されている。

 肉と野菜をのせて焼いてみたところ、確かに脂が周辺に飛ばないうえ、煙もほとんど気にならない。

 通常、下味が付いた肉を焼くと、普通は脂とタレが周辺に飛び散るうえ、たまに熱せられてはじけたゴマなども飛んできてあぶない。しかし、この穴あき焼き肉プレートの場合、そんな心配もないわけだ。

まずは底面のトレーに水を入れる。実際にはもう少し多く入れておく味付け済みの肉や厚めの肉を焼いてみた。味付け肉は脂やタレが跳ねることが多いのだが、ほとんど気にならずに焼けた

焼いているときの様子

 ニオイに関しては、確かにかなり押さえ込まれているのだが、当然のことながら完全に無臭というわけにはいかない。特に、たくさんの肉を焼いていると、表面にわずかながら脂やタレがこびりつき、そこから若干煙が上がってくる。焼きながらこまめにプレートを拭くとか、底面のまる洗いトレーに水を交換するなどの対策は必要かもしれないところだ。

 味に関しては、適度な脂感がちょうど良い。脂が多めの肉の場合、平面プレートで焼くと口の中に脂が残る印象があるのだが、こちらは適度に脂が落ちていて食べやすい。もちろん、肉の質にも依るのだろうが、なかなかさっぱりと食べられる。

 厚めのステーキ肉も、プレートの焦げ目がうまく付いてなかなかイイ感じだ。表面を適度に焼いた状態で切ってみたが、中もイイ感じに赤身が残っており、うまく焼けた印象だ。

 野菜は、最初は穴の部分で焼いていたのだが、これは周辺の平面部で焼いた方がうまく焼けるし、スペースも効率的に使える。なるほど穴あきというのは、家焼肉には良いことずくめのようだ。

厚めのステーキ肉もうまく焼けた野菜は周辺で焼くとスペースを有効に使える

やみつきになるスチーム料理

 HPYS1のもう1つの特徴は、スチームプレートが付属している点だ。このスチームプレートを利用することで、蒸し料理を手軽に楽しむことができるのだ。

 試しに、野菜と肉の蒸し料理を作ってみた。底面にいくつもの穴が開いた薄くて軽い材質のスチームプレートに、野菜炒め用などとして販売されている市販のカット野菜とエノキを敷き詰め、その上に薄切りの牛肉を乗せて準備しておく。

 続いて、ホットプレート本体に平面プレートをセットし、ここに水を入れておく。平面プレートは、焼きそばなどの炒め物やホットケーキなどを焼くためのものだが、比較的深い構造になっているため、たっぷりと水を入れることができる。

 この上に、先ほど準備したスチームプレートをセットし、透明のフタをしてスイッチを入れれば準備は完了だ。

スチームプレートに野菜をしきつめ肉を上にかぶせた平面プレートをセットし、水を入れる。水は野菜からの水分も出るので少なめでOK平面プレートの上にスチームプレートを置き、さらに透明のフタをして準備完了
しばらくすると水蒸気でフタが曇ってくる

 しばらくすると、平面プレートによって水が煮立ち、その水蒸気がスチームプレートの穴を通って、野菜や肉へと熱を伝え始める。水蒸気の立ち上る音をしばらく聞きながら、待っていると、ガラスのフタに水滴がつき始める。後は野菜の様子、肉の色などを見ながら、蒸し上がるのを待てば完成だ。

 フタを開けると、肉と野菜のエキスを吸った水蒸気が、閉じ込められた空間から一気に飛び出してきて、何とも食欲をそそる香りが立ちこめる。


蒸し上がりの様子

 比較的、サシの入った肉を使ったのだが、脂はかなり落ちている印象。それでいて、パサパサ感は無縁で、しっとりとイイ感じに蒸し上がっている。

 食べてみると、これは感動モノだ。やわらかく蒸し上がった肉はうまみをしっかりと蓄えており、肉の下で脂からうまみを吸収した野菜も、適度な歯ごたえを残しつつみずみずさを失っていない。

ポン酢でさっぱりと食べられる

 ポン酢をかけてさっぱりと頂けば、夏場で弱った胃に優しく、それでいてしっかりとスタミナを確保することができる。夏場の蒸し料理というのは、実はかなりオススメだ。

 この原稿の撮影のために、当日はスチームの蒸し料理と焼き肉を食べたのだが、あまりにもスチームの評判が家族で高かったので、翌日もまったく同じ料理を作って食べたほどだ。もっと野菜を入れてもいいし、魚介類を蒸してもおいしいので、これはぜひオススメしたいところだ。

 ただ、個人的には、野菜や肉をこんもりと積み上げたり、ジャガイモなどを丸ごと入れられるように、もう少しフタの高さがあるとうれしい印象だ。

後片付けも楽に

スチームの場合はほとんど汚れないため、さっと洗って片付けられる

 食べた後の後片付けだが、これもさほど手間はかからない。

 まずは、スチームプレートを使った場合だが、これはとても楽だ。基本的に脂分は水に吸収されているうえ、水蒸気のみで調理するため焦げなども一切ない。残っている水をこぼさないように慎重にプレートを台所まで運ぶのが大変なくらいで、あとはささっと洗えば後片付けは完了だ。

 一方、焼き肉の場合は、ちょっと手間がかかる。いくら穴あき焼き肉プレートと言っても、完全に脂が下に落ちるわけではないので、プレートには若干の焦げが残る。フッ素コーティングされているので、ちょっとこすればすぐにキレイになるのだが、穴あき特有の凹凸が背面にあるので、細かなブラシなどを使って掃除すると良いだろう。

 また、プレートから落ちてきた脂を受け止める「まる洗いトレー」だが、これは水がしっかりと張られていればお手入れの手間はかからないものの、水が足りなかったり、長時間使って水が蒸発してしまうとけっこうお手入れに手間がかかる。脂やタレなどがこびりついてしまった場合は、ゴシゴシとかなり力を入れて洗う必要がある。

 ただし、食べた後の部屋の掃除はかなり楽になる。前述したように脂などの飛び散りがかなり押さえられているので、家焼き肉の後によくあるようなテーブルや床などに独特のぬめり感があまり感じられない。

焦げ付きが残るのでしっかり洗う。ただし、フッ素コートしてあるのでさほど手間はかからない水が少なかったせいで、脂やタレなどを受け止めたプレートは若干汚れが目立つ。たっぷり水を入れておけば、お手入れはもっと楽だったはず通常、このような取っ手部分は脂がいっぱい飛んでいるのだが、本製品ではさほど目立たない。同様にテーブルや床なども汚れがあまり気にならなかった

 ニオイに関しては、しばらくの間、空気清浄機を全開で回しておけば、一晩で気にならないくらいにはなるだろう。

 このように、平面プレートのみのホットプレートと比べると、ヘルシーな料理を楽しめるうえ、スチームプレートによる蒸し料理を楽しめるのがHPYS1のメリットだ。蒸し料理に興味がある人に、ぜひおすすめしたい製品だ。





2009年9月1日 00:00