ぷーこの家電日記

第488回

夏休みの宿題は前倒し派? 先延ばし派?

少しずつ日が短くなってきて、秋っぽいなと思ったりもするけれど、秋っぽいのは日の長さくらいで、暑さは完全に真夏。9月になったけどまだまだ夏。いつまでこの暑さが続くんだろうか。

学校は2学期が始まったようだけれど、8月末に「子供の宿題が終わってない。終わるのだろうか」とヤキモキしている友人が結構いて、親も子も大変だなぁと思いながら、「分かる。分かるよぉ! 分かってても気づいたらギリギリになっちゃうよね」と物凄く共感できてしまう。

とはいえ、私が小学生の頃は夏休みの宿題を終わらせるのは凄く早かった。自由研究と日記以外は7月中に大体を終わらせてた感じ。計画的で凄いと自分でも思うのだけれど、子供の頃の私は、母親の手のひらの上でコロコロと転がされていただけだったのだ。

「夏休みも学校ごっこでーす」みたいな、毎日4時間授業みたいな感じで宿題などをやり、昼になると「キーンコーンカーンコーン! 給食の時間よー」とお昼ご飯を出してくれて、放課後タイムに遊ぶ感じで7月を過ごしていた。

せっかくの夏休みなのにと子供心に多少の不満はあったけれど、おかげで宿題が終わらなくてバタバタすることもハラハラすることもなく、8月31日に家族でバタバタするのはサザエさんなどテレビの世界だと思っていた。

宿題自体の学習もだけれど、その前倒し習慣自体を習得できていたらどれだけ良かったことか……。成長した私は、完全に先延ばし体質のギリギリ人間だ。

「育てたように子は育つ」と言うけれど、躾や教えなんかより、元から持っている素質の部分が非常に大きいと思う。同じように育てられた結果、兄はしっかり几帳面だし、私はいい加減な人間である。今の私に夏休みがあったら、8月末に泣きながら宿題をしているであろう(笑)。

学生時代の実験もレポートも、仕事の原稿の締め切りなども、とにかくいつもギリギリ。「やらなきゃいけない」という気持ちはあるし、やらなきゃと分かっていながらも、どうにもこうにも手をつけられないのだ。

いざ「今日はやるぞ!」と決めている日も「あぁ、やらなきゃなぁ」とぐだぐだ過ごし、「ダメだ。10時になったらシャキッとやるぞ」と決心しながらダラダラしていると時間は過ぎ、「午後からにしよう」「あぁ、14時を回ってしまった」「もう夕方?」と、何もしていないのに時間がどんどん過ぎて行く。そして何もしていない癖に「やらなきゃいけない!」という焦りと不安だけでグッタリと疲れてしまうのだ。

やる気スイッチなんてどこにも見つからないし、この分かっていてもテコでも動けない自分にいつも呆れる。「どうせ何もやらないのならば、最初から休むぞと決めて休養とっていた方が100倍良かった」と後悔するのだ。

この先延ばし癖をなんとか克服しようと何度も思ったけれど、ある時「ギリギリで間に合わせた経験は、成功体験として脳みそに残っていて、その快感を求めてまたギリギリでやろうとする」なんて話を聞いて、「こんなに辛いのに快感なのか!? 脳みそのバカ!」と少なからずショックだった。

でもちょっと分からなくもない。「ヤバいヤバい」と泣きそうになりながら最後の最後でガーッと集中して仕上がった瞬間に、まさに憑き物が落ちたように重たい気持ちが晴れ、「やったー! やり切ったぞー!」と清々しい気持ちになる。そして、「次回こそこの集中力を最初に発揮して、無駄に疲れて何もしない日を作らないぞ」と固く決心するのである。

霧が晴れて清々しいテンションの中での決心なんて、夜中に酔っ払いながら思いついた最高のアイデアくらいにあてにならないもので、気持ちだけではどうにもならないし、自分の脳が1番信頼できない(笑)。

若いうちは力技で、徹夜などで巻き返しができていたけれど、段々体力的にも苦しくなってきた。気持ちや癖を変えられないなら、やり方を変えるしかない。

「先延ばし癖を治したい」なんて事は考えても何も変わらないし、無駄にできなくて落ち込んでしまったりするので、むしろ「私は極度に先延ばし癖がある」と認めるところからスタートである。

認めた上でまずは作業を細分化する。「PCの電源を入れる」とかそんな小さな作業。それだけで進捗は0から0.1くらいには進むのだ。やったかやらなかったかのゼロイチだったら、手をつけられないまま出来ずに終わることも、細分化することで手をつけるハードルは低くなるし、「今日はいくつできた」と、できたという小さな成功体験を持てる。

静止摩擦より動摩擦の方が軽いように、動き出したらエンジンがかかってきて一気に進んだりもする。仕事じゃなくてもただの休日も。ゴロゴロして1日終わることも多かったけれど、「とりあえず着替える」なんて第1目標を設定すると、あとは気持ちが軽くなって外に出かける機会も増えた。

もちろんいまだに先延ばし癖も面倒くさがりも治ってないし、いつもギリギリで何事も動いているような気はするけれど、少しずつ「ヤバいヤバい」とただ焦って疲れる時間は半減した。このまま少しずつ計画的に物事を進められるようになったらいいなぁなんて思いながら、ギリギリにこれを書いているのでありました(笑)。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。