ぷーこの家電日記

第301回

台風時の反省と対策(後編)

 台風19号から約2週間。幸いにも大きな被害がなかった我が家にとって、既にちょっと前の出来事みたいに感じてしまっている。個人的風化の早さに愕然とすると共に、それが1番の反省点だなと、今思っている。

 極度の緊張の後の安心は、気持ちのジェットコースターぶりが凄くて、私のような大事にならずに済んだ人間に残るのは猛烈な安心感。これが生存者バイアスの強化に繋がるんじゃないかという危機感がある。

 自戒と反省を込めつつ、先週の「ぷーこの家電日記300回! その前に台風時の反省と対策を(前編)」の続きです。

 前回書いた通りに、我が家は海抜0m地点の地域のマンションの1階に住んでいる。台風上陸の前日、前もって紙系の書類は職場の引き出しなど、水の被害を受けなさそうな場所に避難させ、普段備えている防災用品に加えて、少し物を買い足して、できる限りの準備はしていたつもりではあった。後はもう都度都度の対応をしていくしかないかなと、割り切ったというか、自分に言い聞かせていた。

 台風上陸当日は朝から、NHKの放送を流しながら普通に過ごしていたけれど、テレビから流れてくる映像をひたすら浴びていると、とにかく鬱々として恐怖心が強まってくる。

 そこで感じたのは「正確に怖がること」の難しさだ。事前にできる準備はして、早目に判断して、的確に行動する。大事なことだけれど、怖い情報をずっと浴びていると、ただひたすら怖くなってくるものだ。「映画でも見るかー!」などと気を紛らわせようとしたけど、大事な情報を逃しちゃ怖いから、チャネルは切り替えられなくて、その情報から離れられない。

 落ち着いてみえてた夫も、クローゼットの中をひっくり返す勢いで袋に詰め始めた。冬物のアウターも何枚も、枕とかまで「持てないでしょ!?」って程に何袋も詰め込んでて、「ちょっ、ちょっとストーーップ! 何日前提で詰めてる?」と聞いたらまず前提がない。

 「共同の場所で持っていける物は限られているし、何日過ごすか仮でも設定して、そこからちょっと余裕を持って位にしないと、何をどれだけ準備しても不安は治まらないしキリがないよ!」と言って、少し荷物を減らしてもらった。ビックリしたけれど、夫のアラートもかなり真っ赤っ赤だったんだなと初めて知った。

 そんな感じで、ソワソワバタバタしながら、我が家が最初にちょっとホッとしたのは満潮時間が過ぎた時。「何とか乗り越えられるかも?」と初めて期待した。それでも各所で川の決壊などの情報が入ってきて、我が家も結構混乱。川ってとっても長いので「遠いのか近いのかも分からなかった」というのが速報に対する率直の感想で、判断がとても難しかったように感じる。

 そして、幸いにも大きな被害は無かった我が家だけれど、残った1番の課題は猫だった。私たちがピリピリしているのと、外がザワザワしている事で、ただでさえ臆病でビビリの猫達が想像以上に神経質になって警戒している。リラックスさせようと大好きなオヤツを出しても寄り付きもしない始末。それは想定以上で、もし避難したとすると、ストレスが凄くてかなりヤバいだろうなと、今回の1番の課題として残った。

 トイレ問題もあるし、動物同伴の避難計画はもっと練り直す必要がある事は分かったけれど、具体的な最善策は全くみいだせていないのが現状。小さなテントが1つあると、猫達にも周りにも仕切りができて良いかもねと、ひとまずテントでも買って備えておくことにしたけれど、何日も生活するのにはどうしたら良いのか、もっと調べて備えて行かなきゃと思っている。

 私個人の備えとして足りなかったなと思ったのはゴーグル。下水を含んだ泥や土を吸い込んだら、免疫低く気管支も弱い自覚がある私は、アレルギーが大変なことになると思って、マスクはかなり用意していたけれど、目のことは完全に忘れていた。慢性化した左目の結膜炎と、こちらも慢性化しているんじゃないかって感じの右目の強膜炎、そんな弱い目を守ることを考えていなかった。

 長時間付けていても痛くなく、目を守ってくれるゴーグルってないかなと思っていたら、今年の5月に公式戦でも使用が認められたラグビー用のゴーグルがあると聞いて、俄然気になっている。もちろん私はラグビーはしないので、ラグビー用で無くても良いけれど、眼鏡並みに着けておけて、不自由なく動けるゴーグルは備えておきたいなと思った。

 そして、前日までの準備で役立ちそうだなと思ったのが、調理家電のフードシーラー。食材の空気を抜いて真空パックを作ってくれる物だけれど、タオルなど空気を抜いて荷物をコンパクトにしてくれるだけでなく、水分を含んだ食材も溢れないようにパッキングしてくるので、逆に使う時まで水に濡れずに綺麗な状態を保てるんじゃ無いかなと思った。専用袋を必要とせず、少し大きめな袋もリーリングできる物を通常の料理用と兼ねて買いたい。

 とりあえず今回の事から学べて、今自分に出来ることは、備えの強化だ。そして、人のために私が出来ることと言えば募金位かな。「自助・互助・共助・公助」という4つの助。私が参画できる「自助」と「互助」については強化していきたいし、「共助」「公助」については、もっと理解を深めるべく勉強しなきゃと思うと共に、いつ何が起きてもおかしくないと言うことをもっと自覚しながら、毎日を過ごしていこうと思っているのであります。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まない30代後半。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。