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[二十四節気21]降る雪が雨に変わり、雪解け水が流れ始める「雨水」
2018年 2月 18日 06:30
1年間を24の季節に分けた「二十四節気」で、「立春」の次は春の訪れを実感し始める「雨水(うすい)」です。今回は、雨水がどんな時季か、また雨水の終わりごろに迎えるひな祭りのトリビアについてご紹介します。この時季、女の子がいるご家庭ではひな人形を飾ったところも多いですが、まだ出していない人は雨水の日に飾ると良いそうですよ。
雪が雨へ変わり、解けた山の雪で春の訪れを感じる「雨水」
「雨水」という言葉には、降り続いていた雪がだんだん春の雨へと変わり、積もっていた雪も解けて水となり、大地を潤し始めるという意味が込められています。1787年の「暦便覧」には「陽気地上に発し、雪氷とけて雨水となればなり」と書かれ、肌に感じる空気もだいぶ暖かく感じるようになる時季です。立春から春分までの間に吹く南寄りの風「春一番」が観測されるのもこのころで、野山にはうぐいすの鳴き声が聞こえ、草木が芽吹き始めます。2018年の雨水は2月19日から始まり、次にやってくる節気「啓蟄(けいちつ)」の前日3月4日まで続きます。
雨水は土の神様の怒りを避け、農耕の準備を始める目安
昔から農家では、雨水の時季が農耕を始める目安とされてきました。山の雪解け水が田畑の土を潤すという理由のほかに、土いじりを避ける「土用」が明けた時季として農作業を始める地域もあるようです。土用といえば夏のイメージがありますが、本来は季節の変わり目に年4回あり、立春、立夏、立秋、立冬の直前18日間を言います。土用の期間は、土に潜っている土の神様「土公神(どこうじん・どくしん)」を怒らせないように、土木工事や農業、園芸など「土をいじり」を避ける習わしがあります。土公神が土から出て別の場所へ移り、冬の土用が明ける立春以降に、田畑へ仕事に出掛けていたのです。
雨水の日にひな人形を飾ると、良縁に恵まれる
雨水の終わりごろには、女の子の健やかな成長を願う「ひな祭り」があります。ひな祭りに欠かせないひな人形を飾る日は、新しい春を迎えて縁起の良い「立春」の日、何をするにも良いとされる六曜の「大安」の日、そして「雨水」の日が良いのだそう。古くから、水は生命力を蘇らせる力をもつと考えられ、地方によっては、日本神話に登場する「ミヅハノメ」という水の女神を子授けや安産の神として信仰しているところもあるそうです。そこから転じて、雪が水となって流れ出す「雨水」の日にひな人形を飾ると、良縁に恵まれると言われています。
赤、白、緑、「菱餅」の3色に込められた意味
ひな人形へお供えする「菱餅」の色は、地域差もあるようですが、ほとんどが赤、白、緑の3色を重ねています。それぞれの色には意味があり、赤い餅は厄除けと長寿をもたらすという「桃」の花を、白い餅は清らかさの象徴である残雪を、緑の餅は健やかな成長を願って萌える若草を表しています。菱餅の3色には、白く清らかな雪が積もる大地には若草が芽吹き、木には桃の花が咲き始めるという、春の情景のなかに子どもの成長と健康を願う気持ちが込められているのです。
次は「啓蟄」、暖かさが増して生きものが動き始める時季
雨水の次は、春の日差しに暖かさを感じるようになり、大地も徐々に温まって冬眠していた生き物たちが活動を始める「啓蟄(けいちつ)」という節気に入ります。次回は「啓蟄」の由来や、この時期に始まる春のお彼岸に関する習わしについてご紹介します。お楽しみに!
【お詫びと訂正】記事初出時、2018年の雨水を「2月18日から」と記載しておりましたが、正しくは「2月19日から」でした。お詫びして訂正いたします。(2018年2月19日10時00分)