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【ダウン症児と私36】年少クラスでできたこと、年中クラスでの目標

ユキトくんが3歳4カ月から通い始めた福祉幼稚園への通園が1年経過しました。今回は、ユキトくんが年少クラスに1年間通って「できるようになったこと」を振り返り、年中さんでの目標を伺いました。

食べられなくて苦労した食事にも変化が

Q.最初に通った福祉幼稚園では、給食が食べられなかったために、幼稚園を変わる結果となりましたが、新しい福祉幼稚園に1年通ってどのように変わりましたか?

A.入園したころは、柔らかい給食やおかゆも食べられず、口に手を突っ込んで中の物を出してしまう状態が続きました。また、家では1歳半違いの弟が焼きもちを焼いて、ユキトの食事やミルクの邪魔をするので、ユキトは毎日泣いていました。幼稚園でも家でも、本当に食事が大変で、私もすごく悩んでいました。そこで、病院の「もぐもぐ外来」で詳しく調べてもらったところ、口の中が過敏なのではないかと言われ、落ち着いて食べられる環境作りと食感を工夫するアドバイスをいただきました。

これを受けて幼稚園の先生は、柔らかい給食をさらに1種類ずつ、すりこぎとすり鉢ですりつぶしてくださり、とろみも掛けて食感と味付けを工夫してくださいました。数カ月かけて少しずつすり潰した食事を食べられるようになり、10月を過ぎるとすりつぶさなくても食べられるようになりました。以前は食事のときに椅子から勝手に降りたり、テーブルの上に乗ってしまうこともありましたが、食べられるようになったのと同じくらいから、自分からきちんと椅子に座れるようになり、少し待つこともできるようになりました。

 

思わずナナさんがビックリ、初めてのおまる体験

Q.トイレトレーニングはどのくらいまで進みましたか?

A.ユキトは、この幼稚園に通うまで、まだおまるを使えていませんでした。そして夏ごろから、教室におまるを置いて座る練習を始めました。最初は座るのを嫌がりましたがママと一緒に数を数えるようにして、だんだん座る時間を長くしていきました。9月には30秒くらい座すわっていられるようになり、年少の終わりの2月には、初めておまるに座っておしっこが出ました。すぐに褒めてあげないといけなかったのに、私はびっくりして、つい大きな声を出してしまい、褒めてあげられませんでした。本当に嬉しかったんです。次回は、成功体験を、本人にきちんと伝えてあげられるように、頑張ろうと思いました。

 

療育プログラムでは、イヤイヤ期を乗り越える

Q.入園してから、急にイヤイヤ期が始まり、それまで楽しそうに過ごしていた療育プログラムで、逃げたり泣いたりするようになってしまいましたが、その後、反応の変化はいつごろあったのですか?

A.ボールプールや紙吹雪での遊びなど、以前ニコニコしていた遊びで逃げるようになり、さらには絵の具やスライムなどの感触遊びのとき、オエッと嘔吐反応をするようになってしまいました。食事が食べられていない時期と重なっていたので、すごく辛い時期でしたが、本人は感触遊びが好きなようでオエッとしながらも、繰り返し触って遊んでいました。

幼稚園の先生には「嘔吐反応は、苦手なものを判断できるようになった成長の証し」だから、悪いことばかりではないと言っていただきました。そんな反応が出たときは、抱っこなどで安心させながら一旦遊びと距離をとり、徐々に慣らしていくようにしました。慣れてきて怖いことじゃないと分かると、年少の後半はニコニコと楽しめるようになり、参加できるプログラムが増えていきました。

 

腕や脚の筋力が付いて、しっかり伝え歩きができるように

Q.ひとり歩きがまだできないユキトくんですが、体力的には変化がありましたか?

A.ユキトも4歳の誕生日を迎えるころになると、徐々に筋力も付いてきて、伝い歩きがしっかりできるようになりました。3、4歩くらい1人で歩いては転ぶというのを繰り返していますが、頑張っています。滑り台ではそれまで、頭からうつ伏せで滑っていましたが、途中から自分で座り直してきちんとお尻から滑れるようになりました。また滑り台の下から、スライダーを登ろうと頑張っています。

 

年中さんになったら、歩けるようになりたい

Q.ユキトくんが年少さんの秋ごろに、小学校を見学したり、年中で歩ける子のコースに入れないかを確認されていましたが、今後の目標はありますか?

A.秋から文化祭、クリスマス、先輩の子どもたちの卒業式と、たくさんの行事を経験し、ユキトは歩けない子の年中コースへ進級しました。歩ける子のコースへ早く進級して、ゆくゆくは歩ける子が通う小学校へ入学させたいと思っていますが、背伸びをせずユキトの成長に合ったコースへ進級させた方がいいのではないかという思いもあり、複雑な気持ちです。

今でも、もし歩くようになったら、もしきちんと先生の絵本や紙芝居が見られるようになったら、もし友だちとうまくコミュニケーションできるようになったら、もし模倣ができるようになったら、年中の途中からでも歩ける子のコースに行かせたいと、先生にもお願いています。

 

ダウン症の基礎知識36:できるようになったことに目を向ける

今回ナナさんには、ユキトくんが年少さん時代にできるようになったことを振り返っていただきました。ダウン症児と一言で言っても、子どもたちの成長スピードは、それぞれ違います。1つ1つゆっくりと時間を掛けて、身に付けていく必要があるものが多いのですが、時間が掛かるぶん、見ている大人の気持ちに余裕がなくなってしまうことも。

ナナさんも、ユキトくんの食事が大変だった時期と、急に始まったイヤイヤ期が重なったことで、精神的にとても辛い時期を過ごしたことが分かります。それでも1年を振り返ってみると、できるようになったこともたくさんあることが分かりました。やらなければならないことや、出来ないことばかりを気にして疲れてしまったときは、できるようになったことに目を向けて、子どもたちの成長を感じてみましょう。ママの心にも余裕が生まれるはずですよ。

 

 

ナナ

5歳のダウン症の息子「ユキト」と、3歳半の弟「マサト」のママの「ナナ」と申します。ダウン症の子どもを育てている様子や、母親の気持ちなどを率直にお話ししたいと思います。