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【二十四節気9】暑さが和らぎ、秋の七草が見ごろを迎える「処暑」

1年間を24の季節に分けた「二十四節気」で、「立秋」の次は暑さが和らいで過ごしやすい「処暑(しょしょ)」です。今回は「秋の七草」と、このころ増える台風や集中豪雨に備える「食」について紹介します。「処暑」を迎えると「秋の七草」に入っている「萩の花」や「ススキ」が目で秋を感じさせてくれるようになりますが、「秋の七草」は「春の七草」に比べてすべて覚えている人は少ないのではないでしょうか。今回はそちらもご紹介していきます。

 

秋が近づく「処暑」、2018年は8月23日から

「処暑」は、夏の暑さがようやく収まり、朝夕には涼しさを感じられる時季で、「暦便覧」(1787年)には「陽気とどまりて、初めて退きやまむとすれば也」と説明されています。田んぼの稲には花が咲き、空に赤とんぼが飛び始めると、いよいよ秋らしくなってきます。2018年の「処暑」は8月23日から9月7日まで続き、この期間には、「立春」から数えて210日目の雑節「二百十日(にひゃくとおか)」もあります。2018年の「二百十日」は、9月1日で、この日は台風の襲来が多いとも言われています。

 

目で楽しむ「秋の七草」は、生薬としても活用

「秋の七草」は、奈良時代に歌人の山上憶良が詠んだ「萩の花 尾花葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴朝顔の花」の句のとおりです。萩の花は「処暑」に見ごろを迎えますね。またこの句に詠まれている「尾花」はススキのことで、朝顔は今のキキョウだとされています。「春の七草」のように粥にして食べることはありませんが、目で見て楽しむ「秋の七草」にも、食べたり生薬に使われるものがあります。葛粉はお菓子の材料として使われますし、キキョウの根は韓国料理では「トラジ」と呼ばれるポピュラーな食材です。風邪薬の原料としても使われる「葛根(かっこん)」も葛から作られていますね。また、キキョウの根は咳止めに、ハギの根は女性特有のめまいやのぼせに、ナデシコはむくみに、フジバカマは皮膚のかゆみに効果的とされています。

 

2018年9月1日は雑節「二百十日」と「防災の日」

日本の生活から生まれた暦日を「雑節」と言い、節分・彼岸・八十八夜などがよく知られています。「処暑」の期間には「立春」から数えて210日目の「二百十日(にひゃくとおか)」という雑節があります。長い歴史のなかで培われてきた暮らしの知恵がベースとなった「雑節」は、農作業と関連していることが多く「二百十日」は稲の花が咲く時期とされています。また、この時季は台風の襲来が多く、かつての農家は稲作への被害を警戒するためにも「二百十日」を厄日としていたそうです。1985年から2020年までの「二百十日」は、うるう年以外では、関東大震災(1923年)にちなんだ「防災の日」と同じ9月1日です。また、うるう年の「二百十日」は、8月31日になります。

 

非常食を日常の食生活へ取り込む「ローリングストック法」

東日本大震災が発生してから、地震への備えを春先の3月に意識する人も多くなったようですが、「二百十日」をきっかけに台風や集中豪雨への備えも兼ねて、防災用品の点検をしておきましょう。非常食や水の消費期限のチェックとともに、日ごろの買い物は食料備蓄を意識した「ローリングストック法」を取り入れるといいですよ。「ローリングストック法」とは、少し多めに食材や加工食品を買い、常に一定量を確保しながら、使った分だけ新しく補充する備蓄法です。いざというときも普段の食生活に近づけられるのが特徴です。特に子どもが小さいうちは、粉ミルク・携帯できる離乳食・子どもの好きなお菓子を切らさないようにすると安心ですね。

 

「処暑」の次は、草木に露結ぶ「白露」

「処暑」を過ぎると次の節気は、「白露(はくろ)」です。このころには、日中も秋らしさが感じられるようになり、早朝は草木に露を結ぶ時季とされています。夏の疲れと天候の変化で体調を崩しやすいこの時季、おすすめの旬の野菜や魚と、五節句の1つで「菊の節句」とも呼ばれる「重陽(ちょうよう)の節句」の風習について紹介します。お楽しみに!

 

 

 

高橋尚美

愛知県の渥美半島生まれ。東京での会社員生活から結婚出産を経て、2009年に夫の実家がある岐阜市へ。几帳面な戌年の長女、自由奔放な子年の次女、愛嬌いっぱいの辰年の三女を育てる母ライフを満喫しつつ、qufourのリサーチ記事や地元で発行している食育冊子の記事を執筆しています。