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【二十四節気8】厳しい暑さのなかにも、秋の訪れを感じ始める「立秋」

1年間を24の季節に分けた「二十四節気」で、「大暑(たいしょ)」の次は、秋の始まり「立秋(りっしゅう)」です。今回は、「立秋」とこの時期に重なる「お盆」の習わし、「山の日」についてご紹介します。「立秋」は秋の気配が少しずつ感じられるころと言われていますが、厳しい暑さはまだまだ続きます。また2016年に施行された「山の日」が8月11日なのは、思わず「なるほど!」と納得してしまう事情がありました。

 

「立秋」以降は、「暑中見舞い」が「残暑見舞い」に

「立秋」は、北半球で1年のうち最も日が長い「夏至」と、昼夜の時間が一緒になる「秋分」の中間の日です。このころになると、入道雲に代わって、「うろこ雲」や「いわし雲」などの秋らしい雲が現れるようになります。2018年の「立秋」は8月7日で、8月23日まで続きます。夏の厳しい暑さのなか友人や知人の健康を見舞う「暑中見舞い」は、「立秋」を過ぎたら「残暑見舞い」に切り替えて、なかなか終わらない暑さを見舞います。

 

暦の上では秋ですが……暑さで疲れた体には「暑気払い」

とはいえ、まだまだ厳しい暑さが続き、体に熱気がこもったり、疲れやだるさを感じやすい時期です。「暑さをうち払う」ため、日本には昔から「暑気払い」という風習があります。扇風機もエアコンもなかった時代に、人々はそうめんやスイカ、かき氷などの冷たい食べ物で体温を下げたり、川や海、薬湯へ入って暑さをしのぐ工夫をしていました。今では、枝豆をつまみながらキンキンに冷えた生ビールで「乾杯!」するのが「暑気払い」のイメージですね。ビールに使われている「ホップ」は、古くからヨーロッパで親しまれてきたハーブで食欲増進や消化促進の効果もあると言われています。ビールと一緒に食事をすることは、「暑気払い」の理にかなっていると言えますね。

 

お盆行事、地域ごとに異なる風習ややり方

祖先の霊をまつる「お盆」の行事といえば「墓参り」「迎え火」「送り火」が代表的ですが、ほかにも、キュウリを馬に、ナスを牛に見立てた「精霊馬(しょうりょうま)」を仏壇へ供える地域や、道端に倒れた人の霊を慰めるために「餓鬼棚(がきだな)」と呼ばれる棚を作る地域など、地域によっていろいろなお盆の風習や、やり方があるようです。また「盆と正月が一緒に来た」といった慣用句もあるように、商売繁盛を期待できる行楽シーズンでもあります。現代では、仏教行事から離れ「お盆休み」という風習として日本文化に根付いているとも言えますね。

 

8月11日に「山の日」が制定された事情

「山の日」が2016年に施行にされ、8月11日は祝日となりました。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」という祝日ですが、実は8月11日は、山に関係する特別な事柄はないのだそう。「山の日」は、日本山岳会などの働きかけで検討が始まり、候補日としては6月上旬、海の日の翌日、お盆前などが挙がりましたが、「8月11日ならお盆休みと連続させやすく、帰省や長期旅行がしやすくなるのでは?」という意見で、この日が採用されたそう。それまで、8月13~15日をお盆休みにする企業が多かったところ、8月11日が「山の日」になったことで12日を加えた長期休暇を実施する会社もあるようです。お盆休みに故郷へ帰省したり、旅行へ出掛けたりしやすくなるのは嬉しいですね。

 

「立秋」の次は、暑さがようやく和らぐ「処暑」

「立秋」が終わると、次の節気は暑さが和らぐ「処暑(しょしょ)」です。ようやく暑さも峠を越して、朝夕は涼しい風を感じられるようになり、「秋の七草」の1つである萩の花が見ごろになったり、穀物が実り始めます。山では朝露が降りて秋の気配を感じる時季です。また台風の襲来が多くなり、各地で暴風雨の被害や河川のはん濫などの2次災害への備えが必要なシーズンに入ります。次回は、この期間に含まれる9月1日の「防災の日」にもちなんだ、「防災食」にまつわるお話をご紹介します。お楽しみに!

 

【お詫びと訂正】記事初出時、「『山の日』は2016年に制定」という内容が2箇所ありましたが、正しくは「『山の日』は2016年に施行」の誤りです。お詫びして訂正いたします。

 

 

高橋尚美

愛知県の渥美半島生まれ。東京での会社員生活から結婚出産を経て、2009年に夫の実家がある岐阜市へ。几帳面な戌年の長女、自由奔放な子年の次女、愛嬌いっぱいの辰年の三女を育てる母ライフを満喫しつつ、qufourのリサーチ記事や地元で発行している食育冊子の記事を執筆しています。