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【ダウン症児と私33】年中で通わせたい「歩ける子のコース」を見学
2017年 8月 2日 11:30
もう少しで歩けそうなユキトくんの将来を考え、できるかぎりよい環境で育てたいと思っているナナさん。今回は、歩けるようになったら通わせたいと思っている「歩ける子のコース」を見学したときのお話です。小学校への進学までに、ユキトくんに徒歩通学させたいと目標を定め、いろいろ悩むナナさんです。
幼稚園には、発達に応じた3つのコースが
Q.歩ける子のコースへ通わせたいというお話ですが、幼稚園のコース分けはどのようになっているのですか?
A.通っている福祉の幼稚園には、歩けない子のコース(週2回、母子通園)、歩ける子のコース(週2回、母子通園)、子どもだけで通える単独コース(週5回、歩ける子のみ)の3種類のコースがあります。
Q.歩けるようになったら、年中の途中からでも歩けない子のコースから、歩ける子のコースへ変更して欲しいとお願いしたとのことですが、コース変更をしたいと思った理由を教えてください。
A.小学生になると、月曜日から金曜日まで毎日歩いて通学することになるので、その分の体力を付けておきたいと思いました。その前段階として、年長の1年間は単独コースへ週5日間通わせたかったのです。そして年長で単独コースに通わせるには、歩ける子たちができることをユキトへ年中のうちに挑戦させ、一緒に遊べるようにならないといけません。そんな思いから、まず母子通園の歩ける子のコースを見学させてもらいました。
歩ける子と歩けない子のコースの違い
Q.歩ける子と歩けない子のコースは、どんなところが違いましたか?
A.歩ける子は、立って遊ぶことができるので、朝の自由遊びも走って追いかけっこをしたり、体全体を使って遊びます。朝の会で使うイスも、歩ける子のコースでは自分で取りに行きますが、歩けない子のコースでは先生が持ってきてくれるといった違いがあります。単純に、歩ける、歩けないだけの違いだけでなく、活動全体のスピードも早く、内容も濃いものになっていました。
Q.内容が濃いとうのはどういうことですか?
A.例えば「小麦粉粘土」のプログラムは、歩けない子のコースでは小麦粉に水を加えて粘土にして遊びますが、歩ける子のコースでは、おもちゃのナイフで粘土を切ったり、丸めたり、形を作ったり、どんどん遊びを発展させていくのです。また名前を呼ばれると「ハイ」としっかりといいお返事ができ、会話のできるお友だちもいます。紙芝居、絵本なども少し内容が難しくなっていました。その活動内容を見て、やはりユキトが歩けるようになったら、すぐにでも歩ける子のコースへ移して、いろいろ体験させてあげたいと思いました。
「歩ける子のコース」の子との違いは、体力
Q.見学してみて、どんなことが必要だと思いましたか?
A. 「歩ける子のコース」を見学した日はお散歩があり、幼稚園を1周したあと公園へ行きました。ユキトは、私が両手を支えて引っ張りながら付いて行きましたが、時間が掛かってしまい、付いて行くだけで精一杯でした。1番最初に出発したのに、到着したのは1番最後で、公園へ着いときには、私もユキトもヘトヘトでした。そんななかでも、公園に着いたほかの子たちは、三輪車に乗って元気に動き回っていました。ユキトも頑張って体力を付けていこうと思いました。
見学後は、先生からアドバイスと課題
Q.見学後、先生からはどんなアドバイスがありましたか?
A.先生からは、歩ける子のコースは、食事を1人で食べたり、食器の片付けを自分でできるというように、身の回りのことを自分でさせるようにしているので、歩けるだけで移れるわけではないと言われました。そのうえで、ユキトの現在の発達状況と、これからの課題を教えてしたさいました。
ユキトは、コミュニケーション能力の発達に遅れがあり、ママをしっかり認識していなかったり、絵本や紙芝居などにも集中できない傾向があります。模倣もまだあまりできません。そこで先生からは、まずママとのスキンシップで関係を深めること、ママがまずユキトのまね(模倣)をすること、ユキトが「アー」と言ったら「なあに?」と声に出して応えることなどをアドバイスされました。そのほか、ユキトが喜ぶような遊びは、1回終ったら「もう1回」とおねだりさせるようにしてコミュニケーションを深めたり、トイレや着替えなど自分の身の回りのことを練習し始めるといった課題をいただきました。歩ける子のコースへ4月から通うのは難しいですが、先生に教えていただいた課題を頑張っていこうと思いました。
ダウン症の基礎知識33:コミュニケーション能力の発達を促す
今回、先生からはコミュニケーション能力の発達を促すためのアドバイスがありました。言葉がしゃべれなくても、相手が応えてくれる喜びや楽しさを感じられれば、周囲への認識が深まり、言葉を話そうとする意欲が出てきます。お母さんは、子どもの行動に対して模倣をすることで、見ていることを知らせながら、「○○したいの?」「もう一回する?」「ちょうだい」「ありがとう」などと積極的に語りかけ、子どもの頭の中へ言葉の仕組みを作っていくことが、次のステップへの一歩になりそうです。