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【ダウン症児と私26】新しい幼稚園で、ユキトくんもナナさんも楽しく!

新しい幼稚園では、入園式で自らつかまり立ちを始めるなど、お友だちからの刺激に良い反応を示しているユキトくん。今回は、新しい幼稚園での療育の内容とユキトくんの様子をうかがいました。新しい幼稚園でユキトくんが通うのは、まだ歩けない子のコースです。子どもの人数が少ないため、先生はお母さんへアドバイスもしてくれ、ナナさんも育児が楽しくなってきたと言います。

 

滑り台を頭から滑るユキトくん、心配はいらない!?

Q.歩けない子のコースでは、どのように体を動かすカリキュラムを行なうのですか?

A.2歳のときに通っていた幼稚園はユキト以外の子は歩けていましたが、新しい幼稚園は歩けない子のコースなので、体操はみんな座って行ないます。歩けない子ばかりなので、幼稚園での活動はゆっくりのんびりです。

 

Q.入学式でのユキトくんは、お友だちの刺激を受けてつかまり立ちをしていましたが、その後、好きな運動がありましたか?

A.1人でつかまり立ちできるようになったユキト、は滑り台が大好きでした。階段を1人で登り、頭からうつ伏せの状態で全身を使って滑り降りてきます。以前の幼稚園では、歩ける子たちはみんな、座った姿勢で滑っていたので、1人だけ頭から滑ってくるユキトが心配でした。でも新しい幼稚園の先生が「ユキトくんはまだ発達段階だから、全身を感じながら滑るのが楽しい時期なのよ。そのうち体勢を変えて座って滑るようになりますよ」と教えてくれて、ほっとしました。

 

午後まで活動が増えて、疲れたユキトくんにハプニングが!

Q.以前の幼稚園よりもプログラムが増え、午前中に加え午後も活動するようになって、苦労はありましたか?

A.ある日の午前中、お散歩のプログラムで公園へ行きました。ベビーカーに乗って公園へ行き、つかまり立ちで遊んでからベビーカーで帰ってくるのですが、ユキトは途中で寝てしまいました。以前の幼稚園だったらそのまま寝かせておくのですが、新しい幼稚園ではそのあと給食を食べ、午後も活動があります。食事が苦手なユキトには、給食こそが一番の訓練です。そのため先生は、教室に戻っても寝ているユキトを一生懸命起こしてくれました。でも疲れていたユキトは大泣きしてしまい、結局、給食を食べられません。その後、また疲れて寝てしまい、午後の活動もほとんど参加できませんでした。

 

臨機応変な先生に感謝!ナナさんの育児にもやる気が

Q.ナナさんは、そのときどうしましたか?

A.私はまず、先生に「1度寝たら2時間は起きません」と伝えました。私のなかでは、起こしちゃってかわいそうという思いと、給食の訓練は大切なので時間通りに起こして食事をさせるのも仕方ないという思いが、交互に頭に浮かんでいました。

 

Q.その後、幼稚園の先生はどうされましたか?

A.歩けないコースの定員は12人ですが、その年の4月は4人でのスタートだったのも、幸いしました。子どもの人数が少ないこともあり、先生は可能な限り個別の対応もして下さいました。今回の件で先生は、午前中にお散歩で疲れて寝てしまうとユキトが給食を食べられないことが分かったので、お散歩時間を午後に変更してくれました。活動内容を園児に合わせてくれたのです。

前回はテーブル付きのイスから豆イスに座れるようになり、今回は子どもに合わせて活動スケジュールを変更してくれました。滑り台やマット運動、階段などのサーキットでは発達段階を詳しく見て、これからの成長を促すためのアドバイスもくれるので、1人1人丁寧に寄り添った療育をして下さっていることを感じました。まだ食事や水分補給は苦労していますが、我が子の成長発達段階を詳しく教えていただくことで、スモールステップの目標を具体的にもてるようになり、私にも育児のやる気が出てきました。

 

ダウン症の基礎知識26:「楽しい」をしている子どもを見守る

入園式の日に、2時間もつかまり立ちをしてナナさんを驚かせたユキトくん。子どもは、楽しいこと、好きなことに夢中になっているときに、それまでできなかったことができるようになっていくのです。滑り台で遊ぶユキトくんも、今は座って滑っていませんが、繰り返し楽しんでいるうちに、次の段階へステップアップする瞬間が必ず訪れます。成長を見守るお母さんは、周りの子どもとの違いや発達速度に気を取られがちですが、子どもは1人1人違うもの。その子が新しいステップに進む瞬間を、じっくり待ってあげましょう。成長に不安があるときは、先生や療法士さんに質問してもいいと思います。ユキトくんも、豆イスに座れるようなりました。ナナさんのように、スモールステップで目標をもちながら、育児へのやる気を継続できるといいですね。

 

 

ナナ

5歳のダウン症の息子「ユキト」と、3歳半の弟「マサト」のママの「ナナ」と申します。ダウン症の子どもを育てている様子や、母親の気持ちなどを率直にお話ししたいと思います。