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ズボン破れ補修に、ワンポイントに!伝統刺しゅう「こぎん刺し」方法とコツ

ズボンの破れを直す方法はいろいろありますが、今回は、手芸好きさんの間でじわじわとブームになっている日本の伝統刺しゅう「こぎん刺し」を用いて補修する方法をご紹介します。まっすぐに針を進めていくだけなので、難しいテクニックは必要ありません。目立つ色でワンポイントにしても、同系色で馴染ませても素敵ですよ。ぜひ試してみてくださいね。やり方を覚えれば、ズボンの補修以外に、ワンポイント刺しゅうとしてもかわいいですよ。

 

「こぎん刺し」って?

「こぎん刺し」は、刺しゅう「刺し子」のなかでも、青森県津軽地方に伝わる技法のことです。江戸時代、普段着や仕事着に使われていた麻布は、布目が粗くて冬の寒さをしのげないため、太い木綿糸で刺しゅうを施して布に厚みをもたせ、防寒性や丈夫さをプラスしました。生活の知恵から生まれたとも言える刺しゅうが「こぎん刺し」です。

 

本来は、目の粗い麻布やクロスステッチ用布のように、布目が方眼状になっている布を使用します。図案を見ながら、横へ向かって糸を渡すように、真っすぐ1段ずつ刺していきます。今回は方眼状ではない布に刺すので、「抜きキャンバス」という方眼状の網目になっている布をガイドに使って刺す方法をご紹介します。

 

準備:用意するものと使い方

<用意するもの>
・こぎん刺しの「図案」
・破れた部分の裏に当てる「当て布」
・アイロン
・当て布を縫い付ける針と糸(ズボンと同色の物がよい)
・抜きキャンバス
・刺しゅう用糸、刺しゅう針
・ハサミ

 

こぎん刺しの図案は、刺し方の本やデザイン集を参考にしたり、またインターネットにも無料の図案集があります。印刷したり、方眼用紙に書き写しておくと、見ながら縫いやすいですね。当て布は補修部分の裏に当てて縫い留めるものです。当て布の裁ち目がほつれないようにアイロンで周囲を折り、補修部分の裏から当てたら糸で周囲をぐるりと縫い留めましょう。「抜きキャンバス」は、布の表にしつけ糸で縫い留め、刺しゅうの針目を分かりやすくするガイドとして使います。縫い終わったら縦糸・横糸をすべて抜き取ります。こぎん刺しの糸は、専用の糸もありますが、一般的な「刺しゅう糸」や「刺し子糸」でも構いません。

 

手順1:補修する箇所へ裏から当て布を縫い付ける

補修部分を十分にカバーする大きさに切った当て布は、周囲を5mmほどアイロンで折り、補修部分の裏へ当て、ズボンと同色の目立たない糸で細かい並縫いで縫い付けます、同色の糸がなければ、当て布の折り目を押さえるように細かい並縫いで縫い、補修部分の裏からしつけで留めておきましょう。小さな穴や破れなら、市販のアイロン接着タイプの補修布を使ってもいいですね。

 

手順2:抜きキャンバスを表からしつけで留める

図案に必要なマス目を数え、図案のマス目よりも一回り大きく切った「抜きキャンバス」を、補修部分に表から当て、しつけ糸で周囲をぐるりと縫い留めます。写真では、図案のマス目よりも、上下左右それぞれ2マスずつ多く残して切ってあります。

 

手順3:縫い始め~縫い終わり

針に糸を通し、縫い始めます。通常のこぎん刺しは、図案と布の中心同士を合わせるために中央から刺していきますが、ズボンの補修のように小さな図案なら、図案の上下など縫いやすい位置からでOKです。縫い始めの位置にまち針で印を付けておくと分かりやすくなります(写真1)。縫い始めの糸は、玉結びにすると、糸が太いためゴロゴロしてしまうので、15cmほど残して縫い始め、あとで始末しましょう(写真2)。抜きキャンバスのマス目に沿って、図案の通りに横へ糸を渡して、一段ずつ順番に刺していきます(写真3)。1針ごとに針を抜き、糸がたるみ過ぎず、また引きすぎないように整えながら最後まで刺します(写真4)。

 

手順4:糸の始末をし、抜きキャンバスを抜く

こぎん刺しの縫い始めと縫い終わりの糸の始末は、玉結びや玉止めにせず、裏面に渡った糸に数針絡ませて切ります。今回は、当て布部分に数針返し縫いをしてから糸を切ってもいいでしょう(写真1)。ズボン本体の布に響かないように注意してくださいね。
糸の始末をしたら、しつけ糸を外し、最後に抜きキャンバスの縦糸・横糸を1本ずつ丁寧に抜いていきましょう(写真2)。全て抜き取ったら出来上がりです(写真3)。

 

こぎん刺しのデザイン例

ズボンの色と馴染む色の糸で縫うと、目立たない仕上がりになります(写真1)。濃い色のデニムにはっきりした色糸で縫うとポイントに(写真2)。伝統的な柄だけでなく、クローバーなどの可愛い洋風(写真3)、ノルディック風(写真4)などもおしゃれですね。針目がきちんと補修部分をカバーできるように、できるだけ針目が密になっているデザインを選ぶといいでしょう。
写真3、4は、クロバー「クロスステッチ針で刺す こぎん刺し風刺しゅう図案」を参考に刺しました。http://www.clover.co.jp/recipe/detail/post_410.html

 

まとめ

抜きキャンバスの網目の大きさによって、縫い上がりの大きさが違ってきます。抜きキャンバスと図案を照らし合わせ、補修部分をしっかりカバーできるような図案を選んだり、大きさが足りなければ同じ図案を繰り返すなど工夫しましょう。抜きキャンバスは、網戸用の網でも代用できますよ。もしも家にあれば、気軽に試してみてはいかがでしょうか。

 

 

nontroppo

ライフオーガナイザー。ズボラでも簡単にすっきり暮らすための収納や、生活の仕組み作りを模索中。
料理、お菓子作りのほかに、洋服やインテリア小物なども手作りするのが好きです。
高校生の息子の母です。