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【和菓子歳時記15】豆で邪気を払い、新年を迎える「節分・立春」の和菓子
2017年 1月 30日 11:00
今年は1月20日に「大寒」を迎え、1年で最も寒さの厳しい季節になりました。今回は、昔から続く行事「節分」と、翌日の「立春」に登場する和菓子をご紹介します。旧暦では春の始まりにあたる「立春」が新年の始まり、前日の「節分」を大晦日とする考えがあり、この時期の和菓子店には、干支や春をモチーフにした和菓子が並びます。
旧暦で「立春」は新年、前日の「節分」は大晦日
「節分」とはその名のとおり、季節を分ける日のこと。各季節の始まりである、立春、立夏、立秋、立冬の前の日を指し、実は1年に4回あります。特に春の始まりである「立春」は新しい年の始まりと考えられて最重視されたので、豆まきなどの行事が広まった江戸時代以降「節分」といえば、立春の前日を指すようになりました。そして「立春の日」は、太陽の角度によって日にちが決まるため、それに合わせて節分も、年によって変わります。ここ30年ほど節分は毎年2月3日でしたが、2020年代には2月2日の日が多くなるそうですよ。
豆は芽が出たら縁起が悪い!?地域で異なる豆まきの「豆」
節分の「豆まき」は、宮中で大晦日に行われていた鬼払いの行事「追儺(ついな)」が、民間に広まったもの。豆には「生命力と魔除けの呪力がある」と信じられていたことと、語呂合わせの「魔目(まめ)」「魔滅(まめ)」で、鬼に豆をぶつけることにより、季節の変わり目に生じる邪気(鬼)を払い、1年の無病息災を願う意味があります。
邪気払いした豆から芽が出ると縁起が悪いため、使用する豆は、お払いをした「炒り豆(大豆)」を使います。東北、北海道、北陸、九州などでは「落花生」を使うところもあるようですが、これは殻があるので拾いやすく豆が汚れないからだそう。行事が広まる過程で合理的な変化が起こるのは面白いですね。
「節分」には鬼や豆のお菓子、「立春」には春のお菓子
大晦日の「節分」に豆まきで邪気払いを済ませた「立春」の和菓子店には、桜餅や草餅など春の和菓子が並びます。新しい年を迎える「立春」に、春の和菓子を楽しむのも素敵ですね。また立春に合わせて「立春大福餅」を販売する和菓子店もあります。最近では、「鬼」や「豆」など、節分や「干支」をモチーフに作られたお菓子も増えていて、豆まきを行なう寺社などで、振る舞いや記念品として用いられています。
まとめ
節分が近づくと、スーパーマーケットなどで、鬼のお面とセットになった「福豆」が販売されます。節分の夜には、お父さんが鬼の役になって豆まきをすることも多いと思いますが、本来は目に見えない鬼(邪気)を払うので、家の者が鬼になることはなく、家長である父親か年男・年女が豆をまいて、鬼を追い払うのが正しいのだそう。でも、誰が鬼役になっても家族で盛り上がれる楽しいイベントですね。しっかり鬼(邪気)を払って新しい春の季節を迎えましょう。