暮らし

【ダウン症児と私18】春から幼稚園2歳コースへ、母は通園のため免許取得

2歳の誕生日を12月に迎え、ずり這いやハイハイができるようになったユキトくん。今回は、障害児を通所支援している幼稚園の2歳コースへ通いはじめたときのお話を伺いました。おかゆを食べても口から出してしまったりと、まだ食事が苦手でほとんどの栄養をミルクに頼っていますが、療育センターや幼稚園などお友だちと一緒に過ごす時間が増えてきました。

 

ダウン症の同級生と比べてもゆっくり成長のユキトくん

Q.ダウン症の同級生と比べても、ユキトくんの成長はゆっくりということですが、まわりの子たちはどんな感じでしたか?

A.病院や療育センターで会うダウン症の同級生たちは、2歳ごろになると伝い歩きをしている子が多く、食事も柔らかい物であれば食べられる子が多かったです。ユキトは相変わらず成長発達がのんびりしていて、食事も苦手でしたし、まだずり這いとハイハイができるようになったところでした。

 

Q.お友だちと触れ合う機会を増やしたいと思われましたか?

A.お友だちのなかには普通の保育園に通っている子や、訓練以外で療育センターへ週に2~3回通園している子もいるという話を聞きました。私もユキトをお友だちがいる場所へ通わせたいと思い、療育訓練を受けているセンターと、児童館で教えてもらった障害児の通所支援施設の幼稚園の2カ所を見学しました。そして温かくなった4月から、家から近くて通いやすい、幼稚園の2歳コースへ通うことにしました。

 

「通所受給者証」を取得して、半年に1度目標を決める

Q.障害児通所支援施設の入園には、どのような手続きが必要でしたか?

A.障害児通所支援施設に入園するには、児童発達支援の相談員と面談して、区役所の福祉課で通所支援施設への「通所受給者証」という手帳を発行してもらいます。その後、施設を利用するにあたり、支援計画と支援目標を話し合いました。ユキトの目標は「元気に幼稚園に通いましょう」でした。この支援計画と支援目標は半年に1度、達成できているかの確認と次の目標を決めるモニタリングが行なわれます。モニタリングは、幼稚園の担任の先生と、支援計画を作成して下さる相談員と、半年に1度それぞれ別々に行なわれます。

 

週に2回、午前中2時間の母子通園が始まる

Q.幼稚園へ、どのくらいの頻度で通うことになりましたか?

A.ユキトは、毎週2回、火曜と金曜の10時~12時まで、母親と子どもで通う「母子通園」となりました。我が子が幼稚園に通えることが、とても嬉しかったです。

 

Q.幼稚園ではどんなことをするのですか?

A.園の始まる10分前くらいに登園。教室に出してあるおもちゃで自由に遊べます。そして10時20分になったら、まずはダンスをして体を動かします。ユキト以外の友だちは、みんな歩くことができましたが、立つことができないユキトは、私に寄っかからせてどうにか支えながらダンスをさせました。なかなか大変な状態でしたが、大好きな音楽がかかり、お友だちと一緒に体を動かすユキトがニコニコするので頑張りがいがありました。ダンスが終わるとイスに座り、朝の会と絵本の読み聞かせがあります。絵本が終ると、お絵かきやお散歩、ねん土遊びなど、決められたカリキュラムを2つ行い、帰りの会をやって帰ります。

 

お手洗いの時間やお茶の時間で苦労も

Q.ほかの子が歩けるなか、あまり動けないユキトくんの付き添いは大変でしたか?

A.絵本の読み聞かせなど、イスに座るときは、ユキトがイスからずり落ちないようにずっとユキトの肩を押さえて固定する必要があり一苦労でした。また、カリキュラムの間にあるトイレ休憩の時間にオムツを替えるのですが、一応マットはあるもののトイレの床の上でオムツ交換をしなければならず辛かったです。お茶の時間も、コップから飲めないためスプーンで飲ませていたのですが、何度もコップに手を突っ込んでしまうので、先生にユキトの手を押さえてもらい、その間に無理矢理スプーンでお茶を飲ませていました。実際にはお茶も口から出してしまうので、ほとんど飲めてはいませんでした。

 

Q.通って良かったことはありますか?

A.オムツ替えとお茶の時間はきつかったですが、無事に幼稚園に通えたことが嬉しかったですし、ユキトにお友だちが増えるので、なんとか頑張って通いました。また、病院、訓練、そして週に2回の幼稚園と出掛けることが多くなったので、私は義母に下の子を見てもらい、空いた時間で自動車学校に通い、運転免許を取得しました。ユキトのおかげで、私も母としてどんどんパワーアップできました。

 

ダウン症の基礎知識18:障害児通所支援施設

障害児通所支援施設は、児童福祉法に基づき、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練などを行なう施設のことで、各種手帳の有無は問わず、児童相談所や医師などが認めた障害のある子どもたちが通うことができます。障害の特性などに応じて日数、時間、プログラムが決められ、ユキトくんのように定期的にモニタリングをしながら子どもたちの成長発達を支援してくれます。施設は障害の種類による区分けがないところが多いので、いろいろな子どもたちが集団生活を経験できる場所となっています。

 

 

ナナ

5歳のダウン症の息子「ユキト」と、3歳半の弟「マサト」のママの「ナナ」と申します。ダウン症の子どもを育てている様子や、母親の気持ちなどを率直にお話ししたいと思います。