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【ダウン症児と私17】弟が誕生し、2歳でお座りとハイハイができるように
2016年 12月 21日 11:30
1歳を過ぎた春、療育手帳を取得したユキトくんとナナさん。今回は、病院通いが落ち着き、時間的な余裕も少しできて来たナナさんに、ユキトくんが2歳の誕生日を迎えるまでを伺いました。実はこの間、ナナさんは次男のマサトくんを出産し、ユキトくんには弟ができました。
通院回数も減り、新しい場所にも出掛けるように
Q.1歳を迎えるころは、冬の感染症対策もあり、ダウン症外来もお休みしていたと伺いましたが、春以降の病院への通院はどうされましたか。
A.耳が聞こえるようになったこともあり、毎月通っていた遺伝科は3カ月に1度の受診になりました。歯科は4カ月に1度、心臓や移動性こうがんの検査は半年に1度、眼科は1年の1度の受診に減りました。今までは、月に何度も病院に通う必要があり忙しかったのですが、受診の間隔が空いたため、少し余裕が出てきました。
Q.春になる前に、療育手帳も取得されましたね。
A.はい。3月末に療育手帳が発行されました。その際児童相談所で受けた面談と知能テストの結果、1歳2カ月のユキトの知能は、6〜7カ月の子と同じくらいだと分かりました。
Q.時間に余裕ができてから、何かしたことはありますか?
A.自宅からは少々遠いのですが、勇気を出して最寄りの児童館に行ってみました。ダウン症のユキトを隠すように育て、病院通いに追われた1年半でしたが、今後のことを考えると、できることにはチャレンジした方がいいと思えてきたのです。児童館の先生に「初めて来ました。ダウン症なので児童館に来るのにすごく勇気がいりました。1歳半ですがまだ立つことも歩くこともできません」と正直な気持ちと状況を話しました。先生は「よく来たね。成長はマイペースでいいんですよ」と、言ってくださいました。その後すぐに、次男が生まれたので1回しか行けませんでしたが、いい経験になりました。
ユキトくん1歳5カ月で弟誕生
Q.2人目を妊娠されたとき、お子さんに不安はありましたか?
A.はい。1人目のユキトがダウン症なので、家族で話し合い、妊娠中に羊水検査をしました。ユキトを妊娠したときは、当時担当だった産婦人科の先生から「羊水検査は必要ないと思います」と言われ、検査をしませんでした。2人目のときには、主治医に相談するとすぐに何も言わずに検査の申し込み用紙をくれました。
出生前診断には、母体血清マーカーテスト、新型出生前診断(NIPT)などいくつかあるのですが、いろいろ比較した結果、精度が高く費用が安いと感じた羊水検査だけ受けました。保険適用はなく、市立病院で7万円くらいでした。羊水検査の結果、遺伝子異常はありませんでした。そして、ユキトが1歳5カ月のときに、弟のマサトを無事に出産しました。
Q. 出産直後、弟さんへミルクをあげながら、ユキトくんの世話するのは大変ではなかったですか?
A. 弟の出産後3カ月間は、深夜もおっぱいやミルクなどで忙しく大変でした。一方ユキトは相変わらず、おかゆを食べたり出したりが続いていました。でもちょうどその頃、ユキトはずり這いができるようになっていました。弟を出産して1カ月間は、ユキトの通院以外は外出せず、訓練もお休み。2カ月目から療育へ再び通い始めました。
2人目の妊娠は出生前診断を受けてから、計画的に
Q.2人目の出産については、悩まれたのではないですか?
A.悩みながらも、2人目は計画的に妊娠しました。なるべく早く兄弟が欲しかったのです。私がユキトの面倒を見られなくなるときのことを考えると、どうしてもユキトの面倒を見てくれる兄弟が欲しかったのです。確かに、ユキトを守る責任を弟に押し付けたと言っても過言ではありません。ですからこのことを弟のマサトへ、いつ、どうやって打ち明ければいいのかは、今も悩んでいます。
Q.2人の子育てをしていくなかで、何か気付いた点などありますか?
A.2人目を妊娠したとき、ダウン症の親の会で知り合った先輩ママに「2人目の子が、ユキトくんの成長を1歳ぐらいで抜いちゃうけど、ショックを受け過ぎずにマイペースでゆっくり頑張ってね」と言われました。実際に、マサトの成長は、ユキトのペースよりずっと早いのでその違いに驚きました。
2人の子どもを育てていくのは想像以上に大変で、あっという間に時間が過ぎ、ユキトの2回目の誕生日を迎えました。病院や療育施設でダウン症の同級生のお友だちに会いますが、彼らと比べてもユキトは明らかに成長がのんびりしています。それでも2歳の誕生日には、なんとかお座りできるようになり、ずり這いやハイハイをしていました。ユキトなりにゆっくりとですが、できることは確実に増えています。
ダウン症の基礎知識17:障害児と兄弟姉妹の関係
ダウン症児に限らずなんらかの障害をもつ子どもがいた場合、その兄弟に対して、「時間を割いてあげられない」「我慢を強いていないか」「負担を掛けているのでは」と悩む親御さんが少なからずいます。親が手を掛ける時間や量が違うことで、兄弟が嫉妬したり、過度に我慢してしまうこともあるため、親御さんの心労も大きくなってしまうのです。しかし、兄弟も親子も、お互いに影響し合いながら成長できるのが家族でもあります。マイナス面だけに目を向けるのではなく、家族全員がお互いに素直に思いを伝え合いながら成長し、状況に合わせて変化していくことが重要なのかもしれません。