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【これからは予防の時代20】マンモグラフィでの被ばく量と安全性

レントゲンやCTスキャン、マンモグラフィなど、放射線を使った検査では、どうしても「放射線被ばく」が気になりますね。そこで今回は、マンモグラフィ検診での被ばく量と安全性についてお話したいと思います。

 

マンモグラフィ検査での放射線被ばく量

放射線被ばくによって問題になるのは、みなさんもご存知のとおりり「発ガン」です。しかしマンモグラフィによる被ばくは、0.1ミリシーベルト程度しかありません。原爆の被爆者はガンが増加することが報告されていますが、400ミリシーベルト以上での話です。

 

これ以下の線量範囲でも、多くの調査データがありますが、どの調査でも、ガンによる死亡の増加は認められていません。400ミリシーベルトというのは、マンモグラフィの数千倍ということになりますので、安心していいでしょう。

 

毎日浴びている、自然放射線の被ばく量

また人類は太古の昔から、宇宙線、大地からの放射線といった「自然放射線」を、1年当たり2.4ミリシーベルト程度受けているとされています。自然放射線の健康影響についても、世界中で数多くの研究がされていますが、ガン死などの悪い影響は一切報告されていないのです。

 

年に1度のマンモグラフィならほぼ安全

マンモグラフィでの放射線被ばく量と、自然放射線の被ばく量からも分かるとおり、マンモグラフィを1年に1度受けた場合の0.1ミリシーベルト程度の放射線被ばくでは、発ガンリスクを上昇させる可能性は非常に少ないと言えるでしょう。

 

マンモグラフィのメリットは、放射線リスクの100倍!?

アメリカの研究では、マンモグラフィを50歳から受け始めて75歳まで毎年受けた女性では、乳ガン死亡率減少の利益が放射線リスクのほぼ100倍程度になるとされています。また35歳から受け始めて75歳まで毎年受けても、利益は、放射線リスクの25倍以上と見積もられています。

 

高島裕一郎(医学博士)

予防医学を専門としている医師です。医療の高度化でさまざまな病気の原因がわかるようになりました。これは同時に、いろいろな病気を予防することができるようになってきたことを意味します。生活習慣病やガンなど、生活のなかで予防のできる病気と、その予防方法について、お伝えしていこうと思います。日本医師会認定産業医、日本人間ドック学会認定医。