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【ダウン症児と私11】離乳食と寝返り開始、でも首すわらず療育センターへ

ほかの子と同じように生後6カ月で離乳食を食べさせ始めたナナさんですが、なかなか食べてもらえず苦労の連続。今回は、そんなユキトくんと、新しく「療育センター」へ通うことになった時期のお話です。ゆっくりとですが、成長し寝返りを打てるようになったユキトくん。まだ首がすわっていないことが心配です。

 

めげずに続けることで、徐々に離乳食が食べられるように!

Q. 生後6カ月で離乳食を始めた時期、ユキトくんはなかなか食べられなかったそうですね?

A.ユキトは、筋肉の力が弱く、あごも舌も動かすのが難しいように見えました。一方、抱っこをしようとすると、全身をこわばらせて海老のようにのけ反ってしまい、口元まで食事を運べませんでした。インターネットで購入した障害児用のすわる面が低い椅子にすわわらせて、ユキトの口にお粥を運んでも、むせたり、出してしまったり、最初はなかなか食べられませんでした。

 

Q.どのくらいで、食べられるようになりましたか?

A.めげずに、離乳食を口に運んでいたころで、約1カ月経ったころから、少しずつ食べてくれるようになりました。私は嬉しくなり、ジャガイモ、ニンジン、大根などをクタクタになるまで茹でて、ミキサーにかけ、与えていました。

 

抱っこが苦手・・・・・・、1歳半まで続いたのけ反り

Q.抱っこするとのけ反ってしまうのは、食事のときだけでしたか?

A.いいえ。抱っこしようとすると、いつもでした。普段寝ているときは、筋肉の緊張が弱くてグニャグニャしているユキトですが、いざ抱っこしようとすると、全身に力が入って海老のようにのけ反って、反り返っていました。食事、お風呂、着替をさせるときは、ユキトがのけ反る方向と逆方向に全力で押さえつけながらこなす必要があり、私は疲れてしまっていました。

 

Q.のけ反りは、いつからいつまで続きましたか?

A.のけ反りは、生まれてすぐから始まっていたのですが、生後5カ月くらいから力がだんだん強くなり、わたしも本気でユキトを押さえつけなければならなくなっていました。これが1歳半くらいまで続いたので、本当に大変でした。1歳半を越えたころ、落ち着きました。

 

一生懸命寝返りを打つ姿に、励まされる

Q.ダウン症児はおとなしく、小さいころは寝ている時間が長いそうですが、寝返りは自分で打てるようになったのですか?

A.はい。ユキトも、普段は寝てばかりでとてもおとなしかったです。仰向けよりも、うつ伏せが好きみたいで、5カ月目に仰向けからうつ伏せへの寝返りをするようになりました。首がすわらないうちに、寝返りを始めたんです。順番は違うけど、ユキトなりに一生懸命寝返りの練習する姿を見て、こちらもずいぶん励まされました。

 

10カ月たっても首がすわらず、不安に

Q.首がなかなかすわらないことに対して、不安がありましたか?

A.正直、不安でした。毎月、ダウン症のグループ外来で同級生の親子に会うと、それぞれの成長が見られます。ダウン症の子は8カ月くらいで首がすわる子が多いと聞いていて、まわりの友達はだんだんと首がすわってきたというのに、ユキトは10カ月になっても首がすわっていませんでした。結局、遺伝科の先生から「療育センターに行こう」と言われ、紹介状を書いてもらい、連絡して1カ月後の予約を取りました。

 

紹介状をもらって療育センターへ

Q.療育センターへ通うことは、希望されていたのですか?

A.はい。生まれてすぐに地域の保健師さんに、療育センターを教えてもらい、「いずれお世話になるでしょう」と言われていました。自宅から車で30分くらいの場所にあるのですが、私は1日でも早くこの療育センターに行きたいと思っていたので、ユキトが5カ月のときに、直接療育センターに電話をして「通いたい」とお願いをしました。でも、「お医者さんからの紹介状がないと通えない」と断られていました。生後10カ月で紹介状を書いてもらい、ユキトとパパと3人で、初めて療育センターに行きました。

 

療育センターで、作業療法と理学療法を受けることに

Q.療育センターでは、どのような療育プログラムを受けることになりましたか?

A.まずは、首のすわりについて検査してもらい、「神経に異常はなく発達がゆっくりなだけ」ということが分かりました。その後、療育センターの小児科で担当の先生に会い、今後は食事を食べるための作業療法と、歩くようになるための理学療法を、それぞれ月に1回受け、4カ月に1度、訓練内容と発達の成果の確認をすることになりました。

 

Q.療育センターでは、訓練以外に日常の相談などもできるのですか?

A.療育センターでは、担当の相談員さんとケースワーカーさんが付いて、訓練のこと以外にも、病気のこと、生活のこと、何でもいつでも相談に乗ってくれました。相談員さん、ケースワーカーさん、小児科の先生、作業療法士さん、理学療法士さんとたくさんの方に支えていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。

 

ダウン症の基礎知識11:療育センター

療育センターは、専門知識を持つ作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、臨床心理士、臨床発達心理士などの専門資格者が、子どもの特性や発達の状況を把握し、個別療育、集団療育を提供する施設です。地域により、施設で実施されるサポートは異なりますが、相談員やケースワーカーによる親への支援や、地域のほかの機関と連携した保育・教育を受けるためのサポートも行なっています。

 

 

ナナ

5歳のダウン症の息子「ユキト」と、3歳半の弟「マサト」のママの「ナナ」と申します。ダウン症の子どもを育てている様子や、母親の気持ちなどを率直にお話ししたいと思います。